新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4番目じゃ駄目なんですか

2017-07-20 07:47:11 | コラム
マスコミは数字いじりがお好みなようで:

あらためてマスコミに問いかけたい「4番目じゃ駄目なんですか」と。

先ほども世界選手権のシンクロナイズドスイミングの個人のフリーの演技で井村雅代先生の厳しい指導を受け訓練を経て第4位となった乾友紀子さんが、涙を流しながらインタビューに応じていた。私は涙の記者会見となった最も大きな原因はメダルとやらが取れない4番目だったことのようだと解釈した。だが、嘗ての村田大臣の名言「2番じゃ駄目なんですか」を思い出さずにはいられなかった。

私は乾さんの4位は世界の4番目であり、とても立派な輝かしき成績であると思っている。彼女の下にはあの世界選手権には出られなかった数多くのシンクロナイズドスイミングをやっている女性がいて、その中で上から4番目は立派ではないのか。

だが、我が国のマスコミの風潮では、世界的な大きな大会に出た場合には3位以内に入ってメダルとやらを取ってこないと評価や優れた選手としての認知の対象ではなきが如き扱いになる。いや、メダルを取ってくることだけが評価の対象であるような認識を勝手に作り上げたとすら思っている。しかも、オリンピックこそが全てであり、そこに出場してメダルとやらを取って初めて「世界的な選手」として認知するのである。

私はこれを不公平というか、おかしな認識であると思っている。彼らとても、色々苦労を重ねて国内の予選を勝ち抜いていくだけでもどれほど大変であることを承知しているはずだが、そこには触れずひたすらメダルだメダルだと報じる姿勢を採っているのだ。オリンピックでは6位だか8位までが「入賞」とされていると思ったが、入賞くらいでは騒ぎ立てないのは不公平だと思っている。

こういう数字いじりにも似た報道姿勢は野球の世界にも当てはまると思う。少なくとも私は公式に認定された記録だとは聞いたことがない200勝と2,000本安打などは例によって例の如き大騒ぎである。あれは私の認識違いでなければ、金田正一等が主導した名球会とやらの入会資格であってNPBの公式な表彰の基準ではないはずだ。彼らは目下の所イチロー君のMPBでの記録に日夜一喜一憂している。

実は、何を隠そう、この数字いじりを皮肉っていた先達がおられたのだ。それは大和球士のペンネームで戦後間もなくからプロ野球の評論の世界で大活躍され、一寸一風変わった解説をしていた安藤教雄氏(1910~1992)も、このような傾向を「数字いじりがお好き」と揶揄していたのだ。私もその時代から奇妙な傾向だと思っていたのだ。

私は以前に一度だけ論じた記憶があるが、199勝か1999本安打で終わった選手には価値がないのかと言いたいのだ。私は199か1999にもその選手の日夜励んできた歴史がある立派な記録ではないのかと言いたいのだ。しかも、現実にそこまで行かなかった良い投手や打者がいくらでもいたではないか。誰かが「記録には残らなくても、記憶に残る選手になりたい」と言ったではないか。

国内のことも兎も角、私が気に入らないことはと言えば「我が国のマスコミは未だに戦後の未成熟の時期に海外に雄々しくも出ていって成功した会社やビジネスマンを褒め称え、海外遠征で外国人を破って好成績を挙げた選手たちを英雄として礼賛した。昔話の部類だが古橋廣之進さん(後に日本大学教授)の大活躍などは胸がすく思いだった。彼らは未だにあの頃の「世界で活躍する」ことを称える意識から抜け切れていないのだ。今や、「世界が我が国に追い付こうとしている時代だ」と言っても良いのにも拘わらずだ。時代錯誤ではないのか。

いっそのことIOCに「何処かのクレデイットカードにはプラチナやブラックカードがある時代だから、オリンピックのメダルにも金の上にプラチナを新設されたら如何か」とでも提案しよう。そうすれば世界選手権でもそれに倣うだろうから、乾さんのような選手も報われるし、マスコミも競って賞賛するだろう。

参考資料:Wikipedia



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