★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇モーリス・ジャンドロンのシューベルト:アルペジオーネ・ソナタ/ドビュッシー:チェロソナタ/ ベートーヴェン:「魔笛」の主題による7つの変奏曲

2023-04-06 09:36:53 | 室内楽曲(チェロ)

シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ
ドビュッシー:チェロソナタ
ベートーヴェン:「魔笛」の主題による7つの変奏曲

チェロ:モーリス・ジャンドロン

ピアノ:ジャン・フランセ

録音:1966年11月

発売:1975年

LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード) PC‐1565

 モーリス・ジャンドロン(1920年―1990年)は、フランス、ニース出身の名チェリスト兼指揮者。ニース音楽院で学んだ後、パリ音楽院でパブロ・カザルスの薫陶も受けた。1940年代半ばからは、シェルヘンやメンゲルベルクらから指揮法を教わっている。第二次世界大戦後の1947年にプロコフィエフのチェロ協奏曲のヨーロッパ初演を行い、名声を高めた。モーリス・ジャンドロンは、教育にも熱心で、1954年からザールブリュッケン音楽大学のチェロ科教授となり、1970年からはパリ音楽院のチェロ科主任教授に就任している。1960年にチェリストとして来日した後、1972年に指揮者として来日し、東京都交響楽団を指揮した。その後も1980年代には草津夏季国際音楽アカデミー&フェスティヴァルでは、チェロや室内楽、オーケストラの指導にも当った。このLPレコードでのモーリス・ジャンドンのチェロの演奏は、知的で抑制力があり、実にキメ細かく、そして美しい音色を存分に披露しており、聴いていて楽しめる。特にLPレコード特有の音質感とモーリス・ジャンドロンのチェロの音色が誠にうまくマッチし、LPレコードの存在感を一層際立たせる録音になっている。アルペジオーネ・ソナタは、シューベルト27歳の1824年に作曲された曲。アルペジオーネとは、この前年に発明され、その後10年ほどですたれたチェロに似た楽器。この曲をチェロで演奏するには高度な技巧がいるが、シューベルト独特の歌い心がたっぷりと味わえるためか、現在でもよく演奏される人気の曲となっている。シューベルトがエスターハージー家の音楽教師として、ハンガリーの田舎で夏を過ごした時の作品だけに、ハンガリーの民謡音楽をの影響を受け、エキゾティックな魅力を湛えている。シューベルト特有の透明感のあるこの曲を、モーリス・ジャンドロンは、軽快に颯爽と弾きこなす。ドビュッシー:チェロソナタは、ドビュッシーの死の3年前53歳の時の作品。印象派であった頃の作風とは異なり、古典的な作風の曲。モーリス・ジャンドロンは、この曲を手堅く、たっぷりと弾き込み聴き応えがある。ベートーヴェン:「魔笛」の主題による7つの変奏曲は、ベートーヴェン30歳頃の作品で、比較的演奏効果が発揮できる曲で、モーリス・ジャンドロンは、軽快にメリハリよく弾きこなし、鮮やかである。(LPC)


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