杉原四郎 『J.S ミルと現代』

2019-02-17 19:46:14 | 哲学、思想

J.Sミル19世紀を生きたイギリスの学者です。

そのミル氏は、人間の知性を活かし、それと社会制度の変革を通じて社会を建設していく姿勢を問うたのでした。

『経済学原理』『自由論』の著者として知られています。

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  J.Sミル

経済学が彼の出発点でしたが、その理論の構築は、他の社会哲学と大いに絡んでいるとして、ロマン主義、サン.シモン主義、社会主義などの理論を取り入れてしたのでした。

彼は、社会の制度だけでなく、個人の内面の構築の重要性も説いたのでした。

1867年に、婦人参政権の法案を提起したのはほかならぬミルでした。

「女性の能力が男性に劣るものではない」というのが基本姿勢であったのですね。

権利と利益を得ることで、人は自らの手で社会を守ることができるということで、知性と徳性を政府に接触させることが大事であり、そのために議会が必要であるとしました。

それによって、国民の積極的、自主的性格を伸ばすことができるというのです。

自己の力を手段と考える民主主義は絶対的に彼には必要だったのですね。

そして彼は、社会主義の思想にも触れていて、その影響を感じないわけにはいきませんでした。

彼にとって、資本主義は、人間としての生き方を成立させにくくなるとして批判的でした。

しかし、彼は、社会は漸進的に変化していくものであり、一気に変えるものではないということで、社会を転覆して社会主義社会を構築することにはは批判的でした。

では最終的にはどうなるか、ということについて、労働者たち同士の共同組合になるだろうとしています。

このことについてどう評価するかですが、社会主義国が今は4か国にだけになっていることで、やはり何を言ってたんですか、といいたくなる人もいるでしょうが、共同組合は発生しましたし、今も活動を続けているということで、少しは評価していいでしょう。

誰も将来の正確な予見などできないのですからそこは譲歩しておきましょう。

そして、ミルは生産が発達した共産主義の第二段階で自己疎外が克服されるという予見を立てています。

またマルサスの理論にも触れています。

マルサスは、食料となる植物は一定でしか生産されないのに対し、人間は幾何級的に増えていく、ゆえに避妊をしなくてはいけないという立場でありましたが、ミルは人口増加と土地の売買を制限することが重要であるとしたのでした。

決してマルサスの理論への完全賛成ではなく、一部に賛成しながらも、その他は譲歩し自分の理論を建てたのでした。

避妊ではなく、農業の知識を勉強し、技術および発明の進歩のついて勉強したのでした。

これについては自身が、『経済学原理』において、1章を設けて解説しているのです。

先の社会主義の理論にしても、マルサスの理論にしてもやはり中立の立場になっていますがそれが通常でしょうか?

やはりどんな理論でも一部には心理を含んでいるもので、全面的に否定することも、賛成することもないのですね。

私はいろんな本を読んできましたが、やはりそのことはよくわかります。

このミルの理論は、明治期の日本において、『自由論』『代議政治論』などが多くの知識人の間で読まれ、民権運動、議会仮設運動の思想的、理論的根拠を与えるものとして大いに称えられたようです。

ここを読んで、興味のわいたかたは、この本やミルに関する本を読むことをお勧めします。

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J.S.ミルと現代 (1980年) (岩波新書)

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西嶋幸右 『文明批評家モンテスキュー』

2019-02-11 00:09:24 | 思想

 この西嶋幸右さん『文明批評家モンテスキュー』を読もうしたきっかけは、『都市と思想家』という編著を読んで、その中で一番好意を持って読めた、ということで頭の中にインプットされ、いつかこの人の書下ろし本を読んでみたいと思い、その詳細を調べて、この本があるとわかり、近所の本屋さんに依頼して買って読んだ次第です。

私が、著者の評価をするときに、一番大事なことは、「読んだ人が、現在においてその内容を活かすことができるかどうか」という視点でしています。

読んだ人が、何も人生や生活に活かせられないのであるならば、読んでも仕方ないと思うので、そういう本は評価しませんし、この場で紹介しようとは思いません。

その批評の内容については、起きた事象についてカッとなってその内容を批判するのではなく、それをいろんな情報を摂取したうえで、意義を論じ、また自分が遺憾に思うことであれば、批判を加えるということですね。

そのモンテスキューが書いた批判の内容については、今の社会でも生起する可能性があり、また実際にあるという内容であれば、多くの人は感銘を受け、それを本などにしたため、それを他の人に語っていく、ということですね。

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モンテスキュー

それが、後々の世になっても多くの人が感銘を受けることであるならば、古典的な名作として認知するのでしょう。

そういう効用があるものとして、この『文明批評家モンテスキュー』や他のモンテスキューの本をお勧めしたくなるのですね。

この著書は、モンテスキューが著わした『ペルシア人の手紙』についての論評なのですね。

それについての意義を書いているのですね。 その『ペルシア人の手紙』は、ユスべクリカという2人のペルシア人がフランスに赴き、そこで体感したことを書簡をもって交換していたその内容を詳らかに書いていたというものです。

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その往復書簡の中で、様々なヨーロッパとくにフランス社会を通した文明についての批判を書いているのですね。

その文明の内容は、政治、経済、社会、宗教、思想、文化、民族、人物と多岐にわたるのですね。

そのピックアップした事象やその意味づけの内容について、やはり今、現代人が読んでも感銘を受けるのですね。

事実私も受けました。

古典的な名作を出した人たち。

古典とは、この場合、のちの世代になっても、何百年もたっても、人々がその書かかれた内容を読んで感銘を受けたり、その意義について語られるような魅力を有している作品のことを指します。

そういう人たちは、今と比べて当時の限られた、非常に限られた情報の中で必要な情報を摂取して、意義を語り、結論付ける能力が高いのがわかります。

それに比べ、現代では、膨大な情報、例えば本、雑誌、テレビ、ラジオ、口コミ等があっても、真実にたどり着けずにいる知的な職業にいる人が大勢いるのですから。

当然私にもそういう部分もあります(笑)。

そういった人たちにくらべ、当時の古典的な著作家たちの偉大さについてはものすごい瞠目に値すると思わざるを得ないのですね。

ただ、ブローデル、ヴェーバー、ハーバマス、リースマンといった古典的な著作家の本を原典で読むことが多々あった私ですが、 それのいずれもがあまりに情報が込み入りすぎて、あまりに詳細すぎて、集中力が落ちて完読を挫折してしまった事がよくありました(笑)。

しかし、完読できた他の古典的名作も多々あるのも事実です。 ですから、そういった失敗があるので、このモンテスキュー『ペルシア人の手紙』についても、読みたい衝動を抑えきれない感じですので、必ず読みたいとは思ってます。

また、モンテスキューは、『法の精神』が有名で、中学校の教科書にも出てくるくらいですから、それも当然…と思っています。

また文明批判ということであれば、ヴォルテール、ディドロ、ルソーといった人たちも関心があるので読んでみたい衝動を抑えきれない、 といった感じです。

それはやはりこのモンテスキューに連なる著作者ということで、この本にも紹介されているからですね。

でもまずは、この『文明批評家モンテスキュー』をお勧めしたいです。

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文明批評家モンテスキュー―『ペルシア人の手紙』を読む

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