「JAPAN e-portfolio」の運用認可が取り消される見込みだというニュースがNHKから出ました。これはとても大きな問題です。まずは文部科学省が無責任でです。「e-portfolio」は大学入試に必要になるという触れ込みで始まりました。その責任を放棄してしまったのです。次に、ベネッセとの癒着の問題です。ベネッセは「e-portfolio」によって自社の「Classi」というアプリを学校に採用させました。ベネッセと文部科学省が癒着していたという疑惑が生じます。そして生徒の個人情報がすでに「e-portfolio」に流れているという点です。
最初に「e-portfolio」とは何なのかの説明からしなければならないでしょう。
「e-portfolio」とは、生徒の高校時代の実績を生徒自身が電子化し記録したものです。その記録はすべて「JAPAN e-portfolio」という運営会社のサーバーに残されます。この「JAPAN e-portfolio」はベネッセの関連会社であり、生徒のIDはベネッセによって割り振られます。つまり生徒の個人情報がベネッセに筒抜けになる可能性があるのです。
2年前、私は1年生を担当していました。この「JAPAN e-portfolio」は大学入試に活用されるので、みんな登録しなければならないと上から言われました。もしかしたらその時も「大学入試に活用されるかもしれなく、どこそこの大学はすでに活用すると表明している」という程度だったのかもしれません。しかし。可能性があり、それが大々的にベネッセがふれまわるので、高校教員はやらなければならないと思ったはずです。いえ、みんなそう思いました。
私も胡散臭いとは思いながらも、時間をかけて「e-portfolio」について調べ、時間をかけて生徒にその必要性を説明し、登録させ記録させました。
同時にベネッセの社員は、この「e-portfolio」には自社の「classi」というアプリが便利だと強引な営業をかけてきました。「classi」というのはインターネットを使った学習アプリで、「e-portfolio」への記録も便利にできるようになっています。「classi」導入は管理職もなぜか前のめりの人も多くいました。このあたりも胡散臭さを感じていました。
このように「e-portfolio」の導入は文部科学省とベネッセの無理矢理な姿勢がありました。そしてその裏にはある政治家の名前が常に取りざたされていました。多くの教員はそれを感じながらも、確証がもてない。生徒の大学入試を人質に取られているので従わざるを得ない。こういう愚かな流れの中で教育活動が行われていたのです。
今回、「JAPAN e-portfolio」の運用認可が取り消されるというのはわるいことではありません。しかし、「e-portfolio」の大学への提供は今の3年生から始まるはずでした。その3年生のこの時期になってというのはさすがに遅すぎます。腹が立ちます。それ以上に心配なのは、すでに記録された生徒の個人情報はどうなるのでしょうか。きちんと対応してもらわなければなりません。
そして、文部科学省はこのいきさつを隠すことなく丁寧に説明しなければいけません。そして、すくなくとも総理大臣と文部科学大臣は、高校生に謝罪しなければいけませんし、しっかりと責任をとっていただく必要があります。
そもそもこのニュースの出方が胡散臭い。文部科学省のリークではないかという人もいます。まだ確定していないことをNHKだけが報道する。これは裏に何かあるに違いありません。
<そして、文部科学省はこのいきさつを隠すことなく丁寧に説明しなければいけません。そして、すくなくとも総理大臣と文部科学大臣は、高校生に謝罪しなければいけませんし、しっかりと責任をとっていただく必要があります。>
その通りだと思います。
兎に角、説明ができない政権に腹が立ちます。