高島善哉 『アダム.スミス』

2017-12-31 14:43:55 | 哲学、思想

高島善哉氏の本は、大学時代に何冊か読んで感銘を受けた人の1人であり、感動したのは非常に読みやすい筆致であるにもかかわらず、しかも奥の深い論旨を持っていることですね。

社会科学者の中には、非常に観念的、難解な表現で書いて読み手を困難な思いにさせる人も少なくありません。

4000円、5000円以上もしていながら、こういう本であるので、わざわざ書店で注文して買ったにもかかわらず、まったく読む気にも成らず古本屋に売り、損をした、という経験は誰しもあるのではないでしょうか?(笑)

しかし、ことこの高島善哉氏にはそういう部分が全くないから、ご安心を!(笑)

今一度、アダム.スミスの思想を読み、それをこれからの人生の糧にしていただきたい、といういう思いに駆られこの度、この本をこの場で紹介したいと思いました。

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アダム.スミス 私が大学に入って、講義を受けながら、また多くの論文の本を読むことによって、「人間社会はこういう科学の本をたくさん読んで、それをもとに指針としながら矯正していかくてはいけない。」というモラルが形成され、そのモラルとスミスのそれと一致していたからですね。

それだけでなく、この本を読むことで、また多くのまた感銘を受けることを学んだ気がします。

スミスは「国家は財産を守るためにある」といいます。

そのために法を制定する必要があるとしたのです。

政治が上手くいくためには、経済が繁栄しなくてはいけないとも言いました。

要するに政治と経済は不可分の関係にあったのです。

それは今も変わらないですね。

そしてスミスは「人間は理性の持ち主である」としました。

その理性によって社会はうまく運営されるのですね。

ゆえに、理性の弱い人間は真の人間ではないとしたのです。

その理性の力の重要性を説いたのですね。

それは私もものすごく共感します。

ただ自然的な感情に任せて行動していけば、人間社会は混沌としたカオスになってしまうことは間違いはないでしょう。

人間性の優れた研究者だったのですスミスは。 繁栄においては、経済人の活動は全体として国家社会の繁栄に役立つようでないといけない。

利己心は、正義の限界の中で発揮されなければならないとしたのです。

これはまた、経済社会とはどうあるべきかという根源にもどった基本的に重要と思える言葉ですね。

そういった理性を植え付けるべき場所、それが本来の学校であり、本の役目であると思う私にとっては非常に強調したい部分ですね。

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ゆえに、スミスは大貿易商や古いギルド組織の傘下の中に安住していた製造業者に対して、一般消費者を犠牲によって独占利潤をもくろむ山師であると批判していたのです。

ゆえに、スミスは新興階級を、新しい国民の主体たるべきものとしていたのです。

しかし、それは全部の大貿易商や製造業者がそうだとは言えないでしょう。

そういう山師もいれば、経済社会が調和するように行動していた人たちも多くいたに違いないでしょう。

そういう違いが生まれるのは、やはり生まれ持っての価値観の違いもあるでしょうし、その人たちが学んだ内容によって変わってくることは間違いないでしょう。

経済社会が調和するためには、やはり一般消費者を犠牲によって独占利潤をもくろむ人たちが少なくなればなるほどいいことは間違いありません。

そうなるためには、スミスはの描く理想の市民社会は、産業化、工業化、民主化、教育制度の確立を目指すべきとしていたのです。

それは宗教的な力ではなく、理性による力に重きを置いていたのです、スミスは。

そこも私と同じ立場ですね。

ですから、私も教育の重要性に重きを置くので、正確には覚えてませんが『脱学校の時代』などという本を店頭でみたときには興覚めをしたのです(笑)

そんなことは絶対に無理でしょう、ということです。

しかし、理性に重きをおいたスミスですが、それも限界があるのは事実でしょう。

そこで思い起されるのがアメリカの哲学者ウィリアム.ジェイムズの言葉ですね。

「この世は2つのタイプの人間がいて、1つは、この世界を多元的に捉える人。

この世には、いろんな情報があり、それを逐一読み吸収していくことに生きがいを感じる人。

もう1つは、この世界は、最後は1つの絶対的な価値に収れんしていって、その体系の中に諸々のモノがちりばめられている、ゆえに逐一情報を収集していくには及ばないし、そういう事は精神的に苦痛だと感じる人。

後者の方が圧倒的に多い。」

そのことは私も感じます。

いくら世界が高学歴化しても、卒業してからも自ら主体的に事を学んでいこうとする人は少数派でしょう。

宗教に入ってぞっこんになってしまう人は、本を1冊読むだけで大きくため息をついて疲れてしまう人がほとんどではないでしょうか?

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であるからこそ、教育を義務化する必要があるのでしょう。

それに、この本で紹介されているスミスの言葉で印象に残っているのは、「経済の世界は合理的な計算、あと先の配慮、慎重な見通し」であるということです。

こういうことは経済や経営といったものを学べばわかることですが、このことをずっと考え勉強し行動することによってでしか会社はうまくいかないのです。

自営業から始めて、成功する人間が少数しかいないのは、やはりこういった勉強を重ねていくことに苦痛を感じる人のほうが多いからでしょう。

でも悲観的にならずに敗北主義にはならずに、私は教育によって培った理性の力に期待しているのです。

これまで漫然として暮らしてきて、疑問に思う点がある。

そういう疑問が、自分と同じ考えの人の書いた本を読むなり、同じ考えの人と話すなりすることで、「やはりそうなんだ!」と納得し、そのことを解決すべく具体的な行動をする。

そういう変化をやはり私は期待しているのです。

もちろんスミスもでしょう。

そのためにはやはり教育の重要性が認識されねばならないのではないでしょうか?

18世紀に生きたスミスですが、このように、今も信奉する人の多い学者であるのですが、このような古典を著わすには膨大な量の本を読まなくてはいけないのは言うまでもありません。

彼の講義は、倫理学、法学、経済学として自然神学と多岐にわたっていたようです。

やはり宗教にも学を納めていたようですが、それには重きを置かなかったようですね。

やはり、神や仏といったものを信仰してはいても、それを最重要事にはしていなかったのですね。

私も同様です。

そういった事象については完全には否定しないものの、やはり教育のよる理性に期待していたのです。

私は、神や仏が、この世を創り給うたものと思っていますから、周りの人間や文物、いろんなものを大切にしています。

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これまで20年以上、外食内食問わず一切残したことはありません。

物もボロボロになるまで使って、それでようやく捨てることにしています。

常にエコロジーを念頭に入れて日々生活しています。

それでいいではないでしょうか? 宗教に入らずとも、こういう思想は本によって学べることができるのです。

宗教に入っても、こういう行動ができていない人は多くいるのです(笑)

それでも宗教に入れというのですか、と宗教にぞっこんになっている人に質問したいです。

こういった事に共感できた人には、是非ともこの本を読んでいただきたいです。

●この本は以下よりどうぞ!

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アダム・スミス (岩波新書 青版 674)

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