『ラスト シネマ』 by 辻内智貴

辻内智貴の文庫本を読みました。

『ラスト　シネマ』 by 辻内智貴

本作のストーリーテリングは９歳の主人公です。哲太というその少年は放課後は大体見舞いに行く人がいたのです。それが、雄さん。雄さんは昔は映画俳優を目指しこの街を出ていったのだが、体を悪くしてこの街に戻ってきたのです。そんな雄さんがふと哲太少年に話したこと。

「いいじゃねえか、行かせてやれよ」

それは雄さんがその昔、一度だけセリフをもらって出演した映画のセリフだったのです。哲太少年は、何とかしてその映画を探し当てたい。そして、できればみんなに見てもらいたい。

そんな哲太少年と、彼の父親、そして父親の幼馴染の映画館のオヤジが大きな決断をします。そして物語はクライマックスへ。

本作中に、哲太少年が父親に聞いたこととその答えが出てくるのですが、それがまた言い古された感じもする言葉だけど、結構心打たれました。

僕は、ハートウォーミング系の作品に弱いのです。映画にしても、本にしても。

今日も、会社行く前に喫茶店でこの本のラストのほうを読んでいたら、思わず涙を浮かべてしまいました。周りの人はすごくヘンに思ったことでしょうね。

技巧的には大したことがないかもしれないけれど、この辻内智貴という作家に僕のココロは持っていかれちゃいましたね。

（2007/09/20　読了）