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市場混迷の本当の原因はどこに!

2016-01-27 21:16:36 | 経済・金融・投資
金融市場は、まだ顕在化していない、そして決して現実にはならない可能性のある急激な景気下ぶれに対して慌てふためいている。

 英国と日本をはじめとする世界の主要株式市場が高値から20%余り下げ、いまや弱気相場に入っている。ダウ工業株30種平均は20日に前日比1.56%安となり、年初来の下落率が9.52%に達した。

 それでも、経済全般に同様なストレスの兆しがないならば、リセッション(景気後退)を必要以上に予告するような指標に注目する必要は一体あるのだろうか。相場急落が幅広い不安材料になる理由の可能性は三つある。

 一つ目は、リセッションが迫っているが、まだ統計に表れていない可能性だ。米国はもうじきリセッションを迎えてもおかしくない時期にある。景気拡大はいまや第2次世界大戦後で4番目の長さになり、株式市場は間違いがちだがリセッションの先行指標だ。

 だが、実際の経済指標はリセッション前の動きを示してはいない。2015年10-12月期の米経済成長はおそらくゼロに近かっただろうが、雇用の伸びは実際に加速している。消費者心理は、株価不安はあるものの、1月初めに高まった。景気下ぶれに先行することが多い住宅市場だが、一戸建て住宅の建築許可件数は12月に実際増加した。

国外情勢に目を向けると、元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのオリビエ・ブランシャール氏は先ごろ、「中国の成長が落ち込むと、世界的な試練になるだろう。だが、そのような落ち込みの証拠はどこにもない」と指摘した。実際、同国の昨年の経済成長率は25年ぶりに6.9%と低水準だったが、これは同国政府がかねて目指してきた水準だ。12月の輸出入統計は中国経済が安定している事実を示している。

二つ目は、経済の弱まりが金融市場の混乱を引き起こす可能性よりも、混乱そのものが危機やリセッションを生む恐れだ。例えば、原油相場の急落で、エネルギー関連企業もそうでない企業も社債利回りが跳ね上がり、多くの銀行がエネルギー企業向け融資の大幅な損失を明らかにした。極めて安全とされる3カ月物米政府短期証券(Tビル)の利回りと国際銀行間取引の指標となる3カ月物ユーロドル金利のスプレッド(金利差)は「TEDスプレッド」と呼ばれ、金融市場のストレス度の尺度とされるが、このスプレッドが急拡大している。

 だが一方、銀行が抱えるエネルギー関連の投融資額は、2008年のサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン債権や1982年の中南米向け債権ほど多くない。また、規制当局は先の危機以降、金融機関に対して資本と流動性の手当てを厚くするよう義務づけている。

 三つ目は一番あり得ることで、特に中国や米国での出来事をきっかけに、市場が政策当局に対する信頼を失っている可能性だ。

 中国の指導者らは株式バブルの崩壊を食い止めるのにしくじり、昨年8月に続き今月もまた人民元切り下げで世の中を困惑させた。同国の金融政策は不透明で政治的色彩が濃い。そのため、通貨切り下げは市場が決める為替レートに移行する一環との公式説明を、国外の人々は鵜呑みにしないのだ。ヘッジファンド運用に携わった経験のあるピーターソン国際経済研究所のエンジェル・ユビデ氏は、「中国当局が常に正しいことをする能力については、総じて信頼を失っている」と指摘した。

 対照的に米連邦準備制度理事会(FRB)は透明性があり独立している。問題は市場がFRBの計画に賛同していないことにある。FRBは昨年12月、失業率が5%に下がる中、米経済はゼロ近くの金利で支援する必要がもはやなくなったとして利上げに着手した。来年末までに短期金利を2%超まで引き上げる意向を示した。だが原油相場の下落でFRBが目標とする2%のインフレ率は一段と遠のいたため、これはさらにゆっくりとした金利正常化に値すると市場は受け止めている。

 FRBの(いまのところ)利上げするとの判断は現在、株式市場にとっての逆風になっている。2008年以降の一連の刺激策は相場の追い風だった。だが、これは必ずしも経済にとって問題ではない。投資顧問会社SLJマクロ・パートナーズの共同創業者、スティーブン・ジェン氏は顧客向けリポートで先ごろ、株価急落は経済の弱まりでしか正当化できないとの考えに対し、「反対に米国と世界経済が08年以降実際に200%改善したり07年のピーク時から20%良くなったりしたならば、どうなると言うのだろう」と疑問を投げかけた。

 FRBがもはや投資家にリスクに対して身構えるよう促さないのならば、株価収益率(PER)などでみる株価評価は下がるはずだ。これは株式投資家にとって喜ばしくない事態だが、実体経済にはかなり当てはまらないことだ。

 リセッションや危機が迫っているとしても、中央銀行や政府は助けることができず、救いの手を差し伸べないことの方がずっと心配だ。中国の指導者らは、政府主導での投融資活性化はやりすぎだったと考え、新たに着手する可能性を否定している。利下げ余地はFRBには0.25%しかないし、他の中央銀行には全くない。

 パシフィック・インベストメント・マネジメント(ピムコ)の役員、アンドリュー・ボールズ氏は、相場が十分安くなるか、中央銀行による利下げなどの「サーキットブレーカー(回路遮断装置)」の発動が期待されれば、相場は反転するはずだと言う。ただ、「中央銀行がサーキットブレーカーを欠いていることが心配だ」と指摘した。(ソースWSJ)

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