【掲載日:平成24年8月14日】
妹がため 玉を拾ふと 紀伊の国の 由良の岬に この日暮らしつ
行幸お供か 私旅か
紀ノ川下り 雑賀に出でて
玉津島訪ねて 黒牛潟へ
巡り巡れど まだ飽き足りん
【南海道 紀伊(妹背山~由良)藤原卿作】
麻衣 着ればなつかし 紀の国の 妹背の山に 麻蒔く我妹
《麻の衣 着たら思うで 麻の種 妹背の山で 蒔いてたあの児》
―藤原房前―(巻七・一一九五)
紀の国の 雑賀の浦に 出で見れば 海人の燈火 波の間ゆ見ゆ
《雑賀浦 出て沖見ると 海人の灯が 波間ちらちら 揺れてん見える》
―藤原房前―(巻七・一一九四)
玉津島 見れども飽かず いかにして 包み持ち行かむ 見ぬ人のため
《見て見ても 玉津島飽かへん どしたなら 持って帰れる ここ来ん人に》
―藤原房前―(巻七・一二二二)
若の浦に 白波立ちて 沖つ風 寒き夕は 大和し思ほゆ
《和歌の浦 白波立って 沖風が 寒吹く晩は 大和恋しで》
―藤原房前―(巻七・一二一九)
黒牛の海 紅にほふ 百磯城の 大宮人し 漁すらしも
《黒牛の 海紅なった 大宮の 女官浜辺で 釣り真似してる》
―藤原房前―(巻七・一二一八)
妹がため 玉を拾ふと 紀伊の国の 由良の岬に この日暮らしつ
《お前贈る 玉を拾おと 紀の国の 由良の岬で 丸一日や》
―藤原房前―(巻七・一二二〇)
我が舟の 楫はな引きそ 大和より 恋ひ来し心 いまだ飽かなくに
《大和から 来たい来たいで 来たのんや まだ飽き足らん 楫回しなや》
―藤原房前―(巻七・一二二一)
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