【掲載日:平成24年5月11日】
住吉の 小田を刈らす子 奴かもなき
奴あれど 妹がみためと 私田刈る
旋頭歌調子 五七七 更に続けて 五七七
元は掛け合い 二人歌 一人二役 歌もある
単調仕事 節調子が助く
そこで生まれた 旋頭歌音頭
囃し揶揄 ちょっかい誘い
生活に根付く 笑いの節調子
【上手してるで 取り入るためか】
住吉の 小田を刈らす子 奴かもなき
奴あれど 妹がみためと 私田刈る
《住吉の 田ぁ刈るあんた 居らんか下男
居てるけど あの児のためや この手で刈るで》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二七五)
【年増女の 売り込み歌か】
春日すら 田に立ち疲る 君は悲しも 若草の 妻なき君が 田に立ち疲る
《休みでも 田ぁで働く あんた可哀想 嫁はんが 居らんかあんた 田で働いて》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二八五)
【婚儀の席の 新郎茶化し?】
新室の 壁草刈りに いまし給はね 草の如 寄り合ふ娘子は 君がまにまに
《新築の 壁にする草 刈り来たどうや 草の様に 寄り添う娘 思いのままよ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三五一)
新室を 踏み鎮む子が 手玉鳴らすも 玉の如 照らせる君を 内にと申せ
《新築の 家鎮めの児 鈴鳴らしてる花嫁よ 「婿殿どうぞ」 申されなされ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十一・二三五二)
【偉ろうなっても 人妻取るな】
山背の 久世の社の 草な手折りそ おのが時と 立ち栄ゆとも 草な手折りそ
《山城の 久世の社の 草手折るなよ 出世して 偉なった云て 草手折るなよ》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二八六)
【粧し込して 誰待ってんや】
江林に 臥せる鹿やも 求むるによき 白栲の 袖巻き上げて 鹿待つ我が背
《林中 棲む鹿獲るに 都合良えのんか 良え衣の 袖たくしあげ 鹿待つあんた》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二九二)
【まさか思うが 俺のんやろか】
夏蔭の 妻屋の下に 衣裁つ我妹 心設けて 我がため裁たば やや大に裁て
《夏木陰 妻屋の中で 布切る娘 わしのため 切るんやったら 一寸小さいで》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二七八)
【うまく煽てて 物するつもり?】
梓弓 引津の辺なる 名告藻の花 摘むまでに 逢はずあらめやも 名告藻の花
《お前ちゃん 引津の浜の 名告藻花や 手付かずを わし摘も思う 名告藻花や》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二七九)
【一寸兄ちゃん ここ来て休み】
垣越しに 犬呼び越して 鳥猟する君 青山の 茂き山辺に 馬休め君
《垣根越し 犬呼び出して 鷹狩するあんた 葉ぁ繁る 山の辺で 休みやあんた》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一二八九)
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