【掲載日:平成24年5月8日】
大空ゆ 通ふ我れすら 汝がゆゑに 天の川道を なづみてぞ来し
【地上】煌めく星が 並んで見える
天の川 水さへに照る 舟泊てて 舟なる人は 妹と見えきや
《天の川 水に映えてる 舟着いた 漕ぐ彦星妻に 逢えたんやろか》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一九九六)
【天上】束の間逢瀬 時こそ止まれ
大空ゆ 通ふ我れすら 汝がゆゑに 天の川道を なづみてぞ来し
《空自在 通う彦星やが 逢いとうて 天の川越え 難儀して来たで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇〇一)
恋ひしくは 日長きものを 今だにも ともしむべしや 逢ふべき夜だに
《長ご長ごに 焦がれ待ったで さあ今や 心行くまで この夜過ごそや》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇一七)
万代に 携はり居て 相見とも 思ひ過ぐべき 恋にあらなくに
《ずううっと 一緒手繋ぎ 居ったかて それで気の済む 恋と違うで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇二四)
【地上】夜は更けゆく 夜明けは間近
一年に 七日の夜のみ 逢ふ人の 恋も過ぎねば 夜は更けゆくも
《一年に 七夕の夜しか 逢えん人 思尽くせんままに 夜更けてくで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇三二)
【天上】夜明け近づく 尽くせぬ思い
遠妻と 手枕交へて 寝たる夜は 鶏が音な鳴き 明けば明けぬとも
《やっと逢え 手ぇ絡まして 共寝る夜は 鶏声上げて 明けんなら明け》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇二一)
相見らく 飽き足らねども いなのめの 明けさりにけり 船出せむ妻
《十分に 逢瀬尽くした 言えんけど 夜明けて仕舞た 戻船出さならん》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇二二)
さ寝そめて 幾許もあらねば 白栲の 帯乞ふべしや 恋も過ぎねば
《床就いて まだ間もないに 帯付ける 言うたらあかん うちまだ足らん》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇二三)
【地上】夜明け無情に 白々明ける
汝が恋ふる 妹の命は 飽き足らに 袖振る見えつ 雲隠るまで
《彦星よ 愛しの妻は 袖振るよ 別れ惜しいて 姿消えるまで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇〇九)
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