★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団のドヴォルザーク:弦楽セレナーデ/管楽セレナーデ

2023-04-03 09:54:11 | 管弦楽曲


ドヴォルザーク:弦楽セレナーデ op.22
          管楽セレナーデ op.44

録音:1963年12月18日―22日、ハンブルグ大音楽堂

指揮:ハンス・シュミット=イッセルシュテット

管弦楽:北ドイツ放送交響楽団

 このLPレコードは、古今の弦楽セレナードの傑作の一つに数えられるドヴォルザークの「弦楽セレナーデ」(作品22)と管楽器群が活躍する「セレナード」(作品44)の2曲が収められている。「弦楽セレナード」の方は、ドヴォルザークが大家としての道を歩み始めた頃の33歳の時に作曲された曲であり、全部で5つの楽章からなっている。曲想は実に若々しく、曲全体が青春の喜びに溢れているといった感じが直接伝わってくる。今では弦楽セレナードと言うと直ぐにチャイコフスキーの曲を思い出すが、このドヴォルザークの曲は、明るくしかも楽しい曲調に終始し、聴き易さの点ではチャイコフスキーの曲を数段上回ると、私などは思っている。この曲は昔はラジオなどからしょっちゅう流されていたが、最近はコンサートなどでもあまり取り上げられなったのは、実に残念なことではある。もっと広く聴かれてもいい名曲だ。一方、オーボエ、クラリネット、ファゴット各2、コントラ・ファゴット1、ホルン3およびチェロとコントラバスのために書かれたホ短調の「セレナード」の方は、「弦楽セレナード」の3年後の1878年に作曲された。何か農村の野外音楽を思わせる郷土色豊かな曲で、全部で4楽章からなる。管楽器の音色が実に印象的であり、「弦楽セレナード」ほど一般性はないが、噛めば噛むほど味わいが溢れてくるような懐かしさに溢れた作品である。これら2曲の指揮は、ドイツの名指揮者だったハンス・シュミット=イッセルシュテット(1900年―1973年)が務めている。ハンス・シュミット=イッセルシュテットは、ドイツ、ベルリン出身。1935年ハンブルク国立歌劇場の首席指揮者となり、1942年にはベルリン・ドイツ・オペラの歌劇監督に就任。第二次世界大戦後は、北ドイツ放送交響楽団を基盤にし、ベルリン・フィルやウィーン・フィルを初めとする世界の114のオーケストラのタクトを執った。ハンブルク州立歌劇場やコヴェントガーデンなどの主要な歌劇場でも活躍し、1955年から1964年まではロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者も務めた。このLPレコードの2曲とも、細部にわたって細やかな心配りがなされ、実に堅実な指揮ぶりが収められている。伸び伸びとしていて安心して聴いていられる演奏である。少しの衒いもなく、彫の深い演奏を聴くことによって、リスナーは無上の喜びを得ることができるのである。(LPC)


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