★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇閨秀ハーピスト アニー・シャフランによるドビュッシー/ラヴェル/ピエルネ/フォーレのフランス音楽ハープ名曲集

2024-07-04 09:38:33 | 協奏曲

 

ドビュッシー:神聖な舞曲と世俗的な舞曲
ラヴェル:序奏とアレグロ
ピエルネ:ハープ小協奏曲
フォーレ:即興曲Op86

ハープ:アニー・シャフラン

指揮:アンドレ・クリュイタンス

管弦楽:パリ音楽院管弦楽団

ヴァイオリン:ティッシュ&シモン
ヴィオラ:レキャン
チェロ:ベクス
フルート:カラシェ
クラリネット:ブータール

録音:1965年11月

LP:東芝EMI EAC‐40110

 このLPレコードは、フランス音楽の中でも極上のハープの音色思う存分味わえる一枚である。豊穣な香りのワインにも似て、ハープの響きは、この世ので聴く天上の音楽とでも言ったらいいのであろうか。ところでハープという楽器は我々にとって親しみのある楽器ではあるのだが、いつ頃から今の形のハープが定着したのであろうか。その辺を、このLPレコードのライナーノートで、三浦淳史氏が解説しているので紹介しよう。19世紀の終わりの頃から、フランスのハープ界は、急速な飛躍を遂げたようで、“ハープはフランス”という名声を高めたが、それは、新しいハープの開発が行われたからだという。エラール社が近代のペダル・ハープの形を確立し、一方、プレイエル社は、半音階ハープを試作した。プレイエル社は、1903年の初頭、ブリュッセル音楽院のコンクール曲として、ドビュッシーに半音階ハープのための作品を委嘱し、その結果生まれたのが「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」。一方、エラール社も負けてはならじと、ラヴェルにペダル・ハープ用の曲を委嘱し、その結果生まれたのが「序奏とアレグロ」。その後、半音階ハープは、改良されたペダル・ハープに座を明け渡すことになった。このLPレコードの最初の2曲は、フランスのハープの歴史そのものであるドビュッシーの「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」と、ラヴェルの「序奏とアレグロ」が収録されている。フランスのハープ奏者というと直ぐに思いつくのは、当時一世を風靡した閨秀ハーピストのリリー・ラスキーヌ(1893年―1988年)だ。そのリリー・ラスキーヌの高弟が、このLPレコードで演奏している女流ハーピストのアニー・シャフラン(1940年生まれ)なのである。アニー・シャフランは、16歳でパリ音楽院のハープ科を首席で卒業。翌年、コロンヌ管弦楽団の首席奏者となり、ヨーロッパ各地での演奏旅行によってその名がヨーロッパ中で知られるようになった。このLPレコードの演奏でも、アニー・シャフランのハープ演奏は、如何にもフランス音楽の精髄を極めたような、精緻で、しかも麗しい雰囲気が横溢したものになっており、ハープの持つ独特の優雅で、馥郁たる余韻を持った音楽を存分に味わうことができる。アンドレ・クリュイタンス(1905年―1967年)指揮パリ音楽院管弦楽団の伴奏が、これまた幻想的で素晴らしい演奏を聴かせてくれる。(LPC)


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