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素敵な景色に遇えるかも・・・

ちょっと寄り道~小野の滝・妻籠宿 そして赤飯饅頭・・・

2010-11-15 | 小さな旅の思い出

【中山道 妻籠宿 200年続く旅籠;松代屋】



赤沢自然休養林の紅葉を楽しんだ後 こんなところに立ち寄りました。


【木曽八景:小野の滝】

国道19号線のすぐ脇にある滝です。
何度と無く通っている場所なのですが
初めて車を停めて 写真を撮って来ました。

 
【中仙道六十九次 上松】

    左上の氷柱の様に描かれて
   いるのが「小野の滝です。
   大胆な構図と表現方法には
   驚かされますね。
 
広重・英泉の合作である中山道六十九次の
浮世絵に描かれている上松は 
この小野の滝の絵です。

かつてここを旅した戦国時代の武将で
歌人でもあった細川幽斉は「老の木曽越」
のなかで「木曽路の小野の滝は 布引や
箕面の滝にも をさをさおとらじ 
これほどの物をこの国の歌枕に
とは いかにもらしける」と手放しで
誉めています。

また長野県歌「信濃の国」の作詞者として
有名な詩人浅井洌は この地を訪れて

ふきおろす 桧の嵐も音たえて
あたりすずしき小野のたきつせ

と歌を詠んでいます。

~観光案内板より~
 

 それなのに・・・
な~んと明治42年には この真上に
鉄道が開通したのです。
そしてこの後 すぐ前に国道が走る
ことになりました。
木曽川沿いに山が迫っているこの地では
他に線路を走らせる場所がなかったのでしょう。

 
  

 


木曽路はすべて山の中である。
あるところは岨づたいに行く崖の道であり
あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり
あるところは山の尾をめぐる谷の入口である。
一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。
東ざかいの桜沢から、西の十曲峠まで、木曾十一宿はこの街道に添うて
二十二里余に亙る長い渓谷の間に散在していた。
道路の位置も幾度か改まったもので、古道はいつの間にか深い山間に埋もれた。
名高い桟も、蔦のかずらを頼みにしたような危ない場処ではなくなって
徳川時代の末には既に渡ることの出来る橋であった。
~島崎藤村 『夜明け前』より~




このすぐ近くに 江戸の町並みの姿をそのまま残す妻籠宿があります。

妻籠宿は 中山道42番目の宿場であり 蘭川(あららぎがわ)東岸に位置しています。

文明開化を経て中央本線が敷かれることになり 国道が走り
開発の波によって昔の面影をなくしていく宿場町が多い中
妻籠から馬籠にかけての部分はその交通ルートから離れてしまったため
「山の中に置き去りにされた」形になりました。
しかし それが幸いして 今も当時の姿を残す観光地として賑わいを見せることになりました。


【妻籠宿:旅籠いこまや】

経済成長に伴い全国の伝統的な町並みが姿を消してゆく中
いち早く地域を挙げて景観保全活動に取り組んだことが評価され
1976年 国の重要伝統的建造物群保存地区の最初の選定地の一つに選ばれたのです。



 【妻籠宿の中にある現役の郵便局】

   
【脇本陣:奥谷1877年の建築】

歴史資料館・妻籠宿本陣を併せた南木曽帳町博物館にある妻籠宿の脇本陣です。
庄屋・問屋を代々務めた林家の旧宅を資料館として公開されています。
それまで「木一本 首ひとつ 枝一本 腕ひとつ」として
自分の山でありながら 幕府の管轄下に置かれ 切り出すことの出来なかった木曽桧。
明治の世になり 漸く自分の山の木を使って家を建てることができるようになりました。
それまでの鬱憤を晴らすかのように 御禁制だった木曽桧がふんだんに使われた建物になっています。

今建築中の名古屋城本丸御殿の高さが12mであるのに対し この奥屋は13mの高さがあるのです。

そしてこの家は 藤村の初恋の人で後に林家に嫁いだおゆふさんの嫁ぎ先でもあります。
座敷の鴨居に掛けられた額には おゆふさんが70歳のときに 藤村先生から贈られたという
「うてや鼓」の書が掲げられています。
この書を贈った数ヵ月後に藤村先生は亡くなられ
最後の直筆の書とされているそうです。

  

 
 うてや鼓
島崎藤村
 
 うてや鼓の春の音
 雪にうもるる冬の日の
 かなしき夢はとざされて
 世は春の日とかはりけり
 
 ひけば濃染の春霧
 かすみの幕をひきとぢて
 花と花とをぬふ糸は
 けさもえいてし春柳
 
 霞の幕をひきあけて
 春をうかがふこと勿れ
 花咲き匂ふ陰をこそ
 春の臺といふべけれ
 
 小蝶よ花にたわむれて
 優しき夢をみては舞ひ
 酔ふて羽袖もひらひらと
 はるの姿をまひねかし
 
  のはねのうぐひすよ
 梅の花笠ぬひそへて
 ゆめ静かなるはるの日の
 調を高く歌へかし

 


鉄道や主要幹線道路から外れてしまったことが 今になって有難いことになるとは
誰も思わなかったことでしょう。



ところで これは何だと思います?

  
【目玉親父が並んでいるよう・・・】       【割ってみると 中からご飯が!?】

旦那様が子供の頃よく食べたというお饅頭です。
急にまた食べたくなったというので 妻籠宿から近いJR南木曽の駅前にあるお店に寄ってみました。

小豆餡(あん)の代わりにほんのり甘い赤飯が入った『赤飯饅頭』です。
素朴な味で お菓子というよりパンのような感覚で食べられる不思議なお饅頭です。

長野ではお祝いのときに食べられるお饅頭として ポピュラーなものなのだそうです。
 


最後までお付き合いくださって ありがとうございました。


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16 Comments

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こんばんわ (小父さん)
2010-11-15 22:40:42
滝の写真は綺麗です。
ん?「布引や箕面の滝」って関西の?
特に前者は新幹線新神戸駅の裏山でよく知っていますが、そんなに名があるのかな?
小野の滝の方が風情がありそうです。
ただ神戸は古くから文化があるから、自然と有名になったんでしょうね。
中山道六十九次の浮世絵はシンプルな表現でいいです。
浮世絵が時々西洋の絵で模倣されるのが分かる気がします。

妻籠宿を見せていただくと、最近観た映画『十三人の刺客』に出てくる落合宿を思い出してしまいますね(笑)。
全然関係ないのでしょうが、お近くみたいだし中山道ロマンが働きます。

「木曽路はすべて山の中である。」この部分だけいつの間にか覚えていますね。
国語の教科書に出ていたのかな?

ずーっと読んできて「旦那様が子供の頃・・・」とあり。
はてこれは、どのお方かなとふと考えておりました。
pinkyさんは格調高いですねー。
ベターハーフさんのことをそうお呼びになるんだ
『赤飯饅頭』って初めてききました。
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饅頭。 (skyblue)
2010-11-15 22:56:11
今晩は。

『赤飯饅頭』
餡の代わりに甘い赤飯が入ってる饅頭なんだ。
赤飯には小豆は入ってないのかな?

パンのような感覚という事はかるいんだね。
食べてみたいです!
返信する
Unknown (Neko★)
2010-11-16 08:53:53
浮世絵の世界にタイムスリップですね。。。
馬篭妻籠中山道~
今となっては、置き去りにされてよかったのですよね

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こんばんは (はちきんイジー)
2010-11-16 09:59:33
70歳のときに 藤村先生から贈られた,,,,


何て素敵なんでしょうね

日本ならではの写真 楽しみました

こういうところもあるんですよね

帰国する際には こういったところを訪れたい事です。

ベターハーフはPinkyさんのことですよね

うちは 私ですもの、、、笑

返信する
☆コメントをありがとうごさいました。 (pinky)
2010-11-17 09:21:08
*小父さん おはようございます♪

どれも室町時代から有名な滝だったんですね。

浮世絵は度々西洋の画家の話に出てきますが
日本の文化がそれだけ注目されていたと思うと嬉しく感じます。

映画『十三人の刺客』に出てきた落合宿は
ここから二つ目の宿になりますから雰囲気は似ているとおもいます。

「木曽路はすべて山の中である。」は小説『夜明け前』の
書き出し部分ですが 木曽を語るときに引用されますから
色んなところで目にされていると思います。
狭い谷合に暮らす人々にとって 目にする風景も暮らしも
山ばかりだったと思います。

ベターハーフって はちきんイジーさんも書いてくれたように
妻・女房のことを指しているみたいですよ~。(^_^;)

妻籠も馬籠も子供の頃から何度も訪れている場所ですが
その度に 新しい発見があります。
小父さんも いつかいらしてみてくださいね。
返信する
☆コメントをありがとうごさいました。 (pinky)
2010-11-17 09:30:17
*skyblueさん おはようございます♪

『赤飯饅頭』面白いですよね。
昔は小豆や砂糖が手に入り難かったからでしょうか。

赤飯に小豆は入っています。
パンの中にご飯が入っているみたいです。
小さなおにぎりみたいな感じで食べられます。
『おやき』にも似た感じです。
チャンスがあったら 是非食べてみて下さいませ。
レンジで温めて食べると更に美味しいですo(^-^)o
返信する
☆コメントをありがとうごさいました。 (pinky)
2010-11-17 09:42:03
*Neko★さん おはようございます♪

本当に江戸時代にいるような感覚を味わえます。
映画村と違って そこに今も人が住んでいて
町が生き生きとしています。

もし駅がここに出来ていたら全く違う町になって
しまっていたでしょうね。
返信する
☆コメントをありがとうごさいました。 (pinky)
2010-11-17 10:14:31
*はちきんイジーさん おはようございます♪

島崎家と林家とはずっと交流が続いていたそうです。

あの初恋の唄を詠むきっかけをくれたおゆふさんへの
感謝の気持ちだったのでしょうか。
素敵ですよね。

ここには海外からのお客様様も沢山いらっしゃいます。

はちきんイジーさんも是非いらしてみてくださいね。
ご案内させていただきます~!

ところで ベターハーフとは 夫が妻のことをこういうのですね。(笑)
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ありゃ  (小父さん)
2010-11-17 11:02:48
駄目なのかな?

山陽新聞の記者OBが使っていたのでううのかなーって思っていました。

ちなみに
http://www.excite.co.jp/world/english/
で入れると
良き伴侶 って翻訳されるし

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q102830200
では

1.もともと天国では、ひとつだった魂がこの世に生れ落ちる時に男性と女性に分けられて別々に生まれてくるので、現世でその相手、というかもう片方の自分に出会うと身も心もぴたりと相性が合うといわれています。その相方のことをベターハーフと呼びます。

2.ベター‐ハーフ [better(よりよき)half(半身)]
よき伴侶,愛妻.

★もとは親友や夫についてもいった.

3.配偶者、伴侶、女房(夫の意味で使われることは、あまりありません。)・・・・・・

って出てきました

英語圏では駄目なんでしょう。
日本英語なのかな?
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こんにちは~~*^^* (Rancho)
2010-11-17 12:52:32
 妻籠には 高校生のめっちゃかわいらしい???(ぎもんやぁ~)頃、二度、行ったことがあります。懐かしいです。でも、こんな風に見られなかった。きれいだな、情緒あるな、くらいでしたが、いまだに好きです☆脇本陣:奥谷1877年の建築都下郵便局とか、見てみたいなぁ。行きたいなぁ!
 拝見させていただき、ありがとうございます☆^^ ☆とても幸せ!

 お赤飯饅頭は関西にも有りますが、外がお赤飯で中が餡子だったような…。多分大阪だったかな^^
 その土地に寄って使用が違って楽しいですね☆
 pinkyさんのお赤飯饅頭、食べたいです☆いっただっきま~~す
 
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