安倍晋三元総理の殺害の後、アベノミクスの評価について賛否出ている。それらの多くはプラスかマイナスかという二者択一評価がなされている。違和感を覚える。
アベノミクスは異次元の規制緩和であった。低金利で市場にお金をばらまいたのだ。その結果一時的に経済は周り、また円安が進むことによって貿易がうるおい、外国からの観光客が増えた。安倍元総理が自慢していたように雇用がよくなり、それまでの不況感が一気になくなった。だからその時だけを考えれば正しい政策だった。
しかしなかなか物価は上がらず効果は限定的だった。次第にその効果は薄れ始めて、一方では国の借金を気にし始め、また円安に対する不安も大きくなってきた。
そのような不安が続くなかで、新型コロナウイルス、ロシアのウクライナ侵攻などの大きな事件が起き、経済不安が強くなっていった。日本はなんらかの手を打たなければならないが、なぜか手を打てない。それは今の低金利政策をやまてしまうとさらに経済が悪くなるという予測があるからだ。
本来、金融緩和政策は経済刺激策であり、一時的な政策であったはずだ。それなのにそれをやめようとしなかった。そこにアベノミクスが反省しなければならない点がある。意地になってやめなかったようにしか思えない。だから今、手を打とうとしてももはや何の手をうつこともできない状況においつめられたように感じられる。
軌道修正しない政治。それはある面では強いリーダーシップを示す。一方では大きな危険がある。それが安倍晋三氏の政治だったような気がする。