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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

歴史編(35)標結へ我が背

2009年07月03日 | 歴史編
【掲載日:平成21年7月29日】

おくて 恋ひつつあらずは かむ
             道の隈回くまみに しめ


【穂積皇子の参籠した崇福寺址の礎石】

りによって 赤兄あかえの血を引く 皇子おうじなどと」
高市皇子たけちのみこは 苛立いらだっていた

二十歳近く違う異母妹いもうと 但馬皇女たぢまのひめみこを 迎えたのは 皇女ひめみこが 母氷上郎女ひかみのいらつめを 亡くした時だ
がわりの八年 但馬は十五才になっていた
太政大臣・高市のもと 政務で 訪れる異母兄あに穂積皇子ほづみのみこに 皇女ひめみこは 恋の火をともした

高市たけち兄様にいさまが嫌っていても いいの わたしは)
秋の田の 穂向ほむきに寄れる 片寄かたよりに 君に寄りなな 言痛こちたくありとも
《なにやかや うるそう言われ つらいけど あんたに寄りたい 稲穂いなほみたいに》
                         ―但馬皇女―(巻二・一一四)

(しばらく 別にするか) 
穂積皇子に 天皇のちょくりた
近江朝鎮魂ちんこん供養での 志賀の山寺への参籠さんろうめい

(離されて たまるものですか) 
おくて 恋ひつつあらずは かむ 道の隈回くまみに しめ
《残されて 泣いてるよりは うて行く 通る道々 (追っ手止める)標縄しめ張れあんた》
                         ―但馬皇女―(巻二・一一五)

思わぬ後追いに 憤懣ふんまんやるかたない 高市たけち
皇女ひめみこを 離れの部屋に閉じ込める
(ここまで なさるか それでも・・・) 
人言ひとごとを しげ言痛こちたみ おのが世に いまだ渡らぬ 朝川渡る
《あんまりに やかましよって 心決め 一線越えた うちのせいちゃう》
                         ―但馬皇女―(巻二・一一六)

高市の憂慮ゆうりょをよそに 皇女ひめみこは 信じた道を行く



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