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『激走戦隊カーレンジャー』浦沢義雄唯一にして最強のギャグ戦隊

2011年03月14日 | 特撮


『激走戦隊カーレンジャー』(1996年放映)コンプリート。スーパー戦隊シリーズの第20作目の作品。地球の事を「チ~キュ」と不思議なイントネーションで呼ぶ宇宙暴走族ボーゾックに狙われた地球を、車の星座に選ばれた、自動車会社で働く5人の若者たちが、伝説の戦士カーレンジャーとして地球を守る物語。僕が長い戦隊シリーズの中で1、2を争って好きな作品です。

不条理シナリオの大家・浦沢義雄先生の唯一の戦隊シリーズでもあります。浦沢先生は、それまで不思議コメディシリーズのライターをずっと手がけていた人で、特に後半『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』(1989年放映)→同『いぱねま!』(1989年放映)→『美少女仮面ポワトリン』(1990年放映)→『不思議少女ナイルなトトメス』(1991年放映)→『うたう大竜宮城』(1992年放映)→『有限実行三姉妹シュシュトリアン』(1993年放映)と実に6作のメインライターを務めたのですが、不思議コメディシリーズは『シュシュトリアン』を最後にその幕が引かれます。
これによってこの時期、子供向け特撮ものの番組がスーパー戦隊シリーズと、宇宙刑事シリーズに端を発するメタルヒーローシリーズの2本になってしまうんですけどね。…まあ、ここらへんの話は、また機会を改めてするとしまして…。

この不思議コメディシリーズを終えた浦沢義雄先生を戦隊シリーズに引っ張ってきて書かせたのが、この『カーレンジャー』という事になります。不思議コメディ…それも後半の“魔法少女系”のノリを戦隊シリーズに持ち込んで来たのが本作品と言えますね。
これだけだとまだピンとこない人がいると思いますが、これはハッキリ言ってすごい“取り合わせ”でした。…なんでしょうね?wホラ、今もいるかもしれませんが、昔、“マヨラー”と言って何でも食べ物にマヨネーズをかけて食べる人たちがいたじゃないですか?ああいう取り合わせ…?あるいは「プリンに醤油をかけるとウニの味」とか、「きゅうりに蜂蜜をかけるとメロン」とか……と言うと、かなり酷い事を言っているように思う人もいるかもしれませんけど、ともかく何か凄い取り合わせだったんですよ。分かる人には分かるはず?(汗)けっこう人を選ぶ“風味”じゃないかと思います。

ちょっと一例として『カーレンジャー』で使われた設定をリストしてみると…。
  1. 宇宙暴走族ボーゾックの目的は地球征服ではなく地球を巨大花火にして打ち上げること。
  2. ボーゾックたちは地球の和菓子屋“芋長”の芋羊羹を食べると巨大化する。何故、巨大化するかは不明だが、彼らはその切り札を芋長の店主からお金を払って買っている。(それまでは特に巨大化する戦法を持っていなかった)
  3. どうも土星のあたりで宇宙おでん屋の屋台が出ていて、ボーゾックの組員は気が荒れるとそこに飲みに行ったりする。
  4. 後半で登場する暴走皇帝エグゾスの目的は、銀河に「暴走し放題、交通事故し放題」の宇宙ハイウェイを敷くことでその進路となる地球を排除しようとしている。
  5. さらにエグゾスは宇宙の悪人向けに雑誌「てれびランド」のような「宇宙ランド」を発行している。その付録についている組み立てロボット・ノリシロン・シリーズは極めて強力。

…という具合に。いくつか列挙するだけでも、その狂い方が分かるんじゃないかと思いますw
他にも特徴的なシナリオとして、戦隊シリーズ定番となった6番目の戦士・シグナルマンという奴がいるんですが、彼はポリス星からボーゾックを追って地球に赴任してきた宇宙警官なんですね。しかし、故郷のポリス星には“シグタロウ”という一人息子と妻がいて、単身赴任のため、シグタロウの運動会に参加できない事を悩んだりするという、聞いただけでツッコミ所満載のエピソードがあります。



いや、こういう設定を見ると「やあ、浦沢義雄だなあ!」と思う分けなんですよねwなんというか、多くは悪役なんですが…シグナルマンのような怪人物(?)の表の活動と舞台裏の苦労や、家族構成の語りは、浦沢脚本の定番ともいうべき手法で、不思議コメディシリーズでは、いくつもそんな感じのエピソードがありますw
単純にギャグだけではなく、カーレンジャーたちの名乗りポーズや、あるいは巨大ロボ・RVロボの必殺技~適当にグルグル回転して相手を斬る~“RVソード激走斬り”なんかも相当カッコ良くてよかったです。「交換日記から、はじめよう」という敵女性幹部ゾンネットと、レッドレーサーの中学生的ラブコメも良かったw

そんなあらゆる意外性に満ちた戦隊で、非常に楽しかったのですが、その後、2011年現在まで、浦沢先生は戦隊シリーズのメインライターに再び起用されてはいない所を観ると……この戦隊はかなりインパクトが強過ぎたのかな~?と思わないでもないです(汗)…時期的に戦隊シリーズの低迷期って事もあるでしょうけどね。
従来の戦隊の中にもコメディ・パートは豊富にあって、ギャグが受け入れられないような懐の狭い土壌ではないはずなのですが~それこそ『ゴレンジャー』のノリなんてかなり『カーレンジャー』に近い気がします。~浦沢先生のギャグのパワーというのはそれを押しのけて、ハメを外す…あるいはタガが外れる程だったと言う事かもしれません。
何にしても戦隊シリーズの中では空前にして絶後の異色作ではないでしょうか。ギャグ主体に語りましたが、それが多くを占めるとは言え、真面目でカッコいいパートも充分にあって、ラブコメもあって、かなり完成度が高い一本だとも言えると思います。


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2 コメント

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Re:ほとけさん (LD)
2013-06-21 21:44:00
こんにちは。浦沢義雄先生は、知る人は知っている人なんですが、あまり広まっていないというか…。
あまり体系立った評価は受けていない人ですね。独特の仕事をされる方なのでもっと知られるといいなと思っています。
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Unknown (ほとけ)
2013-06-21 16:59:29
こんにちは。
海賊戦隊ゴーカイジャーの再放送を見ていたのですが、ジェラシットという怪人が出てくる回が二回ほどあり、これがどうにも忘れられないインパクトのあるお話だったんです。
で、調べてみるとどちらも同じ脚本家。
しかもゴーカイジャーの中でこの脚本家の手によるものはジェラシットの活躍する二回しかない。
ジェラシットは「ゴーカイジャーの本当の主人公はジェラシット」というスレッドが2ちゃんねるで作られるほどの影の大人気キャラらしく(たった2回で退場なのにね)、この脚本家は一体何者だーっと思って検索してこのホームページにたどり着きました。

いやはや、すごい人ですねー…。
カーレンジャーのカメオ出演でゴーカイジャーに呼ばれたと思うのですが、ジェラシットという新たな伝説を生みだすとは…。

私はクレヨンしんちゃんも大好きなのですが、B級グルメはまだ見てないのです。
今度レンタルします。とても楽しみになりました。
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