春ドラマで一番良かったのが『アンメット』だった。前日の記憶がまったくなくなるという記憶喪失の脳外科医のドラマで、そういう病気があっても脳外科医を続けるというのは、さすがにリアリティがないと思う一方、丁寧に日常を描いており、無理な設定を無理でなくしようとしているスタッフとキャストの力量に感服した。
その日の記憶を失うのだから、それをよみがえらせるためには日記を書くしかない。一日に書く日記の量は膨大になる。それを毎日繰り返すのもちょっと信じがたい。そして次の日それをすべて読まなければならない。もちろん優先順位も示して、読み切れない時も想定しているようだったが、それでもそれは大変な労力であろう。そのような人を医者として働かせるのは、実際には患者を不安に陥れるだけで、やってはいけないことである。
しかし、それをやり遂げることの意義を訴えるドラマは、ドラマとしてはありうるのだろう。キャストは抑えた演技で、みんなが主人公に協力する。その姿が美しい。スタッフは丁寧にそれを描写している。あざとい設定のドラマを、リアリティのあるドラマに仕上げていた。
ラストシーンは感動的だった。フジテレビのこの時間のドラマは良いドラマだらけである。ぜひこういうドラマを作り続けてほしい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます