本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

メデュウサ (山岸凉子)

2007-08-11 00:50:39 | 漫画家(や・ら・わ行)
短編が五編入っている。

「鬼来迎」「ダフネー」は作者お得意の人間心理のドロドロを上手く表現している。

「籠の中の鳥」は、ちょっと不思議な能力を持った一族の末裔である少年の話。
一応、ハッピーエンドではあるが、今後この少年がどういう一生を送るかに興味がある。
続きはないのだろうか??

「メデュウサ」は、主人公と同性愛の関係であるニコラがいい。
最初は酷い性格だと思ったが、ラストページの前のページでのセリフで彼女に対する気持ちが180度変わった。

「あたし
あんな人間に同情しないんだ
少しでもつらくなると
相手を石にして
無視しようとするなんて
自分を最後まで
最後まで守った奴がああなるんだもの
同情なんかしない」

非常に心に響く重くて深いセリフである。



「恐怖の甘い物一家」
これは笑える!!
非常に笑える!!
幸い私は洋菓子は食べれるが、和菓子は苦手である。
夕食が特大のボタモチ5コ!!だったりしたら・・・「恐怖」です。(笑)
甘い物嫌いの人が読むと受けるかもしれない。


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2 コメント

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私も、 (くま)
2007-08-23 09:32:26
このニコラの最後のセリフ、とても印象に残っています。
他にはこの写真の単行本でP188からのシーン。
「この女はどうしてこんなに笑うのだろう?」
それは私などには少し「乾いた笑い」に見えるんですが、それでもニコラの笑い声で、メデュウサの蛇の髪は人間の髪に、体のひび割れも取れますよね…
そしてニコラが寝言で別の男性の名前をつぶやいた途端、また心を閉ざした脆いメデュウサの姿になる…
「理解しよう」「理解されよう」という気持ちを放棄して、ただひたすら自分の殻に閉じこもろうとすることの不自然さが伝わってきます。

「ダフネー」でもそうですが、「鬼来迎」でも<先生>の、命を懸けて息子を救った夫の心を全く理解していないところから、相手の中の自分に都合のいい部分だけを見ているような、そういう他者に対する拒絶感と、その不自然さの恐ろしい末路とその道への意外なはまり易さを見るようで、考えさせられます。
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ニコラ・・・ (ちと)
2007-08-24 18:13:33
ニコラって、一見メデュウサとは全然性格が反対のように見えるけど、本当は紙一重というか、自分と似てる所があると感じてるのかもしれませんね。

こういう話は、「心理学」の授業のテキストにも使えるのではないか・・・なんて思ってしまいます。
どこかの大学で山岸作品を使用してる所ってないのかな~?
実際、某大学では「法学入門」のテキストに漫画作品を使ってるんですよね。
その本の記事を↓にトラバしてみます。

どんどん、漫画作品が世間で認められると嬉しいな~って思う私です。
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