★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇プーランク自身のピアノ演奏を含むプーランク:2台のピアノのための協奏曲/クラヴサンと管弦楽のための“田園のコンセール”(田園協奏曲)

2020-10-15 09:55:14 | 協奏曲(ピアノ)

プーランク:2台のピアノのための協奏曲
      クラヴサンと管弦楽のための“田園のコンセール”(田園協奏曲)

ピアノ:フランシス・プーランク

ピアノ:ジャック・フェヴリエ

クラヴサン:エーメ・ヴァン・ド・ヴィール

指揮:ジョルジュ・プレートル

管弦楽:パリ音楽院管弦楽団

録音:1957年5月、パリ、サル・ド・ラ・ミュチュアリテ

LP:東芝EMI EAC‐40122

 これはフランスの作曲家で、フランス6人組の一人でもあったプーランク(1899年―1963年)が書いた2つの協奏曲を収録したLPレコードである。「2台のピアノのための協奏曲」では、プーランク自身ピアニストとして演奏しており、プーランクはピアニストとしても一流であったことが裏付けられる録音でもある。交響曲は書かなかったようであるが、声楽をはじめとして、室内楽、宗教的楽劇、オペラ、バレエ音楽、管弦楽曲など幅広く作曲した。父の反対によりパリ音楽院には進学せず3年間の兵役につき、その後本格的に作曲を学び始める。バレエ「牝鹿」、オペラ「ティレジアスの乳房」、オペラ「カルメル派修道女の対話」などを発表し、これらにより次第に高い評価を得ていく。プーランクはフランス音楽の権化みたいに感じられるが、プーランク自身は「フォーレやルーセルは受け付けない」と言っていたという。プーランクは生粋のパリっ子の都会人で、その作風も何かシャンソンに似ているようでもある。このLPレコードのA面に収められた「2台のピアノのための協奏曲」は、プーランクの天真爛漫さが発揮された協奏曲である。リスナーは、2台のピアノとオーケストラ繰り広げる音の絵巻を楽しむといった趣の曲だ。このLPレコードでは、プーランクと幼いころからの友人であったジャック・フェヴリエの2人のピアノ演奏が絶妙に絡み合い、これにジョルジュ・プレートル指揮パリ音楽院管弦楽団の粋なオーケストラの響きがよく溶け合った演奏内容となっている。プーランクの世界は、パリの粋な雰囲気が充満し、そのことでリスナーが心の充足感が得られるような作品が多いと思うが、これはその典型例とも言える作品であり演奏だ。B面に収められた「クラヴサンと管弦楽のための“田園のコンセール”(田園協奏曲)」は、クラブサン(ハープシコード)の名演奏家であったワンダ・ランドフスカに依頼によって作曲された作品。ワンダ・ランドフスカは、クラブサンを現代によみがえらせ、多くの演奏家を育て上げた。そんな人の依頼を受けたプーランクは、協奏曲というよりは、17世紀~18世紀の雰囲気に戻って、あたかも合奏協奏曲風な雰囲気を漂わす。このLPレコードでクラヴサンを演奏しているのは、ワンダ・ランドフスカに師事し、主にスイスで活躍したクラブサン奏者のエーメ・ヴァン・ド・ヴィール。この「田園協奏曲」の演奏内容は、クラブサンの繊細な響きとオーケストラのダイナミックな響きとが、意外にもうまくかみ合い、味わいのある演奏に仕上がっている。(LPC)

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