新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

現実の出来事はテレビドラマよりも凄い

2023-01-28 08:14:14 | コラム
広域強盗に思う:

全てのコイン(硬貨)には両面がある:
この件は昨日「我が国の治安の悪化現象か」と題して取り上げたばかりだが、事件の詳細が報道されるにつれて「両面性」が際立ってきたと思わせられている。言ってみれば「如何なる作家も思い描けなかった脚本」のようなのだ。

だが、その前に「なるほど、そういう事が起きていたのか」と痛感させられたことを取り上げておきたい。それは「フィリピンで入管の収容所に留め置かれている強盗団の首魁が看守に賄賂を渡し、SNSを使って実行犯を募集して指示を出していたこと」なのである。私は20世紀中に「携帯電話は今世紀最悪の開発商品」と論じて「文明の利器を非難するとは」と非難攻撃された経験があった。同様に「スマートフォンは21世紀で最悪だ」と断じてあった。

スマートフォンという良貨の裏面には:
そう言う根拠は「20世紀では老いも若きも携帯電話に可処分所得の大半を投入した感があり、我が国の経済の主体である内需を不振に陥れたから」なのだ。スマートフォンの優れた点と利便性は疑う余地もないだろうが、コインの裏側の面では「スマホ脳」などという新語が生まれたことからも明らかだ。そこのこの度は強盗団外国の収容所内からスマートフォンでSNSを駆使していたというではないか。「全ての薬には副作用がある」と同じ現象だ。

此の世には多額な現金をお持ちの方が多い:
次に驚かされたことはと言えば「彼らが自宅内に現金を保管している高齢者宅のリストを作り上げており、その家を襲えば上は3,000万円から下は300万円だったかの現金があったことだ。10万円置いてあっても凄いと感嘆したいのに、お金持ちは桁が違うと感心する前に、元特殊詐欺団(?)の情報収集能力の凄さに感嘆している。全く話は違うが、全人口の30%近い高齢者が現金で蓄えて消費に回さないのでは、内需が盛り上がる訳がないとも痛感。

倫理観の問題:
「看守に賄賂を渡して」というのは驚きでもなかったし、強盗団の首魁がそういう手段に打って出たことも不思議ではないと、かの国とアジアの諸国を歩いて見た経験からも言える。何方だったかが「日本人は生真面目すぎる」と指摘しておられたが、外国に行ってみれば「チップ制度」が示すように、我が国のような性善説信奉国とは全く異なる文化というか、金に物を言わせるというコインの裏側が存在するのだと、今回あらためて認識させられた。

今時の若者:
逮捕された実行犯の若者は言うなれば特殊詐欺団の「出し子」か「受け子」の類いになるのだろう。私が酷い話だと受け止めたことは、彼らが安易にSNSを使って「儲け口となるアルバイト」と知って「金が欲しくて応募した」と告白したこと。彼らはチャンとした働き口がないのか、怠惰なのか知らないが「任務(?)の途中で強盗と知ったが、引き返せなかった」と言っていたのには、呆れる前に「我が国でも倫理と道徳観が落ちたものだ」と悲しくさせられた。

無法者:
彼ら強盗団の首魁が「反社」の連中なのか所謂「ハングレ」なのか知る由もないが、私はこのような連中が数多く(?)存在するような時代になってきたことが恐ろしいのだ。我が国には西欧諸国の一部にあるように大都会の街中を歩いていて強盗や窃盗に遭うことがあるとは到底思えないほど治安が安定しているし、世界でもそのように認められている。しかし、その裏側には今回の事件のような物騒な事態も生じているのが嘆かわしくも恐ろしくもあるのだ。

検察が全力を挙げてオリンピック関連の賄賂を取る汚職をした者どもを検挙されるのも良い事だろうが、警察庁もそれこそ全力を挙げて広域強盗団の息の根を止めるように警察の力量のほどを示して貰いたいと思っている。

最新鋭の文明の利器:
それにつけても思う事は「治術と知識と研究開発の力を使い人知の限りを尽くした新製品を世に送り出す前に「この最新鋭の文明の利器の使われ方には裏と表が見込まれる」くらいの能書を付けて、市場に送り込む必要があるのではないかとすら考えている。スマートフォンを世に送り込んだスティーブ・ジャブス氏はそれによって印刷媒体(新聞と言っても良いか)が今日のように衰退する推進力の一端を担うと想像していたのだろうか。「コインの裏側」を見通せなかったのだろうか。

不肖90歳の当方もスマートフォンを何とか一昨年の10月から持つようにしたが、それは飽くまでも電話としての機能に依存する為が主体で、SNS何て何の事が知らないし、知る必要もないと思うのだ。だが、こんなことを言うのは時代に負けた「負け惜しみの証拠」かな。