
ベッドの中で空を見ると雲が八ヶ岳の方からこちらにゆっくり動いてる。「今日は風が南から吹いてるな」と俺は言った。暫くするとヨメは布団の中から腕を上に上げて指をくるくる回し始めた。板の間でゴキブリが引っ繰り返った時みたいだった。俺は「宇宙と通信でもしてるのか」と一言。 ヨメは低気圧は反時計回りだから今低気圧はこっちにいるとかどうとか。反時計回りってのは天気図を見た時の話で今は空を見上げてるから低気圧は時計回り。そんな話をするとヨメの顔は止まった。次に立ち上がって俺の上で手を回し始めた。俺はトンボかい。 ![]() 「どっち回りになってる?」と聞かれたので答えたがヨメ自信はまだよく分ってない。すると今度は「自分が寝るから(俺に)立って手を回せ」と言う。そんなことしなくても部屋の右が地面で左が空じゃダメかいとやって低気圧のシミュレーションを開始。 ようやく理解したところでヨメは外を見て「雨が止んでるのかなデデッポーデデッポー」。何じゃそりゃ。この時言いたかったのは「山鳩がデデッポーデデッポーと鳴いてるから雨は止んでるのかな」だった。だったらそう言って欲しい。 |