新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

Sewol号の補償と保険を考えると

2014-05-18 17:05:06 | コラム
対人の補償と保険はどうなっているのだろうか:

ここには損保も生保もあると思う。事件発生の時点から人命の補償は必須だろうし、保険では大変な金額の補償が必要になると感じていたが、一向にその点が問題にされてこない。不思議だと思う。Sewol号だけの船体の事故を捉えても、300数十人の補償と生命保険は巨額に達するだろうし、海損としては重大な事故と性質だと直感した次第だ。

フェリーには1~2度しか乗った記憶がないので、乗船の際にその運賃に如何なる条件が付いているかなどは一切承知していない。だが、保険などが無条件とは考えられない、何しろ一旦事があれば人命の問題となるから。海事の専門家の解説を承りたいと考えている。

ところで損保であるが、あれは明らかに海難事故である。船そのものの保険も問題だろうが、報道されている限りでは海上輸送のコンテイナー(カタカナ語は"container"を何故コンテナーと表記するのか)が大量に積まれ、海中に没していた。あれでは全損だろう。その補償はどうなるのだろうか。その他にばら荷("bulk")もあったようだ。あの事故をどうやって査定するのだろうか。

私は我が国に輸出する仕事をしていたが、海上保険をかけるのは荷主様である我が国のお客様の仕事で、W社は関知しなかった。それでも在職中には色々の事故も発生して、海上保険の勉強もせねばならなくなった。そこで教えられたことの一つに「船荷証券(=B/L)の裏面に顕微鏡の力でも借りて読みたくなるような小さな字で記載されている約款(="provisions)をキチンと読めば、海上輸送しようとする者などいなくなるだろう」だった。

もう昔話の部類なので記憶は怪しいが、コンテイナー(大きさには40 ftと20 ftとあるが)一本について、補償される金額は$20となっていたと思う。紙類ならば40 ftの大きさには普通に20 tonは積めるので、種類にもよるがザッと言って総額が$20,000になってしまう。それが$20だけ補償されるというのだ。それが規定だ。

それに、ニュースの場面には次から次へとトラック等の大型自動車が乗り込んでいった。乗用車が積まれていた船倉の画もあった。素人というか門外漢で全く知識はないが、自動車の損害は補償の対象になるのだろうが、誰がどうやって補償するのだろうか。何れにせよ、膨大な金額の損失は発生しているはずだ。あの問題の船社が本当に保険をかけてあれば、今頃は再保険の面で大問題が発生しているのではないだろうか。

そんなことも重大だが、300人を超えた犠牲者の補償は何処の責任になるのだろうか。船社は補償問題に絡む前に破綻していまいそうだが、そのような事態が発生したら、韓国政府はどのように対応するのだろうか。余計なことかも知れぬが、一寸気懸かりになった次第である。