★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ハインツ・ホリガー&イ・ムジチ合奏団のアルビノーニ:オーボエ協奏曲Op.9

2021-09-27 09:38:12 | 協奏曲


アルビノーニ:オーボエ協奏曲Op.9の2、11、5、8

オーボエ:ハインツ・ホリガー

ハープシコード:マリア・テレサ・ガラッティ

管弦楽:イ・ムジチ合奏団

LP:日本フォノグラム(PHILIPS) SFX-7964

 オーケストラが演奏の前、音合わせ(チューニング)をするとき、オーボエが最初に吹き、それに続いて第一ヴァイオリン、さらに他の楽器が続く。そんなオーボエが主役を演じる協奏曲の中でも白眉とも言えるのが、一連のアルビノーニのオーボエ協奏曲だ。このLPの最初の曲である作品9の2を聴くと、流麗この上ないホリガーのオーボエの音色に忽ち引きつけられ、聴き惚れる。そんな魅力的なオーボエの音こそLPレコードで聴いてほしいものだ。その人間的な音が目の前に迫ってくるようだ。アルビノーニ(1671年―1750年)は、ヴィヴァルディより7年早く、ヴェネチアで生まれた。育った家が裕福であったため、当初は音楽で生計を立てる必要はなかったようである。しかし、その後、職業的なヴァイオリニストとして生計を立てるようになる。アルビノーニは、多作家で、約50曲のオペラをはじめ、数多くのカンタータ、アリアを書き残しており、当時は、オペラ作曲家として、その名が通っていたという。しかし、音楽史上では、器楽曲の作曲家としての方が大きな役割を演じ、ヴィヴァルディの作風にも大きな影響を与えたほど。作品9の「五声のためのコンチェルト」は、1722年に出版された最後の作品集。ソロ楽器と弦楽4部のコンチェルト12曲からなる。全体は、ソロ楽器として、①ヴァイオリンによるもの②オーボエによるもの③2本のオーボエによるもの―の4曲づつ3つのグループに分けられる。このレコードには、そのうち、オーボエのソロ・コンチェルトの4曲が収められている。アルビノーニは、管楽器の中では、特にオーボエに興味があったらしく、生前出版された42曲のコンチェルトのうち、16曲にオーボエを用いている。このレコードでオーボエを演奏しているのは、スイス出身のオーボエ奏者・指揮者、作曲家であるハインツ・ホリガー(1939年生まれ)である。ベルン音楽院、バーゼル音楽院、パリ音楽院で学ぶ。オーボエのソリストとしては、1959年ジュネーヴ国際音楽コンクール優勝、1961年ミュンヘン国際音楽コンクール優勝の受賞歴を誇り、国際的に名声あるオーボエ演奏家である。生前カザルスは、ホリガーを「偉大な芸術家、信じられない程のヴィルトゥオーゾ」と絶賛したという。ホリガーは、オーボエの演奏技法と流麗な響きの可能性を切り開き、18世紀において重要な役割を演じていたオーボエを、再び現代に蘇らせた、偉大なオーボエ奏者である。(LPC) 


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