『牡丹燈籠』での玉三郎さんの演技はリアリティのある興味深いものでした。
歌舞伎の女形の演技は声色をつかって演じるというイメージがあります。古典作品だと確かにそういうイメージ通りの演技をするケースが多いように思われます。しかしそういうイメージとは違う演技をする場合も多くあります。今回の玉三郎さんの演技も中年女性の純真さと意地汚さという相反する心の揺れを、リアリティある演技で表現していました。
間の取り方が絶妙です。これは本当に台詞をわすれてしまったのではないかと思わせるような長い不自然な間があったりします。その不自然さが逆に現実に口に出しにくいことを言うときのためらいのようにも感じられます。いわゆる歌舞伎調の語りとは違った、現代劇風の台詞回しにリアリティを覚えずにはいられません。
愛之助さんは、きちんとした演技で土台をしっかりと作っています。安心して見ていられます。
京都南座に初めて伺いました。一番安い三階席での観劇だったのですが、舞台までの距離が短く、とても見やすい劇場でした。京都の町のシンボルとしての役割も果たしている劇場です。永遠に残っていてほしいと願っています。
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