とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

間宮中尉の手紙(『ねじまき鳥クロニクル 第2部予言する鳥編』を読みました。その1)

2021-01-28 17:27:48 | 村上春樹
 村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル 第2部予言する鳥編』を読みました。心に引っかかったところを書いておきます。その1回目。

 第2部に入ると「僕」の妻が姿を消します。同時に様々な謎の中に「僕」は導かれていきます。

 「僕」は妻の兄の「綿谷ノボル」と会います。もともと「綿谷ノボル」と「僕」は相性が悪かったのですが、ここでもやはり「僕」は「綿谷ノボル」の言動にうんざりします。

 「僕」は「下品な島」の話を始め、「僕はあなたを見ていて、その下品な島の話をふと思い出したんです。」と言います。そして次のように続けます。

「ある種の下品さは、ある種の淀みは、ある種の暗部は、それ自体の力で、それ自体のサイクルでどんどん増殖していく。あしてあるポイントを過ぎると、それを止めることは誰にもできなくなってしまう。たとえ当事者が止めたいと思ってもです。」

 「僕」の言う下品さは、私には「権力」に思われました。つまり綿谷ノボルは「権力」のメタファーのように思われます。

 困難なことを成し遂げようと思えば権力があれば便利です。ですから人は権力を求めます。しかし権力は人間を歪め、世界を歪めてしまいます。一度出来上がった権力は暴走してしまい、手に負えなくなるのです。国家の暴走が始まり、戦争に向かいます。ここは権力のいびつさを語っている場面のように感じられます。
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