【掲載日:平成24年5月25日】
炙り干す 人もあれやも 家人の 春雨すらを 間使ひにする
その他諸々 雑の歌 季節風景 自然詠む
人の営み 詠む故に 気持伝える 歌もある
春が来たなら 萌え立つ草木
山を彩る 白つつじ花
春の芽吹きに そぼ降る雨は
家待つ人の 涙の雨か
【鷺坂での歌】
山背の 久世の鷺坂 神代より 春は萌りつつ 秋は散りけり
《山城の 久世の鷺坂 神代から 春は芽吹くし 秋葉ぁ散らす》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一七〇七)
栲領巾の 鷺坂山の 白つつじ 我れににほはに 妹に示さむ
《鷺坂の 山に咲いてる 白つつじ 衣に付いてや 妻見せるんで》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六九四)
(栲領巾=白栲の領巾→白い→白鷺)
白鳥の 鷺坂山の 松蔭に 宿りて行かな 夜も更けゆくを
《鷺坂山の 松の木陰に 泊ろかな 夜もぼつぼつ 更けてくからに》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六八七)
【名木川での歌】
あり衣の 辺つきて漕がに 杏人の 浜を過ぐれば 恋しくありなり
《船岸に 寄せて漕いでや 杏人の 浜の素通り 悔しいよって》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六八九)
(あり衣の→身に纏い付く→辺につきて)
衣手の 名木の川辺を 春雨に 我れ立ち濡ると 家思ふらむか
《名木川の 岸辺で春雨に 濡れてわし 悩むん家で 知ってるやろか》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六九六)
家人の 使ひにあらし 春雨の 避くれど我れを 濡らさく思へば
《家からの 使いやろうか 春雨が 避けよ思ても 濡らしよんのは》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六九七)
炙り干す 人もあれやも 家人の 春雨すらを 間使ひにする
《干す人が 居らんに家人 春雨使こて 様子見に来る 気にしてるんや》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六九八)
炙り干す 人もあれやも 濡れ衣を 家には遣らな 旅のしるしに
《干す人が 居らへんのんで 濡れた衣 家に送るわ 旅苦分かる様に》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六八八)
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