★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィルのシューマン:交響曲第1番「春」/第4番

2020-08-27 10:11:33 | 交響曲(シューマン)

シューマン:交響曲第1番「春」/第4番

指揮:ラファエル・クーベリック

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1963年2月18日~21日、ベルリン、イエス・キリスト教会

LP:ポリドール SE 7905(ドイツグラモフォン 2544 099)

 シューマンは、1841年、31歳の時、交響曲第1番を作曲した。1841年3月31日、ライプツィヒのゲヴァントハウスでメンデルスゾーンの指揮により初演が行われ、好評を得たという。シューマンは、ベットガーの詩に「谷に春は目ざめたり」という文を見て、第1番の交響曲の作曲を思い立った。もともとシューマンは、文芸作品への造詣が深く、それが作曲の動機づけになったケースが少なくない。つまり、第1番の交響曲に「春」とつけたのは、シューマン自身で、最初、各楽章には、「たそがれ」「ゆうべ」「楽しい遊び」「春たけなわ」という表題が付けられていた。一方、現在シューマン最高の交響曲とされる第4番の交響曲は、第1番のずっと後に作曲されたわけではなく、交響曲第1番を作曲した同じ年に並行して作曲された作品である。このため、第2交響曲として初演されたが、こちらは、評判が良くなく、出版を取り止めたという。そして、1851年になって改作され、出版された。初演は、1853年5月3日に作曲者自身の指揮で行われた。第4番の作品の内容は、第1番と打って変わって、ベートーヴェンの「運命交響曲」のような激情を込めた力強さに満ちた作品に仕上がっている。フルトヴェングラーが指揮したシューマン:交響曲第4番の名盤があるが、如何にもフルトヴェングラーが好みそうな作品である。このLPレコードでベルリン・フィルを指揮しているのがチェコ出身の名指揮者ラファエル・クーベリック(1914年ー1996年)である。1942年、チェコ・フィルの首席指揮者に就任したが、第2次世界大戦後のチェコの共産化に反対し、1948年に渡英、そのままイギリスへと亡命した。シカゴ交響楽団の音楽監督、コヴェント・ガーデン王立歌劇場の音楽監督を務め後、1961年にバイエルン放送交響楽団の首席指揮者に就任し、同楽団を世界レベルにまで押し上げた。1989年にチェコで民主化革命が起きたのを契機にイギリスから帰国し、チェコ・フィルより終身名誉指揮者の称号を受けた。このLPレコードでのラファエル・クーベリックは、至極正統的なもので、何の誇張もなく真正面からシューマンの交響曲を指揮する。しかし、ただ淡々と指揮をするだけではなく、内面からのシューマンへの敬愛が込められたかのような指揮なので、その一音一音が生き生きとした息遣いが込められているようでもあり、最後まで聴き終えたときとき初めて、「さすがラファエル・クーベリックに指揮だけのことはある」と納得させられるようなLPレコードである。(LPC)


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