令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家持・青春編(一)(1)はねかづら

2010年08月31日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年5月28日】

葉根蘰はねかづら 今する妹を いめに見て
              こころのうちに 恋ひ渡るかも



家持やかもちは 思わず目を見張った
大宰府から  戻った 佐保の屋敷
うるわしい 乙女がいる
〈どこの・・・〉 
と思った  家持
〈おお あの女童めわらわではないか〉

養老二年〈718〉大伴旅人おおとものたびとに 長男誕生
家持 
佐保大納言家待望の  後継ぎ
時に  旅人五十四才 

神亀じんき四年〈727〉父の大宰府赴任ふにんに同行
約三年の大宰府滞在は  
少年家持に  色々を教えた
父の政務 
筑紫歌壇 
そこでの  大人の付き合い
取り交わされた  歌の数々
分けても 
女人にょにんと交わされた歌に 早熟の芽を育てていた

葉根蘰はねかづら 今する妹を いめに見て こころのうちに 恋ひ渡るかも
《大人なる かずらかぶる児 夢に見て ひそかに恋を し続けてんや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻四・七〇五〉

葉根蘰はねかづら 今する妹は 無かりしを いづれの妹そ 幾許ここだ恋ひたる
《うち知らん かずらかぶる児 てへんで 何処どこ何方どなたに 恋したんやろ》
                         ―童 女―〈巻四・七〇六〉 

住むやかたは ことにするものの
佐保大納言邸 屋敷うちに 起居ききょする者同士
弟 書持ふみもちと共に たわむれ遊んだ 幼い日々

幼馴染おさななじみの気安さ 家持は 誘いの歌を贈る
まだ 幼さ留めた 乙女おとめ
それでも 
即妙の  返し歌

やがて おみなめとの飯事ままごとのような 生活くらしが始まる


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