昨日を そして今日をありがとう

Demain il fera jour.
遠回りして歩きましょう 
素敵な景色に遇えるかも・・・

黄昏は宵の内 灯りともりゆく宿場町

2011-11-26 | 言葉あれこれ
 



【妻籠いこまや】 
日曜日に畑仕事や庭仕事をすると
午後のお茶の時間を過ぎた辺りから

家事をする気がすっかり消滅してしまう事があります。

そんなときには、ちゃちゃっと夕食の支度を済ませ
近くの温泉に出掛ける事にしています。

車で40分ほどの温泉の露天風呂に浸かり
夕焼けの空を眺めながらのんびりと
手足を伸ばすと、疲れも吹っ飛び
じわじわと体が元通り元気になっていくのを
感じることが出来ます。

先日はいつもより早く出掛けたこともあり
帰る途中に「妻籠宿」をゆっくり歩いてきました。
 








秋の日は釣瓶落としといいますが
着いた頃にはまだ明るかった空も
いつの間にか夕暮れの空になって
いました。

この日没直ぐの時間帯がとても
好きです。

清少納言も「秋は夕暮れ・・・」と
綴ったように,秋のこの時間はなんとも
いえない雰囲気があります。

光と闇の混じり合う夕暮れの世界

ありとあらゆる色を織り込んだような
カラーだった世界が音も無く水墨画の
世界へと変わって行きます。



【吊るし柿】







【椿:はごろも】 
 この時間帯のことを、日本では様々な美しい
言葉で現しています。

黄昏・黄昏時・薄暮(はくぼ)・宵
宵の内・宵の口・

入相・入日・寒暮・暮れ色・暮れかかる
暮れ方・暮れがて

暮れ際・暮れ初む・暮れ残る・暮六つ
暮れゆく・黄昏・釣瓶落とし・照り返し
日没・晩方・晩景・うすやみ

反照・日暮・灯点し頃・日の入・日の暮
返照・晩涼・夕まぐれ

大禍時 .暮れ暮れ ・照り返し・日没
逢魔時(刻)・王莽が時 ・夕間暮
秉燭(へイショク)
雀色時・桑楡(ソウユ)・・・

何故故このように多くの言葉があるのかと
おどろくばかりです。

そして、ひとつひとつの言葉に浮かぶ
風景があります。

桑楡(ソウユ)とは、クワとニレ
広く樹木のことを指すらしい。
また雄飛が樹木の枝にかかることを言い、
灯ともし頃、夕方、夕日のことも表す
らしいのです。

桑や楡の木蔭を通り沈んでいく様が眼に
浮かびます。

しかしながら、分かりにくいからと
使われなくなり消えてしまったものも
あるのでしょう。

現に気象庁では数年前から天気予報の祭
宵の内という言葉が何時ごろにあたるのか
分かる人が少なきうなったとの理由で
使わないことに決めたのだそうです。

宵の内とは、「宵」を「日が沈んで間もない頃」「
午後6時以降」から朝日が昇る前と言うことに
なっています。

宵の内が何時だか分からない人が増えて
言葉もわかりやすく簡単になっていく・・・

なんだか寂しい気がしませんか。





そそくさと店じまいを始めるおばさん
犬と戯れながらkもう客は来ないかなときょろきょろするおじさん

忙しかった一日の疲れと安堵の混じった笑顔が交わる黄昏。

宿場の灯りがひとつ、またひとつと灯りゆく。灯ともし頃

私たちも家路へと急いだのでした。


今日もおつきあいありがとうございました。