生きる瞬間、瞬間がある。絶望は空しい。しかし絶望のない人生も空しいものだ。
絶望は、存在を暗くおおうのか。
誰でも絶望をマイナスに考える。だが、逆に猛烈なプラスに転換しなければならない。絶望こそ孤独のなかの、人間的祭りである。
私は絶望を、新しい色で塗り、きりひらいて行く。絶望を彩ること、それが芸術だ。
絶望するとき、あたりがくろぐろと淀む。その虚しさを抱きながら、私はまったく反対の世界をひらくのだ。
絶望のブルー。目の前に、透明なブルーが流れている。そしてその向こうに、紫のニュアンスがすっと切り抜ける。そしてキラっと真赤な線がひらめき、そのなかを舞うのである。
それが、絶望の色。リズム。
岡本太郎「対 極」より。
今年は岡本太郎先生の生誕100年、明治44年2月26日が誕生日。
東北文化論はとてもおもしろいです。
「秋田」 (『日本再発見-芸術風土記』所収)