シュトックハウゼン:「コンタクテ」~エレクトロニック・サウンドと打楽器のための~
「ルフラン」~三人の楽器奏者のための~
ピアノ/打楽器/木鐘 :アロイス・コンタルスキー
打楽器/ヴァイヴ/カウベル :クリストフ・ジーベン
チェレスタ/監修 :カールハインツ・シュトックハウゼン
LP:ワーナー・パイオニア H‐4403V
これは、現代音楽の旗手の一人であったカールハインツ・シュトックハウゼン(1928年-2007年)の2つの作品「コンタクテ」「ルフラン」を、演奏を含めて、シュトックハウゼン自身の監修で収録したLPレコードである。カールハインツ・シュトックハウゼンは、ドイツ出身の現代音楽作曲家。ケルン音楽大学で学んだ後、1952年にはフランスに移り、パリ国立高等音楽院に入学。この時、世界で初めての電子音楽を作曲。第二次世界大戦後の前衛音楽の時代において、ピエール・ブーレーズ、ルイジ・ノーノらと共に、12音技法から発展した音楽である「ミュージック・セリエル」の主導的な役割を担った。1977年から2003年まで、7つのオペラから構成される長大な連作「光(LICHT)」の創作に携わり、最終作である「日曜日」の第3場面「光‐絵」が、2005年の来日の際に、東京の夏音楽祭で演奏されたこともある。一方、1998年からは毎年キュルテンで「シュトックハウゼン講習会」を開催し、後進の指導にも取り組んでいた。シュトックハウゼンは、第2次世界大戦後、急速に勃興した現代音楽のリーダーの一人であり、当時その名は、広く浸透していた。今回、シュトックハウゼン:コンタクテとルフランを改めて聴いてみて、その作品の新鮮な感覚に引き付けられた。シュトックハウゼンは電子音楽の祖であり、この2つの作品も、電子音楽あるいはミュージック・コンクレート (1940年代の後半にフランスでピエール・シェフェールによって作られた現代音楽のひとつのジャンルで、音響・録音技術を使った電子音楽の一種)的雰囲気を持ったの作品である。シュトックハウゼンの作品は、どこで始まろうが、どこで終わろうか、関係ないような音楽だ。何かの思想が込められているわけでもない。どちらかと言えば絵画のような曲だ。絵画は、部屋の中にずっとあり、始めも終わりもない。それでいてある存在感があるのだ。シュトックハウゼンのこの2曲の作品を聴いていると、深い森の奥で自然が発する音の調和を聴いているようにも聴こえるし、あるいは宇宙の果てに行って、そこで奏でられる自然が発する音を聴いているようでもある。あるいはまた、戦争の惨禍の余韻が漂う、無人となった戦場に一人佇んでいるようでもある。要するに、その作品から受ける印象は、リスナー一人一人で全く違うと考えた方が、多分正解なのだろう。シュトックハウゼン:コンタクテとルフランは、これからの時代の中で、一層光り輝く何かを包含しているように思えてならない。今、再評価されるべき作品であると考えるが、どうであろうか。(LPC)
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