新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

10月23日 その3 事故に対応する姿勢

2015-10-23 08:45:27 | コラム
失敗から学習せよ:

私は今回の旭化成建材の杭打ち事件の問題発生を聞いて先ず思ったことが二つありました。最初は「この今では契約社員になっている人物の雇用は危ないだろう」で、次は「この会社はどのようにこの失敗から学んでいく気だろうか」でした。

この背景にあるものは1985年10月に我が社が日本市場で起こした我が社の我が事業部にとっての歴史的な大品質問題でした。その処理には約半年を要し、丁度折悪しく10月にシアトルで貰い事故の被害者になって身心ともに回復するまで、問題解決に言わば心血を注がねばならず、筆舌に尽くせぬ苦労をすることになった私には、文字通り職を賭した事故でした。

ここではその事故を回顧するのではなく、その解決の交渉の過程で当方の副社長が「この重大な事故を引き起こした責任者を解雇する予定ですから、もう同種の問題を発生させませんからご何卒安心を」と得意先の担当部長さんに申し上げたのです。

ところが部長さんは「それは間違った判断だ。アメリカの会社の方は何かというと『責任者を解雇する』とか『クビにする』と言う傾向がある。それは誤りでその担当者に過ちからの解決策を学ばせないことには、永久にその問題は解決しないのではないか。その担当者の解雇は何の解決にもならないと知れ」と厳しく諭されました。一言もありませんでした。

そして、その技術者は解雇されずに問題の原因とその解決法を苦しみつつも導き出して、以後同じような事故を発生させませんでした。これが日米間の企業社会における文化の違いとまでは断定しません。だが、この辺りに「長い目で見る」のと「失敗から学習せよ」という日本と、「即断即決。決めれば直ぐ実行」という日米相互の思考体系の違いは良く現れていると思うのですが。

何れにせよ、日米何れの国においても「失敗から学習」はあるべき姿ではあります。だがしかし、経済的には失敗のコストは膨大なものになってしまうでしょう。これが問題解決を容易に捗らせない一因かも知れません。


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