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シャープ争奪戦を左右するアップルの存在感!

2016-01-24 16:32:11 | 経済・金融・投資
シャープの争奪戦は、アップルの存在抜きには語れそうにありません。アップルの主要サプライヤーである台湾の電子機器受託製造(EMS)大手の鴻海(ホンハイ)精密工業は大胆にもシャープとそのディスプレー技術の買収を提案しました。しかし、その条件は実のところ見た目ほど良くはありません。しかも、シャープの支援者たちには官民ファンドの産業革新機構による対抗案を支持する政治的および経済的理由があります。どちらの案にとっても、今後のアップルとの取引が大きな鍵を握ります。

 鴻海は総額6250億円の買収額を提示しましたが、これを全額、普通株の取得に充てるわけではありません。事情に詳しい関係者によると、約2250億円はシャープが昨年発行した優先株の取得に回すといいます。

これは、シャープの大口債権者である、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の取り込みを狙ったものとみられます。2行は昨年7月、シャープ救済策の一環として2000億円の債務と優先株を交換しました。残りの250億円分の優先株は、救済に参加した企業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズが保有しています。

 これらの投資家は、保有する優先株を早期に売却できるチャンスを歓迎するかもしれないのですが、歓迎しない可能性もあります。2行が保有する優先株の年間配当利回りは2.5%と実勢銀行間金利を上回り、日本の超低金利下ではばかにできません。みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行はシャープの普通株も5%前後保有しています。しかし、両行には他にもよく考えなければならないことがあります。

 「日本株式会社」の多くだけでなく、日本の政府関係者も代替案の方を好んでいるようです。彼らは、条件は劣るかもしれませんが、産業革新機構がシャープを引き受けることを望んでいます。最終的に、産業革新機構がシャープのディスプレー製造事業を同業のジャパンディスプレイと統合することになりそうえす。

 ジャパンディスプレイは2012年に産業革新機構が日立製作所、東芝、ソニーのディスプレー事業を統合して設立しました。シャープのディスプレー製造事業が加われば、真の国内最大手となります。

 しかしこれは、海外企業の鴻海から重要な業界を守ることを目的とした保護主義的、縁故資本主義的行為としてあっさり片付けられる可能性があります。しかし今回の場合、防御態勢を固めようとする「日本株式会社」の動きは理解できます。

スマートフォン用・タブレット用ディスプレーの受注獲得競争はし烈で、アップルを中心とする大手デバイスメーカーはできるだけ価格を抑えるために、容赦なくサプライヤー同士を競い合わせています。シャープとジャパンディスプレイは、わずかな受注をめぐり韓国や台湾の競合企業と常に戦っているのです。こうした状況では、事業を統合して価格交渉力を高めることは理にかなっているのです。

 別の青写真は、アップル製品を製造している鴻海との垂直統合です。鴻海は、アップルなどの顧客との一括取引の一環として、製造する携帯電話に自社製ディスプレーを組み込むことができますが、このビジネスモデルは試されたことがないため、実際にどのような経済的利益をもたらすかは不明です。鴻海が現金をちらつかせることができても、シャープの将来はチームジャパンが決めることになるでしょう。(ソースWSJ)

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