新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4月10日 その2 予想しなかった掛かりつけのクリニックでの出来事

2020-04-10 12:06:17 | コラム
女性が全員辞めたので:

本10日は毎週一度の、ほぼ全身に生じる筋肉痛を和らげる注射をして頂きに、朝の9時過ぎに掛かりつけのクリニックに出掛けていった。私独得の「閃き」では、クリニックまでに50 m程に近付いた辺りで「休診とか何かの異常事態が起きているのではないか」と感じてきた。到着して中に入ると院内の照明がついておらず、カウンター内にいるはずの3名の女性の医療事務担当者も不在だった。だが、S医師が患者と語り合っておられる声は聞こえた。矢張り何か変わったことが起きていたのだった。

やがて、S先生は私が入ってきたことに気が付かれて「今日から私が一人だけだが、何時もの注射はするから暫く待っていて」と告げられた。先客は一人だけだったので間もなく診察室に入れた。先生が言われるには「女性たちは皆現在のウイルスの感染がこれほど蔓延しては怖いので止めたいと言うし、妊娠している者もいたので止むを得ないと判断して全員の退職を認めた」のだそうだった。

私は浅慮にもそういう事態が生じるとまでは考えてもいなかった。女性たちが危険が身に迫っていると感じていたと聞けば、なるほどそうなるのかと納得も出来たのだった。確かに、いつ何時ウイルス感染者が来るかも知れないし、またどのような症状の患者が来るかなどは予知できないのだから、受付をする彼女たちが危機感を覚えていても不思議ではないと思った。

だが、テレビの報道の画面などを見ていれば、看護師さんも医療事務担当者には危険が迫っているだろうという程度のことは認識していた。しかしながら、この32年も診て頂いているクリニックで女性全員が退職してしまうまでは想像できなかったので、正直なところ先生が一人という事態には驚かされたのだった。S医師は「現在までの新型コロナウイルスの感染の広がりを見ていると、最早簡単には阻止できない次元に来てしまった感が濃厚なので、女性たちを引き留めるのは不可能だったと判断した」と述懐された。

私が診察室にいる間にも何本か電話もかかってくるので、先生はその都度対応されて「兎に角自分一人でやっている状態だから、場合によっては長時間待つ覚悟で来て欲しい」と説明されていた。そして、事務担当者がいないので治療代の計算をする暇がないので、後日改めて清算しようとなって薬を出して頂いて辞去した。先生はこのままの態勢で診療は続けるので、治療費は来週にでも来てくれたときで良いと言われたのだった。この事態には「新型コロナウイルスの感染の事態が、かかる状況を生じさせるところまで到達していたこと」を十分に認識させられたのだった。


人を見る目の難しさ

2020-04-10 08:24:10 | コラム
安倍晋三総理の人事に思う:

私は折角の歴代最長の在任期間を誇る安倍晋三総理の一つの問題点だと思って見ていることがある。それは「人事」というか「人を見る眼力」ではないのかと密かに憂いている。今回の小池都知事と緊急事態発出後の自粛要請の範囲を摺り合わせていた西村康稔大臣の交渉振りを見ていると、総理が側近に起用された通産省出身の加藤勝信厚労相と西村康稔大臣は果たしてその地位に相応しいのかと疑いたくなってしまう。(正直に言えば尾身茂氏も標的に加えたいのだが、彼は側近だとは聞いていない)

昨日まで揉めていた上記の件にしても、自粛要請の範囲を如何に定めるかなどは事前に各知事と西村康稔大臣が打ち合わせて置く時間があったはずだし、打ち合わせていなかったのならば(もしかして小池都知事独得の目立ちたい為の手法で独断先行したのか?)政府側である西村氏の失態だと私は看做している。私は既に指摘したが、西村氏はその学歴と職歴が示すように絵に描いたような勉強の秀才であろうが、実務では「如何にして責任を逃れるかのような巧みな弁舌ばかりで、実がないというか誠意を感じさせないお利口な官僚」というだけの人材としか見えない。加藤勝信もまた然りだ。

更にこの点も何度かこれまでに指摘して来たが、安倍内閣は改造を繰り返す度に大きな疑問符を付けるしか評価のしようがないような人物が起用されて、野党とマスコミ連合の格好の標的にされてしまっている。自民党内には派閥の力学等々の事情があるようだとは再三聞かされているが、そんなことに為にと敢えて言うが、お国の為にならない人物をご登用願いたくないものだ。側近の中には上記のお二方の他に河井克行短期間元法務大臣も入っているようだ。目下の所ではこの人物が、報道によればだが、最悪の選択のようだ。

そこで、総理にも西村氏にも加藤氏にも申し上げておきたいことがある。それは、アメリカ人たちに言わせても「世界でも最も難しい部類に入る」対日輸出を20年以上も担当してきた経験から言えるので、私は大袈裟に言えば数え切れないほど「もうこの状態に追い込まれては、日本市場における確固たる地位を確立するのを諦めねばならないか、あるいは事ここまでに至れば潔く撤退せねばならないか」との局面に立たされてきた。85年には我が事業部どころか会社全体の長い歴史の中でも最悪・最大の事故が発生したことがあった。

その時に如何に対処するかと言えば「絶対に逃げてはならない」と「必ず切り抜けてみせる」という固い固い決意で真っ向からその難局に挑んでいくことだ。そして、今回トランプ大統領にも真似されたかと(?)思って聞いた「長いトンネルの先には必ず明かりが灯っているのだから、そこを目指して突き進め」なのであり、「明けない夜はない」と信じて立ち向かって行く闘争心が必要なのだ。この大難局との戦いは容易ではないのは明らかだが、やる気を失えば負けだし、弁舌を弄しているだけでは切り抜けられないのだ。

私は西村康稔大臣と加藤勝信厚労相には現在のような言わば国家的な重大な危機に出遭った経験はないし、如何にしてその危機に挑戦して退けるかの知識も何も持ち合わせがないのだと見ている。それは当然で、通産省(現経済産業省)では現実に新型コロナウイルスを制圧しようとする敢えて「戦」(と言うが)を経験されていないのだから、真っ向から突っ込んでいくどころか、功名心にはやっているという酷評もある小池都知事との交渉すら速やかに出来ていなかったのではと疑っている。

私には厚生労働省、保健所、帰国者何とかかんとか相談センター等々は、真っ向からこの新型コロナウイルスを抑え込んでいこうという積極性が見えないとしか思えないのだ。何度でも言うが、こういう前例がない難しい事態に遭遇したときには絶対に逃げてはならないということだ。ところが、私の目には正面からぶつかっていこうという意識を持っておられるのは安倍晋三内閣総理大臣だけのようにしか見えないのだ。だからこそ、総理の表情には明らかにお疲れの様子がうかがえるのだ。西村康稔大臣などは詭弁を弄せずに倒れるまで全力で職務に励んで欲しいのだ。