イイギリ

2011-01-03 00:38:56 | 植物
イイギリの木は段々減っていく。

ある年の大晦日にサチコさんのお誘いで、
東京駅から歩き始めた。
北の丸公園を抜けたところで
靖国神社の向かいに赤い木が見えた。

近づいてみると、
葉はなく、枝という枝に赤い実の房がついている。
「イイギリでしょう」

サチコさんに教えられた翌日、
ホテルオークラの正月飾りに
イイギリの大枝があった。

三が日も明けて千駄ヶ谷の駅で
新宿御苑の中にも外にも
立派なイイギリの木があるのをみつけた。

近くに何本もあるのは、
種が鳥や風邪に運ばれたからだろう。
見上げるほどの大木もある。

それから毎年、イイギリの赤い実を見るのが
冬の楽しみになった。

久々に靖国神社前のイイギリを見に
神楽坂から歩いて行くと、
木は跡形もなく、隣接のビルも建て代わっていた。

そして新宿御苑の外にあった二本のイイギリは枯れてしまった。

目白台の永青文庫の林で
地面にイイギリの実が落ちているのを発見。
見上げても、ほかの木に遮られて
確かめられないほど高い。

それでも本館の隣に、
まだ若いイイギリが、小さな赤い房をつけていた。
地面に落ちた実がここまで育つのに何年かかるのだろう。

イイギリは、少しは増えている。