いすゞ自動車とバイオベンチャーのユーグレナは25日、ミドリムシから抽出した油を使いバス運行を始めると発表しました。開発途上の藻類燃料を継続利用する試みは国内で初めてのことです。「培養できる資源」が実用化に向け動き出しました。
「石油を一滴も使わない燃料を作りたい」。ユーグレナの出雲充社長はいすゞとの共同記者会見で意気込みを語りました。両社は7月から神奈川県藤沢市のいすゞ工場と最寄り駅を結ぶシャトルバスに新開発したバイオ燃料の利用を開始します。新燃料は従来の軽油にミドリムシから抽出した油を最大5%配合するのが特徴。2018年を目指し、全量ミドリムシ由来の燃料を開発する予定です。
植物などを原料とするバイオ燃料は生育段階で二酸化炭素(CO2)を吸収するため、燃やしても大気中のCO2総量が増えません。温暖化対策に需要が拡大していますが、現在主流のトウモロコシやサトウキビの利用は穀物価格の上昇を招く懸念がありますが、これはありません。食糧資源を減少させないバイオ燃料として注目されるのがミドリムシなどの藻類です。光合成で蓄積する油分を抽出するのです。単位面積あたりの生産量はトウモロコシの最大700倍とされ、培養できる夢の資源といわれています。
こうした研究は、ユーグレナ陣営だけではありません。京浜工業地帯の一角。原子力発電用の巨大工場の傍らで「榎本藻」と呼ばれる顕微鏡サイズの藻がすくすく育っています。IHIの専用プラントです。斎藤保社長の肝煎りの新規事業として、すでに本格培養の候補地の選定にも着手しました。デンソーは別種の藻を研究。Jパワーも日揮と4月から培養試験を始めるなど研究は花盛り。IHI試算では藻類燃料の需要は20年に年8千億円となる見通しで、電池や水素などへの代替が難しい航空機向けが当面のメーンターゲットとなります。
日本の1日あたりの石油消費量は米国、中国に次ぐ世界3位(英BP調べ)ながら、自給率は1%に満たないのです。藻類燃料が実現すれば自給率向上の夢も近づく。期待は高まりますが、国内勢による成功へのハードルも高いのです。「まだ実際にトラック1台を走らせるにも大変遠い状況。たやすくない」。19日、デンソー株主総会で宮木正彦副社長は株主からの質問にこう答えています。
最大の課題は生産コストです。各社の試算によると現時点の技術では1リットルあたり500~600円程度。ガソリン価格(店頭で同167円前後)に遠く及びません。大量培養と抽出技術の確立はまだ道半ばです。
もうひとつのハードルはライバル国の存在。米国では11年に海軍がヘリコプター燃料への利用を開始。民間航空機への活用も始まっている。オバマ大統領は「輸送用の輸入燃料の17%を代替できる」と表明、政権を挙げて開発工程表を作成し、多額の補助金を投入しています。ベンチャー投資も盛んで、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏らも出資を通じて開発を後押ししています。
藻類燃料の研究開発が日本で始まったのは石油ショックが直撃した1970年代です。国内勢は2020年前後での量産開始を目指しています。半世紀に及ぼうとする「国産資源」の開発は課題を抱えながら最終コーナーを迎えようとしています。
「石油を一滴も使わない燃料を作りたい」。ユーグレナの出雲充社長はいすゞとの共同記者会見で意気込みを語りました。両社は7月から神奈川県藤沢市のいすゞ工場と最寄り駅を結ぶシャトルバスに新開発したバイオ燃料の利用を開始します。新燃料は従来の軽油にミドリムシから抽出した油を最大5%配合するのが特徴。2018年を目指し、全量ミドリムシ由来の燃料を開発する予定です。
植物などを原料とするバイオ燃料は生育段階で二酸化炭素(CO2)を吸収するため、燃やしても大気中のCO2総量が増えません。温暖化対策に需要が拡大していますが、現在主流のトウモロコシやサトウキビの利用は穀物価格の上昇を招く懸念がありますが、これはありません。食糧資源を減少させないバイオ燃料として注目されるのがミドリムシなどの藻類です。光合成で蓄積する油分を抽出するのです。単位面積あたりの生産量はトウモロコシの最大700倍とされ、培養できる夢の資源といわれています。
こうした研究は、ユーグレナ陣営だけではありません。京浜工業地帯の一角。原子力発電用の巨大工場の傍らで「榎本藻」と呼ばれる顕微鏡サイズの藻がすくすく育っています。IHIの専用プラントです。斎藤保社長の肝煎りの新規事業として、すでに本格培養の候補地の選定にも着手しました。デンソーは別種の藻を研究。Jパワーも日揮と4月から培養試験を始めるなど研究は花盛り。IHI試算では藻類燃料の需要は20年に年8千億円となる見通しで、電池や水素などへの代替が難しい航空機向けが当面のメーンターゲットとなります。
日本の1日あたりの石油消費量は米国、中国に次ぐ世界3位(英BP調べ)ながら、自給率は1%に満たないのです。藻類燃料が実現すれば自給率向上の夢も近づく。期待は高まりますが、国内勢による成功へのハードルも高いのです。「まだ実際にトラック1台を走らせるにも大変遠い状況。たやすくない」。19日、デンソー株主総会で宮木正彦副社長は株主からの質問にこう答えています。
最大の課題は生産コストです。各社の試算によると現時点の技術では1リットルあたり500~600円程度。ガソリン価格(店頭で同167円前後)に遠く及びません。大量培養と抽出技術の確立はまだ道半ばです。
もうひとつのハードルはライバル国の存在。米国では11年に海軍がヘリコプター燃料への利用を開始。民間航空機への活用も始まっている。オバマ大統領は「輸送用の輸入燃料の17%を代替できる」と表明、政権を挙げて開発工程表を作成し、多額の補助金を投入しています。ベンチャー投資も盛んで、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏らも出資を通じて開発を後押ししています。
藻類燃料の研究開発が日本で始まったのは石油ショックが直撃した1970年代です。国内勢は2020年前後での量産開始を目指しています。半世紀に及ぼうとする「国産資源」の開発は課題を抱えながら最終コーナーを迎えようとしています。
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