井上ひさしさんの長女である井上都さんの講演会に行きました。山形市の井上ひさしさんのゆかりの劇場「東ソーアリーナ」での開催です。さまざまなことを考えさせられる講演会でした。
井上都さんは井上ひさしさんの長女で、長い間、井上ひさしさんの作品を上演する劇団「こまつ座」の代表をつとめてきました。しかし井上ひさしさんの晩年、原因ははっきりしないのですが、井上ひさしさんから悪人扱いされ、絶縁状態になり、劇団の代表もやめることになります。絶縁のまま井上ひさしさんが亡くなられました。
都さんは自分には落ち度がなかったと語っています。もしかしたら井上ひさしさん側には別の説明があるのかもしれません。しかし都さんには理不尽に感じられ、都さんはこの10年「怒りの日々」を過ごしてきたと言います。
家族のいざこざは他人があれこれ言ってはいけないことです。ただし、理不尽に嫌な思いをしてきたと語る人の気持ちはよくわかります。人間だれでも理不尽な思いがあるからです。それはもしかしたら自分に端を発していたことかもしれません。しかしそういうことも含めて、他人を責めて、自分を責めて生きることになります。それはつらいものです。そういう心の重りを抱きながら生きている。多くの人がそうだと思います。そんな人の心が少しでも軽くなることを祈っています。
井上ひさしさんはとても優れた作家です。どういう事情があろうとその作品は本物です。井上さんの作品がこれからも生きていくために、都さんにはがんばってもらいたいと思います。