★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ツェラー&サバレタのモーツァルト:フルートとハープのための協奏曲/ライネッケ:ハープ協奏曲

2021-09-23 09:37:24 | 協奏曲


モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299
ライネッケ:ハープ協奏曲ホ短調op.182

フルート:カールハインツ・ツェラー

ハープ:ニカノール・サバレタ

指揮:エルンスト・メルツェンドルファー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

LP:ポリドール(グラモフォンレコード) MGW 5121 

録音:1962年10月22、23日(モーツァルト)
   1962年18日ベルリンUFAスタジオ(ライネッケ)

 モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲は、1778年にモーツァルトが一挙にフルートの曲を書いた年に作曲された。内容は、誠に典雅な雰囲気に満ち溢れた曲であり、幸福なモーツァルトそのものといった趣の曲だ。そんなモーツァルトを、フルートのカールハインツ・ツェラー(1928年―2005年)とハープのニカノール・サバレタ(1907年―1993年)が、互いに親密な会話をしているように、限りなく美しく演奏している。リスナーは、あたかも馥郁と香り立つ花が部屋いっぱいに咲き乱れている中にいるような雰囲気に包まれるようだ。そんな曲を聴くには、絶対にCDよりはLPレコードがの方が良いのである。モーツァルトは、7~8歳の時、神童としてヨーロッパ中を演奏旅行した。今のように鉄道も飛行機もなく、馬車の旅であったわけで、子供のモーツァルトにとってさぞ体力的にきつい旅であったろうことが想像できる。このとき、モーツァルトはパリに立ち寄っているが、1778年、22歳時にも、ふたたびパリに立ち寄っている。しかし、この時、母を失うなど、恵まれた旅とはいえなかったが、作曲の面では、充実した作品を遺している。交響曲第31番「パリ」、7曲のヴァイオリンソナタ、そして4曲のピアノソナタなどが挙げられる。それに加え、フルートの作品をほぼこの1年の間に書き上げている。その中の1曲がフルートとハープのための協奏曲である。この曲は、アマチュアのフルート奏者のギネス公の依頼によって書かれた。フルートとハープという珍しい楽器の組み合わせの作品を書いたのは、ギネス公とその娘が、それぞれの楽器の名手であったという事情によったもの。モーツァルトは、フルートもハープも、マンハイム-パリ滞在中以外はほとんど書いていない。これは、当時、これらの楽器が十分な機能がなかったためと言われている。一方、ライネッケ:ハープ協奏曲は、名ピアノストでもあったライネッケ(1823年―1910年)がライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団の音楽監督を務めたいた時代の作品。作曲者としてのライネッケは、メンデルスゾーンの影響を深く受けた合計200あまりの作品を遺している。ハープのニカノール・サバレタは、スペインの出身で、マドリード音楽院で学ぶ。自分で考案した8つのペダル付きのハープの多彩な表現で人気を集めた。フルートのカールハインツ・ツェラーは、ドイツ出身で、1960年~1969年の間、ベルリン・フィルの首席奏者を務めた後に独奏者として活躍した。(LPC)


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