新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

世界各国の紙・板紙の消費量、2012年度版

2013-10-27 07:59:14 | コラム
先進国で落ち込み新興国で上昇:

アメリカの専門機関・RISIが発表した2012年の統計では、「全世界の紙・板紙の消費量が対11年比で0.4%の増加で4億1,490万トンと、遂に史上初めて大台を超えたが、生産量は0.2%増の3億9,999万トンに止まった」とあった。

以前にも指摘したが「紙・板紙の消費量が一国の文化・文明の高さの度合いのバロメーターとなる」と認識されていた時代があった。しかし、近年のように先進国であろうと新興国だろうとIT化が著しく進めば、残念ながら紙類の消費量が伸び悩むか減少傾向となってくる。

RISIの統計によれば、地域別に見ると新興国というか途上国の成長率が高く、アジア(30ヶ国)では消費が1.8%で生産が2.0%の成長だった。だが、欧州(42ヶ国)では消費が△2.0%で生産は△1.2%、北米(2ヶ国)は消費△0.8%で生産が△2.4%となっている

。因みに、2,608万トンという世界第3位の生産量を持つ我が国は消費が△1.0%で生産が△2.0%だった。今や世界最大の生産国になってしまった中国は消費が2.8%、生産が3.3%の伸びだった。なお、中国の生産量の1億2,500万トンは全世界の25.6%を占めるに至った。

私が毎年最も興味を持ってみている数字は、各国の1人当たりの名目消費量である。12年度でも第1位はベルギーで、300.2キロの△0.3%でその位置を確保した。以下187.1キロで第10位の韓国まで、トップ10の諸国で伸びを見せたのは第10位から6位に躍進したフィンランドの201.6キロのみだった。

第2位以下はオーストリア、ドイツ、アメリカ、日本、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、オランダ、韓国の順となっていた。2年連続で第5位の我が国は218.5キロで△0.8%、アメリカは226.0キロで△1.6%となっていた。第30位が107.8キロのポルトガルで2.6%の成長だった。

全世界175ヶ国の平均値が57キロで、これを超えていたのは54ヶ国だけだった。なお、アジアからは台湾が174.2キロの△1.5%で第12位、香港が142.4キロの△2.5%で第20位に入っていた。

そこで中国はどうかといえば73キロに達していたが、順位は不詳で世界最大の生産量ではあっても1人当たりの消費量では未だ日米の3分の1である。この調査での人口は13億7,656千万人となっている。そこで、この中国の数字を見て大いなる可能性を秘めていると解釈するか、今後とも世界に向かっての一大輸出国であり続けるかは意見が分かれるところかと思うのだが。

資料:紙業タイムス社刊 “Future” 13年11月11日号 R&D情報


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