森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
花・髪切と思考の
浮游空間
カレンダー
2007年12月 | ||||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||
1 | ||||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | ||
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | ||
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | ||
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | ||
30 | 31 | |||||||
|
goo ブログ
最新の投稿
8月6日(土)のつぶやき |
8月5日(金)のつぶやき |
6月4日(土)のつぶやき |
4月10日(日)のつぶやき |
2月10日(水)のつぶやき |
11月12日(木)のつぶやき |
10月26日(月)のつぶやき |
10月25日(日)のつぶやき |
10月18日(日)のつぶやき |
10月17日(土)のつぶやき |
カテゴリ
tweet(762) |
太田光(7) |
加藤周一のこと(15) |
社会とメディア(210) |
◆橋下なるもの(77) |
◆消費税/税の使い途(71) |
二大政党と政党再編(31) |
日米関係と平和(169) |
◆世相を拾う(70) |
片言集または花(67) |
本棚(53) |
鳩山・菅時代(110) |
麻生・福田・安倍時代(725) |
福岡五輪幻想(45) |
医療(36) |
スポーツ(10) |
カミキリムシ/浮游空間日記(77) |
最新のコメント
Unknown/自殺つづくイラク帰還自衛隊員 |
これお・ぷてら/7月27日(土)のつぶやき |
亀仙人/亀田戦、抗議電話・メールなど4万件突破 |
inflatables/生活保護引き下げ発言にみる欺瞞 |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/国民の負担率は低いというけれど。 |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/[橋下市政]健康を奪い財政悪化招く敬老パス有料化 |
最新のトラックバック
ブックマーク
■ dr.stoneflyの戯れ言 |
■ machineryの日々 |
■ えちごっぺのヘタレ日記 |
■ すくらむ |
■ 代替案 |
■ 非国民通信 |
■ coleoの日記;浮游空間 |
■ bookmarks@coleo |
■ 浮游空間日記 |
過去の記事
検索
URLをメールで送信する | |
(for PC & MOBILE) |
安倍前首相と「役職にしがみつかない」カストロ
「役職にしがみつかない」=カストロ議長がメッセージ-キューバ(時事通信)
キューバのカストロ国家評議会議長は17日、国営テレビで読み上げられた書簡で、役職にしがみつかず、若い世代の指導者たちの台頭を阻害しないと述べた。 同議長は、「私の基本的な責務は、役職にしがみつくことでもなければ、若い年代の者たちの台頭を阻害することでもない。私が生きた例外的な時代から生じた経験とアイデアのつつましい価値を伝えることである」と述べた。 同議長は昨年7月に腸の手術を受け、弟のラウル第1副議長に権限を委譲して治療を続けている。 |
カストロが語ったという「役職にしがみつくことでもなければ、若い年代の者たちの台頭を阻害することでもない」という言葉。
すぐに安倍前首相を思い浮かべました。
自らのゆきづまりを当然、実感していたのでしょうが、安倍氏は記者に問われてつぎのように答えました。
記者;先ほどのインド洋での給油活動の継続の関連でお伺いするが、先ほど総理は継続に全力を挙げて取り組むと、職を賭して取り組んでいくと仰ったが、これは継続が叶わなかった場合には、内閣総辞職するという覚悟で臨むと、そういうふうに理解してよいか。
安倍;私が申し上げたのは、継続を可能にするためには、あらゆる努力を払わなければいけないということである。私の責任において、職責において、あらゆる全ての力を振り絞って、職責を果たしていかなければならないと考えている。当然、私は、私の職責にしがみつくということはない。
この質疑応答の中で前首相が語った「職責」という言葉とその遣い方が話題になりました。この前首相の日本語はそれまでもしばしば問題になっていましたが、政権の末期が近いと大方の人が感じていた折の話、ある意味で国民の多くはこの言葉遣いで彼を見限ったともいえるかもしれません。
彼は2つの遣い方をしています。カストロの言葉もあわせて、簡単な正誤表を以下に示します。
安 倍 | カストロ | |
---|---|---|
職責を果たす |
○ |
- |
職責にしがみつく |
× |
- |
役職にしがみつく |
- |
○ |
全力を尽くして職責を果たす、というのは問題ないでしょう。安倍氏がのべた、職責にしがみつくというのが間違った遣い方でした。職責とは、それぞれの職務上の責任をいうのですから、責任にしがみつくという言い方はしない。カストロのように「役職にしがみつかない」というべきでした。
あらためて思うのは、安倍氏の言語能力は措くとして、一国の首相に「職を賭して」といわしめ、首相の地位に拘泥しないとまでいわせる外圧の存在です。当時をふりかえると、給油活動継続の目処がたたない状況に、安倍氏がゆきづまりを感じていたのはそのとおりなのでしょうが、言葉を現出させたのは米国の圧力だったと思います(参照)。
政治家の言葉の背景にあるものをあらためて感じさせる出来事でした。
さて、新自由主義の嵐が吹き荒れた国ぐにと比較して、最近、とくに手厚い医療制度で注目されているキューバです。こんなキューバの国づくりだけでなく、すべての面でカストロの存在が大きかっただけに、ポスト・カストロが注目されるのはやむをえません。
ともあれ、冒頭の彼の言葉には、雄弁で、しかも熱情をこめアジテートするかつての彼を髣髴とさせるものを私は感じます。([世相を拾う]07004)
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
民間軍事会社;免責特権が暴力の引き金に。
民間軍事会社の象徴的な殺傷事件の1つが、今年9月のブラックウォーター社によるイラク民間人17人の射殺事件でしょう。この事件に関して、つぎの記事が目につきました(しんぶん赤旗12・18)。
ブラックウォーター社によるイラク民間人17人の射殺事件は、一企業の不祥事ではなく、長期に及ぶ米国の占領政策が引き起こした構造的なものだという見方が広がっています。 米上院政府改革委員会が10月にまとめた報告では、ブラックウォーター社は2005年からイラクで195の銃撃事件に関与しています。このうち8割以上で同社職員が先に発砲、それによってイラク人16人が死傷したとしています。報告は同社と契約を締結している米国務省が事件の表面化を避けてきたとして、同省の監督責任にも言及しています。 |
25000人~48000人ともいわれる民間軍事会社職員は、大使館職員や政府高官の警護だけでなく、実際に軍事作戦にも参加しています。まさに影の軍隊であって、しかもイラク政府の訴追を受けません。なにやら日本と在日米軍の米兵との関係を思わせます。
日本でも絶えない米兵の暴力・傷害事件。同じように、イラクで訴追を受けないことが一連の民間軍事会社の暴力を引き起こす引き金になっています。
挑発行為もないのに市民にむけて発砲する軍事会社職員。
長期化する米国の「報復戦争」を支える軍事会社。戦争をビジネスとした国はこうなるという典型かもしれません。こうした軍事会社の実態は、イラク政府と米政府の矛盾をいっそう広げ、またイラク国民の対米感情をいっそう激しいものにしているわけです。イラク政府は、上にのべた免責特権の廃止を強く求めているようです。([世相を拾う]07003)
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
中南米の緊張。
南米ボリビアで15日、民族主義色が濃い憲法改正案に反発して、同国に9つある県のうちサンタクルスなど4県の知事が「自治」を宣言した。改憲をすすめるモラレス大統領が「大地主たちは国民投票での敗北を恐れている」と非難するなど、政治的緊張が高まっている。 |
当ブログのいくつかの記事で、かつてのチリ・アジェンデ政権のことをとりあげました(参照)。
政権は、米国の支援を受けた反革命勢力によって倒されました。政権打倒の先頭にたったのがピノチェト将軍でした。
かつてのチリ左翼政権の誕生と崩壊を知る者にとっては、記事はどことなく当時のチリと相似するものを想像させます。
ベネズエラでは国民投票の結果、改憲は否決されました。それを機に、いっそう同国内の対立が深まるだろうと思っていました。
背後に何があるのか、記事から判断することはできません。
が、ベネズエラでは反政府勢力の動きが活発化しているようで、国民投票期間中もスマチという団体の反政府の動きはすでに報じられました。米国はどのように動くのか、興味あるところです。
ベネズエラのチャベスに国民投票に表れた同国民の改革への意識を尊重する姿勢が何よりも求められているように、モラレス(写真上)にも徹底して国民の意思を尊重する態度を貫くことが必要でしょう。そのことが結果的に、反政府の動きを封じることにつながるし、改革への道筋もむしろ明確になるのではないでしょうか。
アジェンデ政権当時との決定的なちがいは、すでに反・新自由主義の波が形作られ、国家間の連帯もまた可能であることでしょう。
そのちがいは決定的なもののようにも思えるのです。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
スピリチュアル被害!?
電話をかけてきた20代の女性は、女性誌の広告を見て3万円ほどの「開運ペンダント」を申し込んだといいます。「2週間で効果がある」と書いてあったのに、効果がなかったので広告先にクレームの電話をかけました。すると「あなたの前世に問題がある。えらい先生に鑑定してもらうので写真を送ってください」と広告先。女性は携帯メールで自分の顔写真を送信。鑑定の結果、オーラに問題があるので25万円の数珠を買うよう薦められました。「3カ月間、様子を見るよう言われた。もうすぐその期限になるが、なんだかおかしな感じがする」と女性。 |
「ゆうPress」という若者を対象にした紙面から引用(しんぶん赤旗12・17)。
第三者からみると、モロうさんくさい、詐欺じゃないかと思えるような経過。
なのに、当事者にはなかなかそう判断できないものなのでしょうか。ともかく引用記事の女性は、相手の話にその都度、反応していますね。
運を開く、などという非科学的なことに大きなお金がかかることがそもそも矛盾だと同紙は指摘します。
世の中、スピリチュアルブームとか。死後の世界や「生まれ変わり」などを信じる……。
ブームが先か、金儲けが先か。
これはなかなか難しい問題です。
が、このスピリチュアルブームに乗って悪徳商法が現実にはびこっていることを紹介しています。
06年度に国民生活センター・消費者窓口に寄せられた「開運商法」に関する相談件数は過去最多となって3000件を超えたといいます。
潜在的な被害はこの数倍だとも推測されるのでしょうか。
全国霊感商法対策弁護士連絡会も事態を重くみて、初の「スピリチュアル・霊感被害110番」を実施しました(12月4日)。同弁連の調べでは06年度、国民生活センターのほか、各地の消費者センターや弁護士に持ち込まれたものを合計すると、統一協会関連の被害(霊感商法被害)だけで40億円に達しています。
被害にあわないためには、疑ってかかること。心を支配しようとするわけですから、これは最低の条件かもしれません。([世相を拾う]07001)
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
ゆきづまる自民党政治。
「内閣支持率が急落」というニュースが伝えられています。
年金問題での対応が支持率を下げる要因になっているとみられているようです。1回の支持率という数字をとりあげること自体にそれほどの意味があるとは思いませんが、該当者不明の年金記録問題で公約違反ではないかと問われ、「そんなこと言ったかな」では怒りださない人はいない。そもそもこの対応には、すべての人を救うという立場はみじんも感じられないでしょう。
このような首相や厚労相の態度は、たとえば自民党がこう述べている認識とあまりにもかけ離れているといえないか。自民党の党大会に提案されるはずの運動方針案は、「立党以来最大の危機」と指摘しているのです。福田氏や舛添氏の対応は、方針案がのべるような危機意識を反映した、緊張したものではまったくなかった。
政権の末期には、不規則発言がつづいたり、態度の不統一が目についたりするのは、先の安倍政権の、とくに今年に入ってからの経過をみれは一目瞭然ではないかと思うのです。福田政権に末期症状が現われているということだけでなく、自ら方針案でのべるようにもはや自民党政治自体の「末期」、ゆきづまりが表れているとみるべきではないでしょうか。
こんな自民党の姿勢に批判が集中する発端となった年金問題ですが、きょうから「ねんきん特別便」が発送されます。
ねんきん特別便は17日から 第1陣は25万人
今回の発送は5000万件をベースに考えると、きわめて限定された形のものです。しかし、すべての人の顛末を明らかにするということを前提にしなければならないはずで、そうなるとすべての年金加入者1億人にすぐ通知を出すことからはじめなければなりません。線引きは不要でしょう。そうしてこそ国民、加入者の納得が得られるはずです。
段階的に物事を解決しようととらえるところに危機意識の欠如がある。国民への通知は段階的でなく、一気にやるべきです。
支持率が急落したとはいえ、福田政権に課せられた課題は残っている。そもそも安倍政権を引き継ぐ最大の理由は、テロ特措法の継続でした。大げさにいえば死守すべき一点なのかもしれません。そのための条件は、大連立はいまのところ成立しませんでしたが、会期再延長でつくられた。
自民党政治のゆきづまりが誰の眼にも分かるような形で明らかになりました。しかし、これは、自民党が政権から降りることで打開されるわけではない。一言でいえば、財界や大企業を国民より優先する政治、そして米国に追随し、かえりみない政治が自民党政治だといえるでしょう。財界のいいなりの結果が、たとえば貧困と極端な格差をもたらしました。米国いいなりが、端的には米軍再編や「思いやり予算」に表れています。
自民党政治をどうあらためていくのか、延長された国会の論戦もふくめて、各党がどんな態度をとるのか、見極めることがいよいよ重要になってきました。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
【関連エントリー】
福田政権のために敷かれた道
「テロ支援国家」という言葉。
米議会調査局は13日までに、北朝鮮のテロ支援国家指定解除に慎重な立場を示す報告書をまとめた。レバノンの武装組織ヒズボラやスリランカの少数民族タミル人の武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」に北朝鮮が支援している可能性に触れた。両組織とも米国務省から「外国テロ組織」に指定されている。
報告書は、ブッシュ政権が日本人拉致問題をテロ支援国家指定と関連づけていた経緯を詳しく紹介。拉致問題やヒズボラなどとの関係が解明されないまま指定を解除すれば「テロ支援国家指定リストの整合性や、日本との関係に悪影響を与える」と警告した。
報告書の指摘は調査局独自の情報に基づいておらず、メディアの報道を引用している
。この記事のポイントは、引用の最後の2行でしょう。メディアの報道を引用しているのが、調査を専門とする米調査局ですから思わず笑いたくなります。
ですから、その程度のものと受け止めるのがよいのかもしれません。
テロ支援国家とは、国際的なテロリズムや非友好国政府へのテロリズムを行なう組織に対して支援・援助を行なっている国家を指すのでしょうが、往々にして確たる証拠がないということも耳にします。こんな言葉を弄んできたのは米国でしょう。たとえばブッシュ大統領。
彼は過去に「悪の枢軸」と言う言葉を、イラク・イラン・北朝鮮に投げつけてきました。「ならずもの国家」というのもありました。そして、テロ支援国家とは、米国務省年次報告書では北朝鮮、イラン、シリア、キューバ、スーダンを指すとされています。してみると、ブッシュは相当にレッテル張りが好きなようです。
この習性は、戦争するためにはどうしても必要なこと。敵、つまり攻撃の対象を常につくっておかなくてはなりません。とくに米国は戦争をビジネスとするのですから。
考えてみると、20世紀は戦争の時代でした。そして21世紀に入った今も、地球上では戦争が繰り返されています。
2001年に米国がはじめた21世紀の戦争は、文字どおり「テロとの戦い」をうたい文句にしました。
『戦後日本は戦争をしてきた』の姜尚中と小森陽一の対談によれば、「テロとの戦争」をしかけたシナリオライターがいるということらしいのです。現実には9・11を起こしたのはテロリストなのであって、war on terroristとなるはずなのですが、それを使わずwar on terror、つまりテロとのたたかいという、米国民に漠然とした不安を抱かせるような世論操作をしてきたことを指摘しています。こうして米国がしかけた報復戦争に何を疑うでもなく、ただ日米同盟のために後を追いかける日本。それは、理不尽な国会会期の再延長を用意してまでテロ特措法成立をめざそうとする福田自公政権の姿勢に象徴的に表されています。
政権の終焉が取りざたされるブッシュ大統領は歴史がどう自分を記述するのかを考えるでしょう。後世に名を残そうとする意思が6者協議を前にすすめている。そのからみでテロ支援国家指定解除がある。こうなると、そもそものテロ支援国家やならずもの国家というレッテルそのものが米国の戦略を貫かんがためのものいいでしょう。
だから、米国に北朝鮮のテロ支援国家指定解除はするなと主張する日本の主張もますます滑稽に思えるのです。
防衛利権に群がって国家財政を食い物にする日米の政官財の姿に端的に示されているわけですが、「テロとの戦争」という名で、終わりのない戦争で稼ごうとする戦争屋たちに、人・モノ・金を貢ごうとすることほど、愚かなことはない、そう考えるのです。
国会は会期再延長を決めました。国益とか国際貢献とかをもちだして成立させようとする新テロ特措法なるものも、米国のビジネスのための戦争を支援するものにすぎないと私は思います。こんな愚行は繰り返してはなりません。
■よろしければ、応援のクリックを ⇒
■ブログ村ランキング、こちらもお願い⇒
薬害肝炎訴訟;全員救済し命奪うな。
被害者が国と旧ミドリ十字に損害賠償を求めた薬害肝炎訴訟で、大阪高裁での和解骨子案が出された。現在、審理中の5高裁で初めてだ。
骨子案は、国や企業が責任を負う範囲を限定したもので、原告側は「同じ被害を受けた仲間を線引きし、切り捨てる案」と厳しく指摘し、受け入れを拒否した。
薬害肝炎全国訴訟団は、首相と舛添厚労相に被害者全員一律救済の政治判断を求めた。当然の要求である。
肝炎汚染の危険性はフィブリノゲン製剤だけでなく、クリスマシン製剤も承認当初から指摘されていた。今回の和解案は、今年3月の東京地裁の判決基準に準じて、フィブリノゲンの投与については、製薬会社の責任の範囲を、1985年8月から88年6月、国が責任を認める範囲を87年4月から88年6月までに限定したもの。クリスマシン製剤については製薬会社が責任を認める範囲を84年1月以降とし、国の責任は認めていない。
記者会見にのぞんだ訴訟団のなかには、九州訴訟団の福田衣里子さんの小柄な姿もあった。
ちょうどしんぶん赤旗日曜版(12・16)は、一面を福田さんのクローズアップ写真で飾っている。「私の人生かけて」。この見出しのとおり、彼女はこの3年間、必死でたたかってきた。集会や記者会見ではときに涙を浮かべながら、それでも気丈な彼女は唇をきっと噛みしめて、また立ち上がってたたかいとおしたのだ。彼女自身は20歳のときにC型肝炎に感染していることを知った。生まれてまもなくクリスマシン製剤を投与されたのが原因だという。
和解案の提示に先立つ10日、彼女らは首相に面会を求めている。そのときのインタビューが記事に掲載されている。
私は、一日も早くすべての患者が治療を受け、元気になってもらうためにたたかっています。何年かけても真相究明をやりとげ、薬害をなくしたいんです。国は患者の救済を血液製剤投与の時期によって限定しようとしています。これでは人の命が切り捨てられる。納得できません。
他にかえるこれ以上の言葉はない。彼女の予想のとおり、和解案は到底納得できないもので、拒否すべき対象だった。
今年10月、薬害C型肝炎患者418人分のリストが厚労省の地下倉庫に放置されているのが発覚している。
国は提訴の権利そのものを奪ったわけである。リストのなかには上記の和解案が示した期間をはずれる人が、116人存在するといわれている。告知もせずに提訴できないようにして、救済期間を限定することが許されるのか。
ミドリ十字は薬害加害企業として繰り返し登場してきた。自民党へ企業献金を注ぎ込み、厚労省官僚の天下りを受け入れるという政・官・業の癒着がおおともにある。
人の命より企業の権益を優先する企業。献金と天下りという甘い汁をすってきた自民党。そこに薬害を生む根源があるといえるだろう。
全員をただちに救済すべきだ。そして、福田衣里子の言葉にあるように、薬害の根絶にむけた国の企業の責任をはっきりさせることが何よりまして要る。それは、彼女の行動の核心にあるすべての患者のためにという点で必要なのだ。
国と企業はそれでも人の命を線引きし、奪おうとするのか。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
排出量取引先送り。財界は政策要求をどう貫くのか。
温暖化ガス削減の方法として排出量取引を提起したのは京都議定書で、1997年のことです。すでに10年が経過しています。日本の先送りという対応は、すでにEU諸国が着実に成果をあげているのと、きわめて対照的です(参照)。ここに、明確に財界の意向が反映されています。
昨日は原油価格をテーマにしたので、石油業界にかぎっていますが、ここでのべたことは大企業を覆っている現実ではないでしょうか。自らの権益をどこまでも追求しつづける財界と大企業にとって、温暖化ガス削減計画にかける人・モノ・カネは負の要因にしかならず、何よりも業績自体に「悪影響」を及ぼすということなのでしょう。
素案が「特にオフィスなど業務と家庭部門の対策の抜本的強化が必要」と強調するのは的外れで、まずやるべきは、産業界の削減計画の実施徹底でしょう。昨日のエントリーでふれたように、個々の企業が公的に確認されたCO2削減の目標と排出状況を公表し、責任をはたすことが不可欠なのです。
昨日、私はつぎのようにのべました。
わが国では、一連の政府の規制緩和・自由化政策のもとで、新日本石油、ジャパンエナジーという二大石油元売りグループなどの寡占化がすすんだ。その結果、原油高騰にともなう石油製品の精製・流通の市場支配力を強めている。石油製品の便乗値上げや市場操作、不公正な取引を許さないため、また食料品等の値上げなどについて、厳重な監視を行うべきだ。あらためて政府の介入が強く求められている。
この点で、素案のいう「自主行動計画」を企業任せにするのではなく、産業界と政府の間で削減協定を結び達成責任を公的に明確にするなどの抜本的な対策に切り替えられなければなりません。
ヨーロッパ諸国と比較して生ぬるいと私には思える政府の姿勢は、冒頭にあげた財界・大企業の思惑が働いていると考えるのが妥当でしょう。
そこで、ふれたいのは、財界・大企業がいかに自らの要求を政党に飲ませようとしているかということです。
先日、朝日新聞が「揺れる経団連」(12月11、12日)という記事を連載しました。
経団連が、自らの要求を政策に具体化させる目的で、政党の評価をおこない、それに応じて企業献金の匙加減を決めるというしくみをとっていることについては、ご存知の方もおられるでしょう。通信簿の内容で献金の多寡が決まるのですからインセンティブが働くのでしょう。政党とは主に自民、民主の両党であって、共産、社民はその対象でもありません。
朝日記事は、参院選後の「ねじれ」とからんで、経団連の中にある動揺を描いたものでした。むろんこれまで、自民党への献金のウエイトが高かったのは事実でしょうが、朝日の記事は、民主の対決姿勢を殊に強調していて、それに困惑する経団連というのが基調だと私は受け止めました。
けれど、民主党の対決姿勢はそもそも国民が選挙結果で縛っている、こう私は考えているので、経団連と民主の間の確執をことさら表現しすぎていると率直に思います。仮に民主党が諸潮流の寄せ集めであるにせよ、企業献金にも支えられてきたのは事実ですし、現局面で確執があるとしても一時的なものだと考えるのです。
とこあれ経団連が様々な手法をもちいて「政策要望」を貫こうとする姿を描いている点で記事は参考になるものでした。
ときの権力は特定の階級を代表するという見地にたてば、日本経団連が企業献金の対象とし、政策要望の要請先に自民、民主を選択していることは、いずれも財界・大企業を代表しうる政党だからということになるでしょう。
新自由主義政策のもとで、自公政権のとる政策の基本方向は、大企業や財界、大資産家の権益を守り、庶民のくらしに直結する部分は広く削られてきました。その結果が、たとえば格差社会という言葉で表現されるような貧困の広まり、国民生活の悪化ではなかったでしょうか。
年の瀬に考えた2つ目は、この財界・大企業を優先する日本の政治のことでした。地球温暖化とその政府の対応には、そのことが如実に表れていると思うのです。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
ガソリン・灯油の高騰-原油めぐる「マネーゲーム」と環境
ガソリン・灯油が6週連続で最高値を更新した。今年の異様な暑さもとっくに遠のき、この冬の寒さが庶民の生活を直撃している。ある日のメディアは、役所内が全館終日暖房だったこれまでをあらため、高い燃料代に対処している北海道の自治体を映像で流していた。どこまで値は上がるのだろうか。
原油価格の高騰の要因に、やはり市場原理にもとづくマネーゲームの存在をみないわけにはいかない。
いまや明らかだが、ヘッジファンドなど短期的な利益を目的とする膨大な投機資金が、原油市場や穀物市場に大量流入して価格暴騰をもたらしている。実際の需要を反映しないこれらの投機筋とその背後の巨大金融機関が、市場価格を乱高下させ大幅な価格つり上げで巨利を得ているのだ。
投機の背景には、①世界最大の石油消費国である米国や中国、インド等の新興諸国の需要拡大、②米国の石油精製設備など供給能力の不足、③イラク戦争の泥沼化など中東情勢の不安定化、などが指摘されている。
価格の高騰は、食糧とエネルギーという人間の生存の条件と経済社会の基盤をすでに揺るがしている。ガソリンや灯油だけでなく、食料品の値上げが一人ひとりの国民に襲いかかる。手をこまねいている場合ではない。ただちに政府は介入し、各国との国際的な協調を図り、投機を規制するルールを確立すべきではないのか。そして、エネルギーの安定供給にむけてその存在を示すべきではないか。
この間、IPCC(*1)やCOP13(*2)など重要が会議が開催された。そこでは2008年からはじまる温室効果ガス削減実施をめぐって議論されている。米国と中国で世界の4割を排出するといわれる現状で、両国の参加しない京都議定書の実効性については不透明といわざるをえないが、先進国が排出量取引で未達分を穴埋めする一方で、環境税を創設し抑止力とすべきという議論も交わされていた。
排出権取引制度は、国家的規制のルールと市場の競争原理を組み合わせる点に特徴がある。排出権取引は、国家による計画の機能と資本による市場の機能とを結びつける新しい実践だともいえる。
排出権取引市場が動き出すためには、国家が、CO2排出の削減目標を決めて、それを個々の企業に割り当てること、CO2排出の上限(排出枠)を企業に課すことが前提になる。そこで各企業は、排出枠の「権利」と「義務」をめぐって市場で競争し、もっとも省エネ技術に勝る効率的な企業が全体のCO2削減のコストを引き下げ、国家的な削減目標を効率的に達成できるといわれている。
現在、排出権取引に力を注いでいるのはEU諸国だが、06年の世界の排出権取引推定額300億ドル(約3兆5000億円)の8割を占めるという。
ブッシュ政権は、「排出権取引は企業活動の規制強化になる」と、いまのところ消極的であって、日本の経済産業省と財界も、排出権取引制度の国内創設には反対している。
国家的規制のルールと市場の競争原理を組み合わせる点に特徴がある排出権取引市場だが、排出権市場に期待するのは幻想だという指摘もある。たしかに、排出権が市場でいくら取引されても、それ自体はCO2の削減を意味するわけではない。眼目は、個々の企業が公的に確認されたCO2削減の目標と排出状況を公表し、責任をはたすことだ。
そのためには、国際的枠組みを強化し、持てる国や持てる企業が削減義務を逃れられないようにすること、投機的資本の市場にならないよう監視を強めることが不可欠であるのはいうまでもない。
話を戻すと、わが国では、一連の政府の規制緩和・自由化政策のもとで、新日本石油、ジャパンエナジーという二大石油元売りグループなどの寡占化がすすんだ。その結果、原油高騰にともなう石油製品の精製・流通の市場支配力を強めている。石油製品の便乗値上げや市場操作、不公正な取引を許さないため、また食料品等の値上げなどについて、厳重な監視を行うべきだ。あらためて政府の介入が強く求められている。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;「気候変動に関する政府間パネル」
*2;「気候変動枠組み条約締約国会議」
古舘 伊知郎と「思いやり予算」-頭をあげ、全廃せよ。
在日米軍への「思いやり予算」ほぼ維持、米が減額応じず(読売新聞)
日米両政府は12日、来年3月末で期限が切れる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)に関する特別協定について、日本側の負担額をほぼ現状維持とすることで合意する方向となった。
ただ、光熱水費を2・5億円削減することで最終調整している。同日中にも高村外相とシーファー駐日米大使が会談し、合意する見通しだ。
特別協定に基づく思いやり予算は1409億円。日本側は大幅削減を求めていたが、米側の強い意向でほぼ現状維持での決着となった。延長期間は3年となる見込みだ。
日本側の削減要求に対し、米側はイラクやアフガニスタンでの戦費を抱えることなどから、応じる姿勢を見せなかった。
さて引用した記事。交渉事だからよし、とはいえない。
理不尽な要求なのですから、「思いやり予算」は今こそ全廃するという基本的な姿勢を示さないと解決はしない。
減額を迫る日本の姿勢と平然とその要求を米国が断るところに、日本と米国の関係が表現されています。そのまま受け取れば、日本は米国のいうことに口は出せない。少なくとも、戦後ずっと続いてきた日本の従属的関係を、現福田政権は引き継いでいるということです。
安倍辞任の意味-日米関係の過去と現在を照らす。という昨日のエントリーで、日米の関係にふれました。私がいいたかったのは、安倍氏の辞任はつまるところ、敗戦後の日本の歴史のなかに占める日米関係を国民の眼前に照らし出したということでした。
テロ特措法の延長問題をとおして、アメリカとの関係はこんなものだったのか、給油活動が不可能になるとどうなるか、などと少なくとも日米関係そのものについて考えざるをえませんでした。そして、何よりも米国に追従することと日本国憲法との関係を考えざるをえなかったはずです。この意味では、国民が直接、日本国憲法に向き合った、はじめての重要な機会でもありました。
その結果、日本はどんな現状にあるのか。
国家と政府とに分けて考えてみる必要があるのでないかと思うのです。
まず国家。参院選をへて、テロ特措法の期限が切れ、海自の給油活動が継続不可能になるということを選びました。一方で政府は、いまもなお盟主米国の顔色をみながら、ひたすらそれに追随する道をとっている。会期再延長してまで、米国への「約束」を果たそうとする。まさに国民そっちのけ。
国家、国民の意思と政府との乖離、歪みをどのように解決をするのか、その判断を国民が迫られる、新しい局面に入っているような気がします。
頭をあげよ。そして、日本政府は全廃を主張すべきだと思うのです。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
【関連エントリー】
思いやり予算。これも「ばらまき」。
安倍辞任の意味-日米関係の過去と現在を照らす。
1位は「自民惨敗、安倍退陣」=社会部長が選ぶ10大ニュース
年末は、この種の10大ニュースが世間をにぎわせます。
以上の2つの記事のどちらが正しいのかをここで語ろうとは思いません。安倍首相の退陣をあげているのは共通しているし、老若男女を問わず、誰もが驚いたということは疑いようもありません。
けれど、その辞任は、自民惨敗が仮に伏線にあったとしても、給油活動継続の目処が立たない、そこに追い込まれた結果だといえるでしょう。それは、辞任がブッシュ大統領との会談直後であったことを思い起こせば、理解できるのではないでしょうか。盟主米国の大統領に、テロ特措法の延長に全力を尽くすと安倍晋三氏が約束をしてしまったのが9月8日です。9日には「職を賭す」発言が国際的に流れた。そして辞任表明が12日。
それだけ米国の存在は日本にとってあまりにも大きい。占領後、60年余という長いつきあいの日米の関係。法的には、日米安全保障条約で縛られる日本の米国への従属関係です。
だから、私が考えるのは、9月12日の安倍辞任は、60年超の日米関係の本質を冷厳に反映したものであると同時に、戦後の日米関係にはみられなかった新たな局面への転回点であったともいえるかもしれないということです。なぜなら、それまでの日米関係で米国の意向に逆らって日本が行動することは基本的になかったし、また考えられないことでした。けれど、辞任を機に明確に日米の間に亀裂が入り、ついに11月1日、テロ特措法の期限が切れ、海自の給油活動は延長不可能になって休止に至ったのですから。
日米関係のもっとも緊張した時期でもあった。
政権を握る自民党の立場にたてば、民主党が協力しなければ、テロ特措法延長は不可能ですから、安倍首相も小沢氏に党首会談を申し入れたのです。そして断られたことを理由に辞任してしまった。だからその後も、繰り返し福田首相が小沢氏に会談を申し入れたのです。密室協議もこの過程のなかの出来事です。
してみると、安倍辞任劇は、敗戦後の日本の歴史のなかに占める日米関係を国民の眼前に照らし出す、そんな役割を結果的に果たしたといえるのではないでしょうか。米国の無法な戦争にこれ以上、追従してよいのか、少なくない人が多少ともこう考えたのでしょう。
そうして、年の瀬に安倍辞任をめぐって思ったのは、これからは、そうした考えをどのように政治に反映させていくのかということが国民にも問われてくるということです。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
小沢代表へ。党首討論では密室協議の再現を。
福田首相と民主党の小沢代表の党首討論が今国会で一度も行われていないことについて、小沢代表は11日の記者会見で「党首討論は私が主張して導入した制度だ。機会があれば、いつでも応じるつもりだ」と述べた。与党側から「小沢氏は党首討論に消極的だ」との指摘が相次いでいることに反論したものだ。
一方、自民党の大島理森国会対策委員長は同日、国会内で「党首討論が開かれないことは残念だ。二大政党制の中でリーダーの大局にたった討論こそ、国民のためになる」と述べ、小沢氏の対応に不満を示した。
党首討論を巡っては当初、与野党が12日の開催で調整していたが、中止となった経緯がある。
小沢代表の反論も致し方なし。秘密裏に首相と会い、連立で一致したものの、結果的に今の時点ではうまくいかず、同氏は元の鞘に収まったのですから。
いまさら公に討論するといっても、それはお互いの対面を保つ以上のものはないでしょう。
以前に、党首討論というB級映画というエントリーを公開しました。
むろん言及したのは福田首相との党首討論ではなく、安倍首相と小沢氏のそれについてでした。事態は、そのとき以上に滑稽ではないでしょうか。密室で何やらこそこそと二大政党の党首が話し合っていた事実があるのに、今度は表に出てやって、実りある議論が可能なのでしょうか。小沢氏は今でも連立は正しいといいながら、片方で民主党をリードしているのですから。
いっそ密室の話し合いの始終を、そっくりそのまま再現してほしいものです。
そうすれば、福田氏はもちろん、小沢氏の考えも国民の前にはっきりと映しだされるわけで、二大政党とは何か、自民党とは、民主党とは何か、これらが手に取るように分かるのではないでしょうか。
実は、これらの諸点は今後の日本の政治のありようを考えていく上で、とても重要な事柄だと管理人は理解するのです。
ですから、党首討論をやるのなら、福田・小沢密室協議をぜひ寸分もたがわず再現してほしいのです。
以上の点にかかわって、小沢氏の、そして民主党の素性をすでにはっきりと見抜いている人がいました。高村薫氏です(「無党派」は保守だったで紹介しました)。一節を紹介します(*1)
民主党は「一度は政権交代を」という国民の切望を背負ってきたものの、政党としてその任を果たすだけの内実を、いまなお持つに至っていないのは明らかだ。「再生」を言うなら、政権交代のために小異に目をつむることが結果的に政党の力を分散させてきた事実を、まず省みるべきである。小沢新代表の「豪腕」への期待ムードだけで好転するほど、民主党の抱える問題は容易ではない。
06年4月の文章ですが、ほとんど民主党の現状をもとらえていると私は思います。
とはいえ、新テロ特措法成立のためなら越年も辞さないという福田首相の「決意」をくだくために、民主党も廃案めざして奮闘してほしいのですが……。
とりあえず、党首討論では密室劇の再現を願うのです。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
*1;「まず党の内実、省みよ」(「朝日新聞」2006年4月8日朝刊、『作家的時評2000-2007』)。
石破防衛相の及び腰。「思いやり予算」は全廃すべき。
政府も、そのばかばかしさをようやく悟ったのでしょうか? 米軍住宅7000万円を日本が負担する、その異常さをはじめて問題にしました。思惑があるにしても。
そこで、問題がある。これを値引き交渉というレベルの話にはしてはいけないということです。けれど、石破防衛相の言葉には、もうはじめからそんな雰囲気が感じられるのです。
曰く、
(円換算で1戸)7000万円を超える家を税金まで使って提供する必要があるのか。どう考えても高すぎるというのが普通の感覚だ。積算根拠を示してもらい、全部精査する
なんだか最初から及び腰のように思えてなりません。高すぎるのでまけてくれ、といわんばかりの発言だとも受けとれる。
この際、政府は、きっぱりと「思いやり予算」の全廃を米側に迫るべきではないでしょうか。第一、払わなくてもよいものに法外な税金を使いながら、片方で、社会保障目的という口実で消費税導入を画策し、大衆的収奪をやろうというのですから、つじつまはまったく合わない。強く批判されてもしかたありません。
ついでに「思いやり予算」にふれると、金丸信がいいだしてはじまった「思いやり予算」。この29年間で累計で実に5兆円を突破しているのです。
そして、米軍再編にからんで、この記事がふれているグアムの米軍住宅建設費にかかわる7000億円をはじめ3兆円にものぼる負担を日本は用意するのですから、あきれるばかりです。「思いやり予算」の全廃とあわせて、米軍基地再編計画の中止を求めるべきです。
政府は、米軍が「日本防衛」の任務にあたっているということを「思いやり予算」を正当化する理由にしてきました。それももはや通用しません。在日米軍がイラク戦争やアフガニスタンなど海外の戦争を実施するのが最大の任務であることは明白で、米海兵隊は日本を防衛する任務などもちあわせていません。
生活保護基準の切り捨てや消費税増税があからさまに打ち出されているときに、米軍にのみ思いやるのなら、国民の怒りが噴出するのは当たり前ではないでしょうか。
そう考えると、石破発言は、自民税調が再三、主張する消費税増税や厚労省が検討している生活保護切り捨ての動きから、批判をかわそうというねらいが見え隠れします。
財政難を政府が口にするのなら、ただちにまず、海外派兵のための経費ととともに思いやり予算を廃止し、米軍再編経費を中止すべきだと私は考えるのです。社会保障を支えていく上でも、5兆円にものぼる軍事費にメスを入れること、これが求められているのではないでしょうか。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
脱米国追随。そうすれば存在感増す。
温暖化対策に各国がどれくらい力をいれているか、それをランク付けた番付が公表された。つい先日、日本の「化石賞」受賞にふれたエントリーをあげた。受賞といえば、誇りでもあり、うれしくもあるのだろうが、これは受賞がはばかられる、不名誉なものだ。
今回の番付は、こんな経過を考えると、予想にたがわない結果といえる。日本は56カ国中42位というもの。ドイツの環境保護団体ジャーマンウォッチャーが公表した。
これは、地球温暖化対策の実績や取り組みを、二酸化炭素(CO2)の排出量や温暖化防止対策を数値化し順位をつけたものだ。化石賞が、各国の姿勢を審査員が評価するのにたいして、この番付は対策と実施結果とを数値化したもので、その結果からうごかしがたい現実がみえてくる。
日本は前年からも後退した。
温暖化対策実行ランク 日本、42位に急落 NGO調査
国際貢献といえば、日本政府がいいだすのは常に軍事にかかわることで、それも米国の意向にもとづいて動くことを意味するものだとしか、少なくとも私には映らない。9・11同時多発テロ後の米国の報復戦争に追随。イラク戦争でもまた同様の態度をとる。その際、国際貢献という言葉が繰り返しもちだされた。
しかし、この地球温暖化対策で仮に日本がイニシャチブを発揮できれば、どれほど日本の評価は高まるのだろう。これこそ国際貢献という名にふさわしい行動ではないだろうか。その意味では、いろんな意見は成り立つし、事実曲折もあったのだけれど、かつて京都議定書議決という点では日本の役割も一定評価されうるものではなかったか。
この地球温暖化対策では今日、排出量取引(排出権取引)などという、各国間の排出枠として企業や国が売買する一種の信用制度が取られている。要は、排出権取引の制度を導入すると、削減しやすい国や企業はクレジットを売り、利益を得るために削減へのインセンティブが生まれるし、先進国で使われている技術を導入すれば温室効果ガスを削減できるので比較的小さい費用ですむ。全体としては、削減費用が最も少ない形で温室効果ガスを削減することが可能だと期待されている。
地球全体の気候変動にかかわることだから一部の地域や国だけで、解決しうる問題ではむろんない。まさに各国の協力が前提とされる。
問題は随分クリアなように思える。一国のしかける戦争に後追いし、協力するのか、それとも地球全体に思いをはせ協力するのか、どちらを選択するのかということだ。地球温暖化対策に最も消極的な国が米国で、しかも、その国が地球上のいくつかの地域で戦闘行為を繰り返しているのは、異なるニつの問題ではけっしてない。
さらに、重要なのは、日本がいまやこの2つの問題で米国と共同歩調をとっているようにみえる今日の現実である。日本と米国の関係が、あらゆる問題で投影され、そこにいきついてしまう現実。国際貢献とは、あたかも米国への貢献であるかのようにみえてくるのである。
そうなると、冒頭の記事のように、他国にとっては日本の存在感がなくなるのもうなづける。米国と日本の国際的孤立。これが実感される今日なのだから。
米国追随をやめよ。それが日本の存在感が増す必要条件ではないか。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
新テロ特措法案;どうみても廃案に。
政府与党は、法案の成立というより、給油活動の再開こそが避けて通れない課題です。首脳会談での米国との約束があります。
だから、国会の再延長や衆院での再可決を視野に入れつつ、法案を成立の機会を探っているということでしょう。
「民主との合意困難」 新テロ法案で自民国対委員長(産経新聞)
この記事が伝えるのは、大幅会期延長の上、衆院での再可決の方針で固めたということです。大島氏の言葉によるかぎり、民主党との協議は望むべくもなく、給油活動を再開するためには、この道しかないということになります。
私のみるかぎり、この問題に言及するブログも随分少なくなったような気がします。反対世論のボルテージは確実に下がっているようです。
あらためて参院選後をふりかえってみると、選挙結果が、つまり国民の意思が自民党の、あるいは民主党の動向をどちらも縛ってきたと、当ブログでは繰り返しのべてきました。
このような立場からみると、テロ特措法の「継続」ができず、給油活動をいったん中止させたのは歴史的なことでしょう。国民の意思が給油活動を止めたともいえるのです。
もともとアメリカが始めた「報復戦争」の6年間の「実績」とこれまでの国会論戦から、自衛隊の派遣になんの大義もないことはくりかえす必要もないほど明らかです。日本の給油支援は、アフガン市民を殺傷する作戦にも使用されていて、戦争支援そのもの。さらにイラク作戦に従事する米艦船にも給油されている。話し合い解決の道「平和と和解のプロセス」にも逆行するものです。戦争でテロをなくすことはできない。
この過程のなかで巨額の日米軍事利権にむらがる政軍財の疑惑が明らかになりました。守屋問題にするのではなく、膨大な軍事費に群がる日米の軍事利権の構造を徹底して糾明することが今いちばん必要なことではないでしょうか。
それはまた、日米関係の今日のあり方を問うことにつながります。米軍基地再編に直接からむ疑惑も浮上しているなかで、あらためて米軍基地再編と強化の意味、それに追随する日本政府の姿勢も厳しく問われないといけないでしょう。
テロ特措法にもとづく給油支援は、憲法に明確に違反します。そして、大義ない米国の報復戦争に何の疑問も呈せずに後を追う日本政府の姿勢は、二重に誤っているといわなければなりません。
話を元にもどすと、自民党は15日の会期末を直前にひかえて大幅会期延長・再可決という方向を明確にしました。民主党はどうふるまうのでしょうか。
国会外では、テロ新法反対、米軍基地再編反対の国民の集まり、運動が報道されていますが、明確に国民と同じ立場にたって、国会内の議員活動と結合させて、共産、社民などの同様に、運動の旗を振ることが求められているのではないでしょうか。
新テロ特措法案は廃案に追い込むまでです。廃案にするには、国会と結合した国会の外の世論を喚起する運動をまず広げることだと私は思うのです。
■よろしければクリックを ⇒
■ブログ村ランキングもお願い⇒
« 前ページ | 次ページ » |