新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月1日 その2 毎度お馴染みのカタカナ語批判

2019-11-01 15:01:05 | コラム
単語重視の英語教育の成果か?:

一昨30日に日本語の一部と化しているとカタカナ語の例として「スタッフ」、「トラブル」、「チャレンジ」、「アドバイス」、「サポート」、「ジューシー」、「フルーティー」、「ボリュウミー」、「パワー」、「メンタル」、「ポジティブ」、「コラボ」、「ワンコイン」、「コンプレックス」、「フリップ」等々を挙げた。これらの中には英語ではない造語も含まれているが、本当の英語の単語である例の中にも、アメリカ人等の外国人が使ったのも、私自身が使ったことも聞いたこともない単語があるのが不思議なのだ。

例えば「トラブル」は既に何度も採り上げたが、カタカナ語の「トラブル」にはジーニアス英和に最初出てくる「心配、苦労、悩み」の意味で使われていることは先ずないのだ。それどころではなく、昨夜から寝ないで?思い出そうとしたのだが、20年以上もの間のアメリカ人の中で過ごした中で、この“trouble”という単語を使ったことも、彼ら使った例の記憶もなかったのだった。ジーニアス英和にあるような熟語の意味の事を言おうと思えば恐らく“problem”か“worry”か“difficulty”とOXFORDにあるような言葉を使うか、clauseのような形で表現すると思う。

これも何度も指摘したことだが、我が国の英語教育では漢字に含蓄があるものが多いので、それと同じような表現力がある英単語があると思わせるように教えているのではないかと疑っている。そういう言語ではないと認識すべきだ。悪い例だとして何度も採り上げた“grow”即ち「成長する」という言葉を知らなかった方が、“children become big”と言われたと批判した。だが、このように簡単な単語を並べてと言うか「言い換える形」で表現するような柔軟性を持つことは必要だと思っている。

アメリカ人の中にいて語り合っていれば、慣用句や口語体を含めて所謂易しい単語だけで会話が成り立っているのだ。この辺りを別な言い方をすれば「学校教育では口語と文語を別けて教えておくべきだ」となる。失礼を顧みずに言えば、安倍総理の通訳を務めておられる外務省の方は見事な英語に訳されているが、そこに使われている単語は難しいというか固いというか文語体の格調の高い言葉を選んでおられる気がする。総理大臣ならば格調高くて当然かも知れないが、トランプ大統領の語り口などは言わば余りにもざっくばらん過ぎることが多いのと対照的だ。

話が固くなったので柔軟剤を投入すれば、私はアメリカ人と何百回食事をしたか記憶もないが、「ジューシー」だの「フルーティー」だのという言葉を聞いた記憶はない。それが平然としてカタカナ語化されて「食レポ」とやらに当たり前のように登場するのは恐ろしい。昨夜のPrime Newsに登場された額賀福志郎は韓国の日韓議連の議員たちに向かって「レベル」だの「スムース」だのというカタカナ語を使っていたが、同時通訳を務めていた女性たちはどうやって韓国語にしていたかと非常に興味があった。

「レベルアップ」などは日常的に使われているが、何度も指摘したことで「アップ」は動詞ではないのだ。プログレッシブ和英には“to improve the level”だったかとされていたが「(技術の)水準を改善か向上する」という意味のつもりだろう。「議論をスムースに進める」というのは最早日本語として普通になっていると恐れている。だが、これを英語にしろと言われると、今や衰えた私の力では苦心してしまう。

と言うのは“Negotiation went very smoothly.”とはならないと考えてしまうからだ。であるから、どんなに一所懸命に考えても“We negotiated the matter without any problem.”か“Our negotiation went very well and reached the conclusion as fast as planned.”くらいしか思い浮かばなかった。これもあやふやだと危惧するのだ。

「パワー」にしたところで、今やごく普通に「運動選手たちが体格と体力が優れていて筋力があって力がある」という意味でしか使われていないと思う。だが、ジーニアス英和には「・・・に対する権力、勢力、(法的)権限、支配力」が真っ先に出てくる。OXFORDには“the ability to control people or things”初めに出て来て、次は“political control of a country or an area”であって「腕力」や「筋力」とは両方の辞書にはいきなり出てこない。それが何故か「外人選手はパワーがある」などと当たり前のようになってしまっている。私の記憶ではこれも日常的には出てこなかった。

ここまで批判してきて何が言いたいのかと言えば「如何なる理由か根拠があろうとも、単語をバラバラに覚えさせるな。単語を単体で教えるな。必ず流れの中で如何なる意味で使われているかが解るように教えよ。日本語の中の漢字の熟語に置き換えられるような単語はない。単語が思い浮かばない時には複数の言葉を使って表現できるように自分を鍛えておけ」なのである。

もう一つ重要なことは英語には目的語がないと通じない単語があるということ。松坂大輔が使い始めて普及した「リベンジ」には「復讐」の意味はあるが、この単語は「~に復讐する」という相手を言わないと意味を為さないと覚えておくことだ。しかも「復讐」は「仇討ち」のことである。「仕返し」と言いたいのならば、私は“retaliate”を思い浮かべる。松坂君が“revenge”を覚えていたのは偉いが、記憶が“retaliate”にまで及んでいなかったのが残念だった。



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