【掲載日:平成24年5月4日】
天の川 水蔭草の 秋風に 靡かふ見れば 時は来にけり
【天上】星の瞬き 湧き来る思い
我が恋ふる 丹の穂の面わ 今夕もか 天の川原に 石枕まく
《恋い慕う 紅い頬っぺは 今宵また 川石を枕に 独寝てるんやろか》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇〇三)
【地上】助け出来んか 空遠いけども
己夫に ともしき子らは 泊てむ津の 荒磯巻きて寝む 君待ちかてに
《恋夫に 滅多逢えん子 待ち兼ねて 磯枕して 寝て居るんやで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇〇四)
【天上】待った日近い 胸湧き躍る
我が待ちし 秋萩咲きぬ 今だにも にほひに行かな 彼方人に
《待ちに待つ 秋萩咲いた もう直に 逢いに行けるで 川向こうの人に》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇一四)
天の川 水蔭草の 秋風に 靡かふ見れば 時は来にけり
《川水辺 草秋風に 靡いてる 逢える季節が とうと来たんや》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇一三)
ま日長く 恋ふる心ゆ 秋風に 妹が音聞こゆ 紐解き行かな
《何時何時と 恋待つ胸に 秋風運ぶ お前の声や さあ共寝に行くぞ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇一六)
【地上】さあ七夕なった 見逃しならん
天の川 楫の音聞こゆ 彦星と 織女と 今夜逢ふらしも
《天の川 楫音してる 彦星と 織姫星が 今夜逢うんやな》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇二九)
【天上】船は行く行く 荒波小波
我が背子に うら恋ひ居れば 天の川 夜船漕ぐなる 楫の音聞こゆ
《あんた待ち 恋し恋しと 思てたら 夜船漕ぐ梶 聞こえて来たで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇一五)
天の川 去年の渡りで 移ろへば 川瀬を踏むに 夜ぞ更けにける
《天の川 今年流れが 変わったで 浅瀬探して 夜更けて仕舞た》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇一八)
我が恋を 夫は知れるを行く船の 過ぎて来べしや 言も告げなむ
《待つうちを 知ってるのんに 船去くで なんで相やねん 声掛けたいに》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一九九八)
天の川 夜船を漕ぎて 明けぬとも 逢はむと思ふへや 袖交へずあらむ
《夜通しに 船漕ぎ続け 夜明けても 逢わんで措くか 共寝ないで措くか》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇二〇)
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