凌星光 『資本主義と社会主義』

2020-02-17 18:58:50 | 社会主義論

 今はなき社会主義ですが、かといって完全になくてもいいか、学ぶところはないかといわれればそんなことはないわけでして、やはり人間たるもの誰でも保守的であって、その内容を探っていくと、その良さを自分の内に取り入れたくなってしまう性質を持っているものです。

日本は完全なる資本主義国ですが、その内容を探っていくとやはり社会主義的な要素をふんだんに持ち合わせていることがわかるものです。

その内容は…これから先を読んでいただきましょう(笑) 社会主義はマルクスの唱えた理論を、実際の社会に適応させて地上に天国を作ろうという壮大な試みでしたが、やはりそのようにはいかなかったのです。

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    K.マルクス

生産手段をすべて国で賄って、それに国民が従事すれば、だれもが何不自由なく生活できると考えたのです。

しかし、そのような杜撰な考えではうまくいかなかったようですね。

そのほころびが60年代から出始めて、その理論に対する批判の論文や本はよく出るようになりました。

まず、そのマルクスの歴史観から実際は違っていたようです。

マルクスの規定したプロレタリア革命は、生産力の発達した資本主義国から社会主義に移行する、としていたものが、実際に社会主義を採択したのは、中国、ロシア、東欧など農業国や半農業国から出ました。

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それに社会主義を採択した国の経済は、ただモノを作りさえすればいいということですから、最初モノが足りない国であれば、最初はうまくいったでしょう。

しかし、1たびモノが行き渡れば、更に購買意欲を国民から出るために更により良いものを作り、更に安くする、という工夫がなくてはいけないのは言うまでもないです。

技術革新ですね。

しかしそれが行われないならば物は売れずに滞貨が進むだけでした。

こういった市場原理を無視し、貨幣や商品関係を否定したところにマルクスのいった事には無理があったのです。

それに、社会主義経済では、政策決定の民主的手段がはっきりしておらず、目上の人間のいった事は吟味されることなく間違っていても実行されていたのです。

それがうまくいかなくても、罪を問われることはないのです。

これぞ個人崇拝、官僚主義ですね。

それに、親戚同郷同士が利益配分を就職のあっせんや商売上の利便を図るということも横行していたのです。

上下の平等を目指すはずの社会主義が、まったく自己矛盾に陥っていたのですね。

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社会主義経済の目指していたものが、社会保障であり、最低生活水準の確保であり、教育の無償化、住宅や公共料金の低さであったはずです。

このようなことは社会主義国では実現できていなかったのです。

しかし、こういった事は資本主義国でこそ実現できていることがわかるはずです。

この本は91年に書かれたものですが、それまで自民党が長期政権を維持できましたが、その中で様々な社会主義的な政策を取り続けたことがわかります。

それによって日本が繁栄できたことがあからさまにわかるはずです。

まず日本は計画経済を採択しているのです。

この単語はまさしく社会主義国の単語のような感じですが、日本は採択したのです。

経済企画庁でそれはおこなわれているのですが、日本のほかにフランスオランダに経済企画庁はあるのですが、それは資本主義国では珍しいでしょう。

それは、昭和5年臨時産業合理局や、重要産業統制法などもそれに順応していたのです。

こういった計画経済は、生産性が上がっている国でこそ可能であるということがこの本でわかりました。

やはり日本人が勤勉で働くことに生きがいを持てる国民であるからこそ可能だったということですね。

しかし、中国のように生産性の上がらない国では計画経済は可能ではなかったということですね。

「柔軟さと幅広さをもって、むしろ野党の主張の中の良い部分を先取りするぐらい弾力性をもっていたため日本は発展することができた」 というのは総理大臣になったことのある中曽根康弘氏の言葉ですね。

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   中曽根康弘

また日本は、企業別組合が主流である、ということも経済発展にとってプラスであったということですね

労組が企業ごとに組織されていたから会社側との話し合いに応じることができたのですね。

そういうシステムがなく、ストライキが長期化、泥沼化してしまうと賃金アップが生産性を追い越してしまうようです。

政府の民間への影響が大きいこともまた生産性を維持し、トラブルが起きたら速攻で転換できるということですね。

石油ショック円高などの時にすぐに転換できたのは、日本ならでは現象でしょうね。

このように社会主義を事細かなに見ていくと、また他の資本主義国と比較していくと非常に日本は恵まれた国であるということがわかるはずです。

やはりどんな国にいても、難事は襲い掛かってくるわけで、その際に近視眼的になってそこを嘆いてないで、まずは自分の国の素晴らしい点も同時に認識していかないといけないなと思いました。

その他、日本の経済の素晴らしさについて、この著者は簡潔でわかりやすい文体で書かれています。

難解で読みづらい文章を書いている教授や評論家は、この人を見習うべきだと即刻思いました。

こういった論文は、だれもが読むことで、自分や周りの社会がよくなることを目指すものですから、難解で読みづらい文章を書いてそれを読んだ人が科学から忌避してしまうようなことがあってはならないのです。

この本は、社会主義の崩壊の決定打になったソ連のクーデターの起きた91年に書かれたものですが、その直後に簡潔に毅然と持論をまとめていたことについては感服するあまりです。

その他、日本の経済の素晴らしさについて認識することができる良書ですから、興味のある人は是非とも読んでもらいたいですね。

●この本は以下よりどうぞ!

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資本主義と社会主義―崩壊した「社会主義経済」は、この先どこへ行くのか

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アルフレッド.ウェーバー 『歴史よ、さらば』

2020-02-16 23:19:05 | 歴史学

 文系、社会科学系の大学に行っている人、あるいは行った人は必ず聞く人名がマックス.ウェーバーでしょう。

この人の書いた本を必須本に指定する教授もいました。

それくらいこの人は有名な人です。

この人は…といってこの人の偉人伝を書いていたらきりがないくらいですから辞めにしますが(笑)、そのウェーバー氏に弟君がいたのは最近知りました。

何となくネットを周遊していたら、このアルフレッド.ウェーバーという弟がいることを知り、またその人が著作を出していることも知って、早速ネットで予約して本屋に取りに行きました。

やはり奥が深いですね読んでみてわかりました。

マックス.ウェーバーの夫人は、あまりに旦那が勉強に勉強を重ねるので「何故、そんなに勉強ばかりするの?」と問うたところ、ウェーバーは「自分が何者であるかを知りたいんだ。」と答えたそうです。

そんな逸話が残っているほど、勤勉であったようです。

この弟君も同じような勤勉であったことがわかります。

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アルフレッド.ウェーバー

この本の概略を申しますと、西洋の国民国家に暮らしてきた人々が、どのような変遷を経て、精神的な内容を変化させてきたか、ということをつまびらかに論じているのです。

文学や芸術は、それを形成してきた人たちの精神を映し出す鏡ですから、文学や芸術に依拠してそれが形成された時代の人々の精神内容を浮き彫りにしようという試みをしているのです。

この本には、それこそいろんな文学者や芸術家が登場していますが、それらを実際にすべて読んで、またすべて鑑賞して、その著作家や芸術家たちの伝記や論述本をそれこそ目の眩むばかりに読んで、研究し自分の脳内で練り上げて発酵させて醸成した理論でもって、その時代の人たちまでの精神の内容の変遷を論じているのです。

その文学なり芸術なりを論じる際に、それらについて書かれた1つや2つの本を読んで、それらだけから依拠して断定するのではなく、それこそ1つの文学者や芸術家につき10冊以上読んでいることは間違いないでしょう。

それくらいの深さの感じれる本ですらあります。

まさに兄のマックスと同じようにもの凄い勉強家だったのでしょう。

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マックス.ウェーバー

その奥深さについ読み進めてしまう魅力を有しているのは間違ないでしょう。

マックス.ウェーバーと同じように日本の政治学者である丸山真男氏も有名で、社会科学系の大学に行った人なら聞かない名ではないでしょう。

この人も伝説があって、この人が担当するゼミでついつい話が長くなり既定の時間から大幅に延滞してしまいあたりが真っ暗になっていたのに誰も気付かずに聞き入ってしまっていたということです。

このアルフレッド.ウェーバー氏の本もそんな魅力がありますね。

他のページでも書きましたが、丸山氏の本は非常に難解で読みづらいんですね(笑)

ですから私が大学時代に履修した政治学の教授が、丸山氏を政治学の神様と称していても受け入れられなかったですね(笑)

ですが1つだけ人様に勧められるのが『日本の思想』ですね。

この本は、講演の模様を加筆訂正して本にしたもののためか、読みやすいのですね。

そこで氏が述べていることですが、「哲学は科学を基礎づけるものです」ということですね。

しかし私が思うのは、確かに哲学も大事ですが、以上に社会学の方が大事なんじゃないか、という思いでいるのですね。 これがどちらが説得力があるかは、その人の価値観などによって変わってきますから、一概にどちらということは断定できないでしょう。

社会をよくするために科学はあるのですから、それを形成する一般大衆の精神の内容をつまびらかにする必要はあるでしょう絶対的に。

そのためには、どのような変遷の歴史を経て、今の大衆の精神は変わってきたか、そしてどのような状態にあるかというのをつまびらかにする必要はあるでしょう。

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それがアルフレッド.ウェーバーのおこなった、アプローチした社会学なのではないでしょうか? そんな気がするのですね。

ただ単に人の精神内容をつまびらかにするのではなく、いろんな科学の理論を借りて論じる必要があるのは言うまでもないことです。

そのためには専門に閉じこもる人では説得力ある理論を導き出すことはできません。

好奇心の赴くままいろんなことを勉強していく研究していくという気概のある人でなくてはいけません。

科学の歴史に偉大な足跡を残した人はたいてい当為を直接語ることはせずに、玉虫色の理論を導き出すのが通常です。

やはり1つの当為だけで物事が万事うまく運ぶわけではないのはいろんな科学を修めた人ならわかることです。

それこそが王道なのでしょう。

しかしいずれにせよ、読んだ人の心なり行動なりに変革を起こすのが科学の役目ですから、本を読んだ人の心なり行動なりが変わらなければ意味がないのは言うまでもないことです。

この本は、第二次世界大戦が終焉した後に書かれたものですから、アルフレッド氏の国であるドイツが誤った歴史を歩んだことは確かです。

その戦争を起こし、そして敗戦ということはもちろん、その見つめるべき内容は多岐にわたるものです。

それはどのようなものかは読んでいただくとわかるでしょう。

そんな変革的な効用だけでなく、純粋に知的な遊戯を脳内でしたい方にも充分読むごたえのある本であることは保証できます。

このアルフレッド氏はかなりの本読みでかつ熱烈な研究者ですからものすごい奥深い理論が導き出されていることは間違いないです。 そんな本であるということです。

しかし不思議なのは、兄マックスがマニアでないと完全把握できないほど大量の本が日本語翻訳されているにもかかわらず、アルフレッド氏のは翻訳されたのは5冊にも満たないのです。

そしてこの本以外は絶版になって中古でしか手に入れられません。

それは内容がよくないからだという短気的な即断は禁物です。

私の感想では兄を凌ぐような圧倒的な理論すら出てくるということを明記したほうがいいでしょう。

●この本は以下よりどうぞ!

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A・ウェーバー「歴史よ、さらば」―戦後ドイツ再生と復興におけるヨーロッパ史観との訣別―

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飯田経夫 『日本の反省』

2020-02-03 19:14:26 | 日本経済

単なる祖述や記述の本に興味持てない生来からの性格なのか、その是非はわかりませんが、著述の論文の本をよむ際には、その作者自身の論述がないと退屈に感じてしまうのですね。

受け売りだけの本や引用ばかりの本は退屈で、途中でやめてしまいます。

ここで紹介する飯田経夫氏の本は、大学時代に初めて読んで以来、ファンになってしまい、その後古本屋等で、この人の本を見つけたらすぐさま手に取って買い、読んでしまうことしばしばでした。

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その人独自の論とはいえ、奇をてらっただけの本など読んでも遊戯にしかならないので、読みませんし、その論拠が確固としたものであれば、非常な説得力をもって読み手に迫ってくるのです。

この人が展開しているのは、 レーガノミクスの失政のつけを日本に押し付けてきた。

それを日本は無批判に受け入れてバブルを発生させ、そしてそれがはじけ不況に落とし入れた。」

ということですね。

レーガノミクスは、その名の通りレーガン大統領のおこなった政治ですが、その内容は大幅に減税すれば、国民は働く気を起こし物も買うようになる。

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  レーガン大統領 それでアメリカは財政を健在に黒字にすることが出きるだろうという幻想を抱きそれを実際に行ってしまったようです。

しかし、国内にはモノが不足していたため、海外から調達しなくてはならなくなり、逆に財政も貿易もともに余計に赤字になってしまったのが結果だったようです。

その失政のつけを日本がモノを輸出するばかりで買わないからだ、という自己反省もな言いがかりをしてきて、それを日本は弱腰のまま受け入れてしまったようです。

そのことに飯田氏は遺憾に思っていたようですし、私も飯田氏の立場に肩持ちせざるを得ないですね。

因みにですが、このようにアメリカを批判するに際して、大統領の実名を挙げて批判しているのは飯田氏が初めてだったのでイメージが鮮明でした。

日本の経済はアメリカなくしては成り立たないし、不可欠の国の1つであることは間違ない。

相互依存関係の間であるということですね。

それゆえに、反米ではなく「脱米」がこの飯田氏の立場であるようです。

ここで、思い出すのは、ウォルフレン氏の文章ですね。

「評論家や大学研究者の意見を取り入れて政策に反映させる機能が日本には存在しない。 つまり、真の政府が存在しないのだ!」

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K.V ウォルフレン

このバブルは、人類が幾度となく経験してきたことですから、バブルが発生しても必ずはじけるということをこころの中にとどめておくべきですね。

エコノミストならば、必ずバブルははじけるということを知っておきながら、その警告を発することなくいたために、このような惨事になってしまったことを、エコノミストのはしくれとして反省している、ということがこの本で書いてあります。

やはり科学というものは、実社会をよくするため、実社会に直結した学問であるということが、この本を読んでも確認できた次第ですね。

やはり知識として自分の脳内のとどめておかなくてはならないし、もし抜けてしまうのであれば、常に読書を続けていかなくてはならない。

景気が良かった会社の社長が、その景気に浮かれて、大型機器をローンで購入してしまった。

しかし、バブルがはじけて、仕事の受注が大幅に減り、そのローンが返済に滞るようになって大変、というドキュメントをテレビ放映されていたのを見たことがあります。

これは、やはり知らなかったでは済まないのです。

経営者たるもの、こういった事を常に勉強していったうえで、その経営を持続していかなかなくてはならないのは明白です。

ただ会社を興して、仕事をこなすというのだけではやはりつぶれるのです。

こういった社会について明らかにしたものが社会科学ですし、それが大学なのですから、こういう愚を大卒の人は犯してはなりません。

しかし、科学というものは、今や広く開かれたものですので、主体的に学べば自分の血となり、肉となり理論武装のためになるのです。

このように、自分が教わったことだけでなく、更に自分から学び、その内容を実生活で行動する、いわばメタ認知の能力が経営者には必需の能力であることは言うまでもありません。

ただ店を出して、それだけで終わりという考えでいる人は、経営には向いていないのですね。

私は大学での勉強や科学の勉強の重要性について認知しているがゆえに、ここでいろんな書物を紹介しているのです。

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それは自分の身の回りをよくするためにつながりますから。

ただ教養は大事だ、という教条主義ではないことはお断りしなくてはいけません。

しかし勉強するのは大学だけでなく、自ら主体的に学ぼうという気概があるのならば、どのような学歴であろうとできるのは言うまでもないことです。

良質な本など巷に溢れていますから。

そんな私の価値観に共鳴してくださるのであれば、この飯田経夫氏の本は経営のみならず、社会での実生活に役立つでしょう。

●この本は以下よりどうぞ!

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日本の反省―「豊かさ」は終わったか (PHP新書)

 

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堺屋太一 『歴史からの発想』

2020-02-02 11:30:28 | 歴史学

この堺屋太一氏は、惜しくもなくなってしまいましたが、非常に私が感銘を受けた知識人であり、著述家であり作家でありました。

初めにこの人の本を読んだのは大学在学中でしたが、非常にわかりやすい文章で、その論拠が充分で説得力のある文章でした。

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  堺屋太一

その魅力にひきいられて3時間以上、読書を続けてしまうこともしばしばでした。

それゆえに、本屋さんや古本屋さんで、この人の本を見つけるとすぐさま手に取って買うこともまたしばしばでした。

非常に惜しい人をなくしました。

この方のモラルとして、「歴史から学ぶ」という姿勢がどの本でも貫いているのです。

人間の行動様式、思考様式は古今東西そんなに変わるものではない、という通底する事実を発見し、それゆえに、問題点が現代に浮上してきたら、歴史から抽出事項を出して、それに論拠を見つけ、更に情報を収集して結論付けるという姿勢が貫かれてあるのです。

しかし、これは新たに勉強するのが億劫、あるいは情報を収集するのが億劫で、過去のことからしか学ばない似非知識人とは全く一線を画していますから、そこは確認をしておきたいです。

講義で毎年毎年、同じノートを読み上げているだけの教授ってどこの大学でもいますよね?

そんな人と堺屋氏とは違う、ということは確認しておきたいですね。

歴史から学ぶ、と言ってもこれまでに人類が蓄積してきたその内容だけでもかなりなものでして、その中から抽出するのですからそれはかなりの大変なことであることは言うを待たないです。

東京大学を卒業したということもあり、その脳内に情報を入れて、すぐさま抽出するのだけでも、それはそれは大変なことでしょう。

確かに脳内からだけでなく、自分で制作したノートなり、ディスクなりからも出すのでしょうけれども、それでも記憶力がなくては、どこどこにしまったということを記憶しておかなくてはできないことですので、これは凡人にはかなわないことのように思えますね。

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単なる記憶力だけでなく、いろんな歴史的な事実や事物を学んで、それを他のそれらと比較して、そのものを浮き彫りにしてその意義的なものを抽出する、そのことで非常に感嘆すべきことに読み手はなるのです。

単なる自分が学んできたことの受け売りや、祖述ではなく、自分の脳内で考え評価したことが書いてあるのです。

そんな作業ゆえに、堺屋氏独自の理論でありかつ、非常に説得力ある文章が出来上がったのですね。

私は生来的に、その人独自のモノを求めてしまうたちなので、どうしても少数派の理論に魅力的に感じてしまうのですね。

少数派といえども、多に抗うことにしか興味のないひねくれものというわけではないですからご注意を!(笑)

非常に説得力のある文章ですから、堺屋氏の本ではどれでも、歴史についての著述が多くのページを割かれていても、「何か意味があるのでしょう」という気持ちになって読み進めるのです。

この分野で何故歴史など長々と書くのか、と思われる向きも当然あるでしょう。

しかしその作業によって現代において有意義な、また現状を打開することのできる理論が出される結果になっているから、その思いは霧散してしまうはずです。

この『歴史からの発想』は、主に日本史を概観して、そこで他の時代や他の国の歴史との比較、他の人物や他の国の人物との比較を通して意義付けをおこなっているので、異常な説得力をもって読者に迫るはずです。

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単なる価値観の提示ではないのですね。

こういった姿勢は学ぶべきと思いますね。

この堺屋氏から学ぶものはたくさんあるので、他の著作家でありがちなのは、1回読んだら次の著作は買わないというパターンは多いのですが、そういうことはなく何冊も買い続け、読み続けるということですね。

この本もそんな例として位置付けたいですね。

●この本は以下よりどうぞ!

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歴史からの発想―停滞と拘束からいかに脱するか (日経ビジネス人文庫)

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