【掲載日:平成24年8月21日】
漁すと 磯に我が見し 名告藻を いづれの島の 海人か刈りけむ
夜明け鳴く鶴 思いを誘う
家待つ妻の 土産に貝を
名告藻草に 恋忘れ貝
何かにつけて 思うは連れか
漁すと 磯に棲む鶴 明けされば 浜風寒み 己妻呼ぶも
《餌獲りに 磯居る鶴が 夜明け時 浜風寒いんか 連れ呼んどるで》
―古集―(巻七・一一九八)
苞もがと 乞はば取らせむ 貝拾ふ 我れを濡らすな 沖つ白波
《土産はと 言うたら贈ろと 貝拾う わし濡らしなや 沖の白波》
―古集―(巻七・一一九六)
磯の上に 爪木折り焚き 汝がためと 我が潜き来し 沖つ白玉
《この白玉は 磯で火ぃ焚き お前にと このわし潜り 採ったもんやで》
―古集―(巻七・一二〇三)
漁すと 磯に我が見し 名告藻を いづれの島の 海人か刈りけむ
《採ろ思い 磯で見つけた 名告藻を 何処島の海人めが 獲りよったんや》
―古集―(巻七・一一六七)
手に取るが からに忘ると 海人の言ひし 恋忘れ貝 言にしありけり
《手にしたら 効き目すぐやと 海人言うた 恋忘れ貝 名前ばっかり》
―古集―(巻七・一一九七)
沖つ楫 漸々しぶを 見まく欲り 我がする里の 隠らく惜しも
《忙楫緩み 落ち着き見たら 惜しことに 見たい里の方 隠れて仕舞てる》
―古集―(巻七・一二〇五)
沖つ波 辺つ藻巻き持ち 寄せ来とも 君にまされる 玉寄せめやも
《沖波が 岸の藻巻いて 寄せ来るが あんたみたいな 良男来んわ》
―古集―(巻七・一二〇六)
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