日本学術会議の任命拒否の問題です。この問題について政府は「人事のことなので回答は差し控えたい。」と説明を拒否しています。この説明拒否の理由は通りません。
人事のことで説明をしないということは、社会の中で十分ありうることです。だれをどの部署に置き、だれを配置転換するのか、それはさまざまな事情がからんでいます。説明すれば特定の人を傷つけたり、個人的な事情を暴露しなければならかたったり、様々な問題が出てきます。ですから「人事のことなので回答は差し控えたい。」という言葉は一般的には多くの人が納得する言葉です。
しかし日本学術会議の任命拒否の問題は秘密にしておく理由がないのです。分野におけるバランスを変更したいのならば、事前にそう説明し協議すればいいわけです。反社会的な研究などありえないわけですから、研究内容による選別は政府がしていいものとは思われません。
政府が説明しない理由は、明らかに今回の任命拒否が学術界への圧力だからであり、説明すれば支持率が下がる可能性があるからです。それを一般的な人事における、「人事のことなので回答は差し控えたい」という言葉で説明するのは、論理のすり替えでしかありません。
論理のすり替えがこれほどまかり通るようになれば、だれも論理を信じなくなります「独裁」という批判を受けてもしょうがありません。