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改憲と平和、安倍年頭所感
新年早々、安倍首相は年頭所感で改憲手続き法案の「通常国会で成立を期す」と表明しました。すでに自らの任期中に改憲をめざすことを明らかにしている安倍首相。改憲手続き(法案成立)は欠くことのできない課題です。
これに呼応して1月27日に開かれる自民党大会では、重点政策のトップに「憲法改正手続き法案の早期成立を実現し、新憲法制定に向けての国民的論議を喚起する」と改憲手続き法案を国会で成立させる構えを打ち出しています。
憲法改定を軸に今年1年、政治は動いていくでしょう。
改憲でターゲットにされているのはいうまでもなく9条ですが、それは「戦争をできる国」をいかにつくるかという志向と深く結びついています。では、戦争のない日本はいま平和といえるのか、憲法改定でそれはどうなるのか、政府与党が改憲に動こうとするいま、いま一度考えてみるのも悪くはありません。
15年戦争に敗れて以来、日本では戦争はありませんでした。戦争がない状態を平和だとすれば、この60数年、日本は平和だったということになるかもしれません。しかし、われわれは戦争の時代をまた生きています。世界に目を転じれば、いつもどこかで戦争は起きています。しかも、この時代は日本がアメリカとの軍事同盟を結ぶ一方で、世界の各地でアメリカが軍事的に介入してきた時代でもあったのだから、日本の平和を、世界で起きている戦争と切り離して考えるわけにはいきません。日本の戦争のない状態は、他者の戦争体験のもとでの苦悩と切り離せはしない。その苦悩とは、自らの生死をも決定されかねない戦争からの解放への渇望にほかなりません。この苦悩とともに、われわれ日本人は平和を享受してきたともいえます。
戦争がない状態を平和とよぶ、限定した平和のとらえ方に対置させて、平和の意味を拡張するとらえ方について最上敏樹さんが教えて論じました(1)。最上さんがあげているヨハン・ガルトゥングによる構造的暴力論は、人を殴ったり殺したりする直接的暴力でなく、望むべくして望んだものでなく不利益をこうむることを構造的暴力と定義するものでした。最上さんによればこれをつぎのように評価することができます。
「それまでの平和論の見落としていた点を浮き彫りにし、新たな地平を開くものでした。それまでは「戦争のないこと」が「平和」だとされていたのに対し、戦争がなくとも「平和ならざる状態」はある、という視点を理論化するものだった」。
要するに平和の意味の拡張とは、貧困や開発や人権や平等など、非軍事的な問題に関心をむけ、その総体によって平和をとらえることを意味しています。換言すれば、これは、アマルティア・センが主張する<人間の安全保障>の不在のことです。
だから、この考え方にそって考えれば、日本に戦争はなかった、それゆえに日本は平和だったと先にのべたこと自体をあらためて問い返さなければならないでしょう。
非軍事的な問題にまで平和の意味を拡張して考える際に、日本に固有の軍事的な問題-戦争は起こらなかったが、戦後日本に横たわる問題-を考えておかねばならないと私は思います。
いま、戦争が起きなかったという意味での日本の状態を<日本の平和>と表現すれば、それは、日本国憲法と安保体制という矛盾する2つの法体系の緊張のなかで保持されてきました。別の見方をすると<日本の平和>は、日本国憲法と安保体制の関係によってもいうまでもなく規定されるといえるでしょう。いいかえると日米安保条約の変遷とともに<日本の平和>は変容するのです。日米安保条約の変遷とは、敗戦をへての条約の締結と米軍の日本本土の半占領と沖縄の占領、条約改定、安保再改定と沖縄返還および沖縄半占領、自動延長という連鎖であらわせます。だが、重要なことは、安保条約のこの変遷のなかでも日本のアメリカへの従属という関係が貫かれていることです。日本のアメリカへのねじれた従属-従属による矛盾を覆い隠すような現状肯定性として表れる-が保たれてきたのです。そのねじれは、日本の従属の実態が国民全体に知られず、実感もなかったことにより国民が反・従属に向かわなかったこと、さらに、端的にいえば長く米軍占領下に置かれてきた沖縄でさえ、雇用の少なくない部分を米軍基地が占め、経済的にも基地に依存してきたためにみられる「現状安住性」に由来する、と私は思うのです。ところが、その沖縄では、県民は、米軍による直接的、間接的のみならず精神的苦痛にさらされているのであって、軍事的な安全保障と人権の無保障という非対称的な関係に向き合わざるをえなかった(2)。<平和>でありながら、日米の軍事的関係を介在して生まれる<人間の安全保障>への、一つの非軍事的な領域の侵犯の事実にわれわれは眼をむけざるをえないと私は考えています。
日本とアメリカの関係をめぐっては、日米安保体制の変遷にくわえて、冷戦の終結とその後のアメリカの一国支配体制の深化のなかで、日本とアメリカの関係も変容をとげています。たとえば、それは、米軍基地再編にからむ最近の3兆円要求にみられるような、日本の軍事的・経済的負担を求めるアメリカの圧力の強化に象徴的に表れています。こうしたアメリカからの軍事的・経済的肩代わり要求を前に、日本国憲法と安保体制が並存することによる矛盾を日本政府はいま、手続上は日本国憲法を安保体制に組み込むことによって、法的に整合を図ろうとしているのでしょう。いうまでもなくそれは9条の改変を前提しており、法的に軍事的介入の余地を拡大したという意味で、戦争から逃れでたいという他者の苦悩からの解放を不可能とするものであることにちがいはありません。しかも、日本において、<人間の安全保障>の侵犯を予定するものであることは疑いを入れません。
このように二国間の軍事同盟が介在する<人間の安全保障>の侵犯が現実に日本にはある。いまひとつの非軍事的な問題としての「平和ならざる状態」が日本にもある。それは政府も認めざるをえなかった社会的格差の問題や貧困や人権や平等など今日日本に現れている問題です。「平和ならざる状態」とは、日本には日米二国間の軍事的関係性による<人間の安全保障>にかかわる問題と非軍事的な<人間の安全保障>が共存しているともいえます。改憲はまさにいよいよ「平和ならざる状態」をつくりだすことにほかならない。
憲法改定の目的が「戦争をする国」づくりにあるとすれば、平和とのかかわりでこのように改憲の意味を考えることができるのではないかと思うのです。
【関連エントリー】
(1)拡張する平和の意味
(2)目取真俊、沖縄県知事選をふりかえる
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