岡本清一 『自由の問題』

2020-05-26 10:09:56 | 哲学、思想

この本の著者である岡本清一氏にとって、自由という概念ほど興味に尽きない問題はないといいます。

物事を突き詰めていくと必ず自由の問題に突き当たるからだといいます。

自由…これはいろんな角度からの議論が可能でしょう。

~からの自由、~への自由、今許容される自由の内容…etcいろんなものがありますね。

それらについての考察をかなりのボリュームでもって論じているので、読むのがいいでしょう。

重要なのはその歴史でしょう。

合法的に行使しうる権力の性質と限界を知るのが最良の道でしょう。

自由過ぎるがゆえに自縄自縛してしまてっている人が多くいる中で、その自由というものがどのような変遷を経てこん日に至るのかを知れば、その有難さがわかるでしょう。

経済活動の自由、あるいは政治活動の自由などの獲得の歴史ですね。

その内容は結党、反政府活動の自由、言論、著作、出版、集会、デモ、学問、思想…etcですね。

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また、過去にさかのぼって当時の自由の内容を吟味して、この時代の自由こそが最高の自由だ、とお思いでしたら、それを規範にして自分の中に取り入れるのがいいでしょう。

どんな精神性でいるか、それこそが自由なのです。

しかし、無制限な自由というのは、逆に人間を不幸にしてしまうのではないか、そんな気がしますね。

自分の精神なり身体なりを自律していけるからこそ、道徳的主体たりうるというのは非常に真理的でしょう古今東西の。

拘束を予定しない自由はもはや自由ではないということです。

組織は強制力があるから維持できる、ということですね。

なかったら解体してしまうのは明白ですね。

このような生活を数十年も続けてきた人が定年になって引退し、毎日家に拘束なくいる。

すると拘束のほぼない生活というこれまで全く経験のなかった生活になり、何をしていいかわからなくなてしまい精神的にやんでしまうという人が多出してしまうのはわかります。

その自由獲得の人類の歴史を、なんと古代から論じているのです。

実質的な自由は、1握りの富める者しか得れなかったのですが、これは何世紀もの長い期間を経て、戦いによって獲得してきたのです。

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その闘争を経て獲得した人にとっては、それは非常にありがたい思いがこみ上げるのは言うまでもないです。

しかし、生まれたときから、そのような自由を得てしまった人にとっては、そのありがたみがわからないでしょう。

そのありがたみがわかるには、やはりその獲得の歴史を読むことが重要でしょうし、その獲得の過程を身体で感じることが重要でしょう。

ある億もの資産を持っているタレントの書いたお金に関するモラルを書いた本を読んだことがありますが、それには自分の大学生の娘には携帯代と定期のお金の2万円しかあげない、ということです。

月に10万円以上ものお小遣いをあげることはできる。

しかし、それをしたら自分で稼いで、物を得るという精神的な幸福感を味わえないで終わってしまう、だから2万円しかあげないということですね。

これは非常に大事な教育内容ですね。

精神的にも身体的にも有難さを体験することで、心底その有難さがわかるのは古今東西かわらぬ事実ですね。

第二次大戦後の日本は、持てる者と持たざる者の資産の差が、先進国中一番小さかったことで有名でした。

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それは持てる者が、持たざる者の精神的肉体的な辛さを自分も身に染みてわかっていたからでしょう。

しかし、近年にはその差が開いているのもまた有名な話です。

それは持てる者と持たざる者の精神的肉体的な内容に違いが出てきてしまっているからでしょう。

持てる者の辛さを体感する機会がまったくなくなってしまったからでしょう。

それをわかれといってもその機会がないからそのままに終わってしまうのでしょう。

それを是正すべきなのかどうかは、これから先の多くの人たちの精神的な内容によるのです。

その相手に対するシンパシーというのは、自分が体感することによって最大にわかるのですね。

いろんな議論がありますが、これ以上のものはないでしょう。

死刑廃止論者は、最初死刑廃止こそ至上のものと信じて疑わなかった。

しかし、親族が殺されて、その殺した人間を死刑にするべく法廷に闘争するようになり、死刑廃止論者を辞めてしまったという経験談があるように体感こそ最も大事であるということがわかると思います。

ですから机上の議論だけで済むことは絶対にないのです。

やはり体感が最大限重要なのです。

その階級的な自由の闘争の歴史で思い浮かぶのはやはりヘーゲルでしょう。

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  ヘーゲル

被支配階級のための闘争の歴史を論じたのです。

そして権力者のをも律する法的軌道をもです。

そのヘーゲルに影響を受けたマルクスが社会主義思想を打ち立てたのは有名ですが、その社会主義国においては人格否定をしていながらもある程度の期待をこの著者はしているのです。

自然科学と人文科学の調和の喪失があるとしながらも、これまでの自由獲得の歴史をみると、これからいろんな国が社会主義を採択していくであろうという期待を込めているのがこの本でわかります。

自由の制度がひどく立ち遅れているし、大統領の責任の追及の機能が充分発達していない、ゆえに社会主義に一番近い国ということでアメリカを挙げているのです。

今思えば非常にユニークな主張ですね。

しかし、一瞥の元捨て去るのではなしに、この本から読み取れることはいっぱいあります。

それは上記に書いたこと以外にも、この本の中にはいっぱいありますから、興味の出た人は読んでみるのがいいでしょう。

参考になります。

●この本は以下よりどうぞ!

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自由の問題 (岩波新書 青版 344)

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