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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

歴史編(24)見し給はまし

2009年07月14日 | 歴史編
【掲載日:平成21年7月14日】

やすみしし わが大君の 夕されば し給ふらし 明けくれば 問ひ給ふらし 
神岳かむおかの 山の黄葉もみぢを 今日もかも 問ひ給はまし 明日もかも し給はまし 
その山を ふりさけ見つつ 夕されば あやに悲しみ  明けくれば うらさび暮し 
荒栲あらたへの 衣の袖は る時もなし
【檜隈大内陵 天武・持統合葬陵】


あぁ なんという 人であったろう 
これほど 強い人が あったであろうか 
沈着 豪気 
それでいて 女人おみなの気も らさない
ここ 飛鳥淨御原宮あすかきよみはらのみやに 大殿おおとのを築き
「神にしあれば」と たたえられた
大王おおきみ中心の 治世を開き 
自らを 天皇すめらみこととされた方

思えば 始まりは 吉野こう であったか
父天智との 確執 亀裂 
われは 夫大海人おおあまを 選んだ
雪降り 寒風吹きすさぶ 道々 
手を携えての 逃避であった 
東国での挙兵を目指し 伊勢 美濃への移動 
背を越す夏草 襲い来る驟雨しゅうう
信じる夫に 付き従っての 行軍 

共にめた辛苦しんく それがきずなを強くした

やすみしし わが大君の 夕されば し給ふらし 明けくれば 問ひ給ふらし 
神岳かむおかの 山の黄葉もみぢを 今日もかも 問ひ給はまし 明日もかも し給はまし 
その山を ふりさけ見つつ 夕されば あやに悲しみ  明けくれば うらさび暮し 
荒栲あらたへの 衣の袖は る時もなし

《朝夕に 神岡もみじ 見たい言う 今日のはどやろ 明日あすはどや
 聞いてたあんた もうらん 今日も聞いてや 明日あすも見て
 その山見るたび 悲しいて 思い出すたび さみしゅうて
 涙流れて 止まらへん》 
                         ―持統天皇―(巻二・一五九)

そうも してれぬ
われが 皇后となり 内助しての施政しせい
草壁の手に 天下が 渡るまで 
われが 支えねば

時に 朱鳥元年(686)九月 
天武崩御時 鵜野讃良うのさらら感懐かんかいは 複雑



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