★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇フランス・ブリュッヘンのブロックフレーテ(リコーダー)によるバロック音楽名演集

2024-09-02 09:37:30 | 古楽


①ヴィヴァルディ:ブロックフレーテ、オーボエ、ヴァイオリン、ファゴットと通奏低音のための協奏曲
②バード:5声部のブラウニング“青葉”―5本のブロックフレーテのための―
③シンプソン:4声部のリチェルカーレ“愛しいロビン”―ガンバ、ブロックフレーテ、ガンバ/ヴァージナルのための―
④モーリー:哀しみのファンタジア(2声部)―ブロックフレーテ、ガンバのための―
⑤モーリー:狩りのファンタジア(2声部)―ブロックフレーテ、ガンバのための―
⑥パーチャム:ブロックフレーテと通奏低音のためのソロ
⑦ヴァン・エイク:“ダフネ”による変奏曲
⑧ラヴィーニュ:ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ「ラ・バルサン」
⑨ダニカン=フィリドール:ブロックフレーテと通奏低音のためのソナタ
⑩テレマン:ファンタジア―無伴奏フルートまたはヴァイオリンのための“12のファンタジア”より

ブロックフレーテ(リコーダー):フランス・ブリュッヘン


オーボエ:ユルク・シェフトライン
ヴァイオリン:アリス・アーノンクール
ファゴット:オットー・フライシュマン
チェロ:ニコラウス・アーノンクール
チェンバロ:グスタフ・レオンハルト

②~⑤
ブリュッヘン合奏団(オリジナル楽器使用)
指揮:フランス・ブリュッヘン


ガンバ:ニコラウス・アーノンクール
チェンバロ:グスタフ・レオンハルト

⑧~⑨
チェロ:アンナー・バイルスマ
チェンバロ:グスタフ・レオンハルト

発売:1980年

LP:キングレコード K15C-9036

 ブロックフレーテは、ドイツ語での呼び方で、英語ではリコーダーとして知られる、古楽で使われる木管楽器。同じエアーリード(リードを持たない木管楽器)である現代のフルートが横笛であるのに対し、ブロックフレーテは縦笛。吹奏が比較的に容易であり、構造もシンプルで、安価に量産できるため、日本では教育楽器として多用されている。西ヨーロッパでは中世からその存在が知られ、ルネサンス期には盛んに用いられ、バロック期前半の17世紀には現在用いられるものとほぼ同じ形のものが完成された。テレマンが自ら演奏したことでも知られる。しかし、続く古典派音楽に至って、ブロックフレーテは全く顧みられなくなってしまった。ところが、20世紀初頭になり、復元され、過去の奏法が研究され、現在では古楽演奏では欠かせない楽器の一つとなっている。フランス・ブリュッヘン(1934年―2014年)は、オランダのアムステルダム出身。アムステルダム音楽院、アムステルダム大学で学ぶ。卒業後に古楽演奏に取り組み、1950年代よりブロックフレーテ奏者として活動を開始し、古楽の草分け的な存在となった。1981年には、オリジナル楽器のオーケストラである「18世紀オーケストラ」を結成して指揮者に転じた。フランス・ブリュッヘンは、この18世紀オーケストラを指揮し、多数の録音を遺した。1973年にはブロックフレーテ奏者として初来日を果たしている。このLPレコードには、フランス・ブリュッヘンのブロックフレーテ演奏を中心に、ブロックフレーテが使われた古楽の室内楽の名品が収めらている。フランス・ブリュッヘンが演奏するブロックフレーテの音色は、あたかも幻想のベールに包まれたようでもあり、素朴であるが詩的な雰囲気を醸し出し、他の楽器では到底表現不可能なような、しみじみとした情緒が辺りを覆う。昨今は古楽ブームと言ってもいいような状況にあるが、この古楽の開拓者の一人がフランス・ブリュッヘンその人である。この意味で、フランス・ブリュッヘンは、単なるブロックフレーテの一奏者というより、現代に古楽を蘇らせた偉大な演奏家として、後世にその名を留めることになるであろう。それにしても、このLPレコードでのフランス・ブリュッヘンのブロックフレーテ演奏は、何と純粋な美しさに満ち溢れていることか。久しぶりに古楽の楽しさを存分に味わうことができた。(LPC)


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