森友嵐士 『泥だらけのエピローグ』

2015-03-25 02:16:19 | ミュージシャン

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私が大好きだったT-BOLANが解散した1999年に、このバンドのリーダー兼ヴォーカリストの森友嵐士が刊行した、このバンドのドキュメンタリーがこの本です!  

 この本を読めば、T-BOLANひいては森友嵐士という人間の魅力がひしひしと伝わってくるでしょう。

森友嵐士さんが、どういう経緯で音楽を始め、あのバンドのメンバーを集めて、どういうコンセプトで詞を書き、曲を書いたかを詳らかに知ることが出来ます。

 

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 彼独自の方法ではないでしょうが、彼の作曲方法は、ピアノに座って何気なく弾いていたり、ギターを何気なく弾いていたりしてできることがあるそうです。

  そしてある時何もしていない時に、ふとメロディが浮かんできては、それを曲にしたり、とちょっと常人では出来ない方法だなと思いました。

  私は一応ピアノはできますが、いくらう~んと考えても全然曲が出来た試しがありませんからね(苦笑)

  1991年にデビューし、その後は非常に短期間に彼は曲を書き、レコーディングをしてはシングルやアルバムを出してきました。  そのスピードたるや常人では考えれぬほどでした。

 

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 では、彼はさぞ読書家なのかといえば、そんなことはなく、自分の経験したことしか詞に書かない人であるということをこの本で知って驚きました。

  それは、自分の経験したことしか、感情移入できないからだといいます。

  他のミュージシャンは、映画を見たり、小説を読んだり、果ては他人の話しを聞いてそれを詞にするというパターンが少なからずありますが、彼はそうはしないといいます。

  それは、先にも述べたように、他人の経験を歌詞にしても聴き手が空虚な気分になるからというのがその理由だそうです。

  なるほど、彼はそういう人間だったのかと、確認できました。

  彼の書く詞から、そういったコンセプトは感じれましたが、再度確認が出来た気がしました。

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 一番感動したのは、彼が人との心の交流をいつまでもしていくという対人間のスタンスをもっているということですね。

  HEART OF STONEというアルバムに収録されているThank You My Friendsという曲がありますが、そこには

~1人きりに弱いと気付かせてくれた奴らに、…thank you my friends

  という一節がありますが、これは1人でバイクに乗って1人旅をして行った時に、異様な寂しさを感じた、という経験をした。

  それは、自分が人とつながっていないとダメだということがわかったのだといいます。

  こういう感情を持てる人は、いつまでも人を大切にします。  すぐ周りの人間はもちろん、たった一度しか会っていない人でも、バンドをさせてくれるスタッフ、そして多くのファンの人たちも…

最近彼がソロで出したシングルの歌詞からも、その魅力は伝わってきます。

  こういう人間にはいつまでも根強いファンが離れません。

  私もその一人ではあります。

  そんな彼をこれからも応援していきたいと思いました。

 

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先の曲の作り方だったり、この詞の書き方だったりを垣間見ると、やはりこういった芸術というのは、常人にはすぐにできない性質を持っているのだと思わざるを得ません。

    曲作りの方法論があって、それをまねれば誰でもできるならば、だれでも一流のミュージシャンになれます。

  しかし、有名なミュージシャンは万人共通の方法論などなく、真似できない独自の方法論を持っているのです。

  そしてできた曲を聴いた多くのファンが感動する。

  神から与えられた使命感=神憑性があるのです、こういったミュージシャンは!

  何か、いきなり神からのご宣託を受けて宗教を始める人っていますね。

  その内容を信じない人には、何か胡散臭さを感じますが、その宣託を受けた人の話しを聴いて多くの人が感動し、宗教団体として発展していく…それに天才的なミュージシャンと性質が似ているなと思いますね!

  ともかく森友嵐士彼の魅力に触れたい人、彼のことを知ってもっと深く彼を知りたい人は、この本を読んでさらに好きになってもらいたいと思います。

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カレルヴァンウォルフレン 『アメリカからの独立が日本人を幸福にする』

2015-03-23 12:13:06 | 国際関係

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日本は、アメリカの属国…随分と過激なことをいうものだなと感じるむきもあるでしょう。  

日本は、国連に加入している、れっきとした独立国です。  

しかし、最近の対米従属的な外交を見ていると、そういわざるをいえない、とカレルヴァンウォルフレンはいいます。

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カレルヴァンウォルフレン  

 

対米従属の最たる例が2003年  アメリカがイラクへの攻撃を決めたときに、日本が真っ先に支持を表明し、イラクへの自衛隊派遣を決めなければならなかったのです。

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アメリカとNATOにおいて同盟国であるフランスやドイツのように、アメリカの意向に反対し、軍隊を派遣しなかった国が存在したにもかかわらずです。

 自国の行動を自分で決めれない国を独立しているとはいうことは出来ない! 

 そんな、日本の対米姿勢を質す思想家や評論家は確かに存在します。

しかし、彼らが何度も発言しようにも、日本の政策には微塵も影響を及ぼさない。

官僚OBの意見もしかりです。

  つまり、真の政府が存在しないのです

  評論家や官僚OBの意見を聞き入れ、政策に反映させるような機能を、日本の政府はもっていないのです。

  こういう状況を変えていくには、まず真の政府をつくる必要があるのです。

  そのうえで、日本がどのような道を進んでいくのかを、自らの権利と考え方で決めていかなくてはならない。

   ウォルフレン氏によれば、  日本の政府は、対米従属というシナリオが既にあって、それをただ遂行しているだけということです。

それを、良いか悪いか議論し、質す機能が日本にはないのです。

  現状維持が原則なのだ。

 89年に、ベルリンの壁が崩壊し、91年に冷戦が終結したとき、世界中の人々はこの動きを大いに歓迎した。

しかし、アメリカにしてみれば、大きな敵を失うことを意味した。

一種の空白状態が生まれたわけです。

  ‘外敵中毒、にかかっているアメリカにしてみれば、この空白状態は望ましいことではない。

  その空白を埋めるために、つくり出されたのが「ならず者国家」というファンタジーです。

  イランやイラク、北朝鮮を「ならず者国家」と決めつけアメリカ市民の生活を脅かしかねない存在として、極めて高水準の軍事支出を正当化したのです。

    しかし、ここに問題があります。

実際に名指しされた国々は、凶暴で、予測のつかない行動をするのだろうか。

答えはNOです。

  リストに載っている国で、世界に脅威となる国など一つもないのです。

  しかも、アフガン戦争の名目で「フセインが9・11に加担している」という間違った印象を喧伝していましたが、フセインが加担していた証拠はないのです!

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  それなのに、アメリカはアフガンに攻撃を仕掛けました。

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こういった、アメリカが抱く妄想やファンタジーに日本は踊らされているのです。

  属国である内は、アメリカがいう脅威を、脅威として受け入れなくてはならないのです。

  (日本の外務省がいかにアメリカに従属的な姿勢であるかは外務省勤務のキャリアのある天木直人氏「さらば外務省」 を参照していただくと目が覚めます)

    戦後、日本は輸出市場で大きな成功を収め、大変裕福になった。

  これは、官僚の手腕によるところが大きい。

日本の官僚は優秀なのです。

 しかし、問題なのは、輸出業者が受け取っている金の4分の3が米ドルのままであるということです。

 

 これは、日本国内で持っていては、直接には役に立たない。

  小額なら、米ドルを円に変えることは問題ないですが、大量に交換されると、円の価値がさがる=円高になるのです。

  ドル安になると商品価値が高くなり日本からの輸出にブレーキがかかり、輸出業者は影響を被る。

  日本では、ドルは使えないため、日本はそれを日本に持ってこず、アメリカに残したままです。

  そしてそれは、米国の財務証券、企業の債権、株式に姿を変え、ありとあらゆる種類の原資、ときには戦争の原資になっているのです。  

 ヨーロッパ諸国がもっている米ドルと日本がもっている米ドルは意味がちがいます。

 ヨーロッパにはユーロがあるからヨーロッパ諸国は資産を米ドルでもつ必要はない。

  ヨーロッパ諸国の米ドルは投資のチャンスの手段とみなされているのです。

  アメリカにとっては不安定な投資的資産ですが、日本にある米ドルは、日本が他に選択肢がないからもっているのです。

 アメリカにとってはありがたい資産です。

  日本のみならず、韓国、中国、台湾などのアジア諸国も、自国の通貨が国際通貨ではないため、貿易で儲けた金をドル建てでもつしかない。

  それがアメリカで投資されるために、アメリカの悪名高き財政赤字を垂れ流し続けれるという。

  ウォルフレン氏はそこで、 円をアジア域内で通用するような国際通貨にすることで、アメリカへの富の流出をストップできるのだという。

 すると、円が急激に価値が上がり円高になってしまい、中小企業は破綻してしまう。  

 だが事態がこのままでいいはずはない。

  輸出で稼いだ金が手元になく、アメリカにおいといたまま使えないというのは、それに関わった人間の利益が損なわていることを意味するからだ。

  日本の企業が稼ぎ出した資金がアメリカに還流するという、一昔前の政治エリートが作り出したシステムが、現在日本の行動を著しく制限している。

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ドラスティックな変化を期待せずにはいられないです。  

 日本の官僚は優秀であると、ウォルフレンはいいます。

 その業務遂行能力においてはです。

 しかし、日本には、自国の行くべき道を自国で決められる機能がなく、しかも、それをチェックし、質す機能もないウォルフレン氏は言う。

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こういうのを、政府の不在といわなくてなんと言いましょう?  

日本には、自国の外交姿勢について、客観的に正しく批判する評論家や学者は確かに存在します。

  しかし、それはいずれも外交の逐一の批判でしかしないので、対処療法の域を出ていないです。

  このウォルフレン氏のように、明晰な分析頭脳でもって、問題の所在を突き止めなくては、根本治療にはならないのです!

  これからの、日本の行く末について、占うのにやはり、日本国民の政治に対する興味関心の持ち度もやはり重要になってくるのです。

  官僚に対して、国民がどのように関わっていくべきか、ウォルフレン氏の前著「支配者を支配せよ」に詳しいので、是非とも興味ある人には本書を併用して読んでいただきたいです。

 ●本書に興味を持ったかたはコチラをどうぞ!

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 アメリカからの“独立”が日本人を幸福にする

 

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アメリカからの“独立”が日本人を幸福にする

 

その他、おススメ図書

  ↓

さらば外務省!―私は小泉首相と売国官僚を許さない  

支配者を支配せよ 選挙/選挙後

 

 

 ●その他、ウォルフレン氏の著作について紹介したページです。

   ↓

・『日本に巣食う4つの怪物』

 http://hair-up3times.seesaa.net/article/411025348.html?1427078733

 

『いまだ人間を幸福にしない日本というシステム』

 http://hair-up3times.seesaa.net/article/404153213.html?1427078865

 

・『アメリカとともに沈みゆく自由世界』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/403562125.html?1427078942

 

・『この国はまだ大丈夫か?』(大下英治 共著)

http://hair-up3times.seesaa.net/article/403116925.html?1427079006

 

・『独立の思考』(孫崎享 共著)

 http://hair-up3times.seesaa.net/article/369324554.html?1427079201


水野均 『海外非派兵の論理』

2015-03-22 16:35:05 | 国際関係

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日本の軍備について深く考えさせられる本であると思いました。

 事は、91年の湾岸危機に際し、日本が自衛隊を派兵するかどうかをめぐり世界中で大きな論争になったのです。

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その派兵云々については、いまだ考えさせられる問題です。

日本には、戦争のための軍をもたない、という憲法の規定があるために、イラクがクウェートに侵略した湾岸危機の際に、世界中の国が軍隊を派兵したにも関わらず、日本は130億ドルのお金を拠出しただけでした。

 その戦争終了の際に、日本はクウェートに感謝されなかったのでした。

しかし、これはクウェート及びクウェートを支持した全部の国を批判したいのですが、 「なぜ、日本だけを批判するのか?」「なぜ他の支持しなかった国も批判しなかったのか?」ということですね、私からすれば。

その代表的な国はスイスですね。

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この国は、イラクがクウェートに侵略した時に、日本のようにお金を出すこともしなかったし、当然派兵もしなかったのです。

 何故か? この国は、永世中立国として世界に宣誓したからですね。

どの国とも軍隊の同盟も結ばない、ということですね。

ですが、この国はものすごいたくさんの軍隊を増強している「重武装中立」の国なのです。

しかし、何故イラクがクウェートを侵略されたといって、他の国がクウェートを支持したのか?

という根源的な疑問が湧かなかったのかと思います。

クウェートを真っ先に支持したのはアメリカです。

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何故か?

石油の決済方法がアメリカのドルですから、そこを取られるとアメリカは困るからです。

 アメリカが潤っているのなら話は別ですが、アメリカは世界一の借金国家でしたから、ここを取られるとドルの需要が減って困るからです。

イラクは悪の枢軸だ!」というプロパガンダを流し、世界中がそれに乗ったのです。

その内容が、すべてクウェートの側にたった論理であり、そこは過去においてイラクのものであったという論理については一切触れずに、イラクを制裁したのです。

 kuweto.GIF

クウェートイラクの両方の言い分を国民全部に提示したうえでお金を拠出すべきかどうかを決めるべきであったことは間違いありません。

非常に片手落ちとしか言いようがありません。

日本の官僚、大手メディア、検察でさえも、そして世界中の主要メディアでさえも本当のことを報道していないのです。

 そのことを踏まえたうえで、日本の軍隊をどのようにしていかなくてはいけません。

日本国内においては、「軍隊があってしかるべし」という派と、「軍隊はあってはならない」という派が存在します。

私は、大学時代にまず後者の論を書いた本を読みました。 そこに書いてある内容を読んで、直ちにこの派の支持者になりました。

その理論に圧倒されてしまったのです。

 日本の軍隊の反対者の代表者の1人は、 『憲法第9条』の著者である小林直樹氏でしょう。

 そこには軍隊のいろんなマイナス点が網羅されており、それに反対する気持ちがよくわかりました。

 小林氏は日本を代表する憲法学者ですが、法律学者にありがちな、 「既存の法律を金科玉条にあげてそれを改変するのに非積極的」という弊はまぬかれません。

前者の「軍隊があってしかるべし」という派の本も読まなくては、真実は見えてこない、ということがその後私はわかりました。

両方を踏まえたうえで現実を俯瞰して、どちらが理に適っているかということを考えると、やはり前者を支持したくなる、というのが私の結論です。

それは、「人類は兵器の作り方を知ってしまった」ということですね。

 であるからして、たとえ世界中の同盟を破棄し世界中の兵器を廃棄しても、またその規約に反し、作りだしてしまう国が出てくるのは明らかです。

そうなったら、その違反国に世界中が乗っ取られて大量殺戮されてしまうことは明らかです。

軍隊を全部なくして、どの国とも盟約を結ばないという非武装中立などと言うのは幻想に過ぎないのです。

日本を攻撃したら自国がやばい!と思わせるためには、軍隊を持ち、そして同盟国もなくてはいけないことは明らかでしょう。

そのような抑止力が大事であるということを政治学で学びました。

しかし、日本は軍隊をもつべきではないという立場を支持したくなる人の気持ちもよくわかります。

 1945年の日本の被爆と敗戦によって軍隊を一切放棄するということについて多くの人が支持したのは頷けることです。

 日本中が厭戦気分のさなかにいたのです。

そんな中で、「軍隊をもつべし」という論路を国民に説得させるのは難しいことでしょう。

何十年か前に、『非武装中立論』という名の本が刊行されて、それなりに売れたのもわからなくはないです。

 世論はいつだって論理的な説明ではうまくいかないですし、感情に訴えた論理のほうが支持されやすいのです。

しかし、世界の大勢がこうだから日本もこうせよ、という多数の論理に安易に従髄してしまうのは反対です。

この論理では、全体が間違った方向へいっている場合に歯止めがかかりにくいのです。

それに、日本は大国だから今の情勢に加わらなくてはいけない、という論理にも当然反対です。

そのような世界の大勢の派兵要請の中で、「派兵は海外非派兵という国の基本方針を侵す」という意見で反対していたのは旧社会党です。

それに対し、「海外派兵を含めて国際関係の軍事的安全保障にも積極的に貢献すべし」という立場にいたのが自民党の吉田茂首相でした。

吉田首相は、1946年の6月29日の国会で、日本は軍備を一切持たないという「全面戦争放棄論」を展開していました。

しかし、以後慎重に論を変えて、「自衛権まで放棄するものではない」と意見を変えたのでした。

 今の自衛隊の前進である警察予備隊創設に関し、「自衛力を持つのは再軍備にあらず、対外戦争を目的とする戦力をもつのが再軍備である」として「全面戦争放棄論」を退けたのでした。

 確かに、今自衛隊はありますが、こちらから攻めたことは一切ありません。

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「資本主義国は国内生産だけでは間に合わないから植民地主義、帝国主義にならざるを得ない。そして国同士が衝突し戦争が始まってしまう。しかし国が社会主義を選択すれば、帝国主義にはならずにすむ。」というレーニンが言ったことを教条的に信じていたために、 「帝国主義にならないためには社会主義を選択し、軍備を全廃すべし」という論拠にたっていたのが旧社会党であり、共産党です。

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それで旧社会党や共産党は護憲の立場を貫き、軍備や同盟を一切放棄すべきであるという非武装中立を唱えていたのだということがわかりました。

今となってはレーニンの言葉が誤りであることがわかりましたが、当時はそれなりに人々の心を捉えていたのです。

 経験理論もなかったですし、レーニンの言葉がホントかウソかの判断は出来かねていたのです。

ですから、社会主義による政治経済体制では国民生活が困窮し、1991年のソビエトの軍事クーデターが起こり社会主義国がほとんど消滅し、社会主義が虚構にすぎないとわかるまで、自民党と社会党が日本の2大政党のような観を呈していた事実もあったのです。

 しかし、日本国民が戦争を徐々に忘れるようになったためか、論理的思考法をみにつけるようになったのかはわかりかねますが、1951年の読売新聞の世論調査では日米安保を支持する人は80%に上っていたのです。

 反対はわずか7%でした。

そして、1958年に国連事務総長ハマーショルドレバノンのPKOにおいて日本に派兵を要請しました。

 しかし、日本は憲法を理由に拒否をしたのです。

アメリカの立場としては派兵してほしい。

そのためには、日米安保を改定する必要があったのです。

そして2年後の6月15日にその安保改定反対でデモや集会、ストライキが起きたのです。

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今の平和ボケした日本では信じられない光景があったのですね。

やはり「自衛のための軍隊は持つべきであっても派兵させるための海外で戦争させるための軍隊には反対」という論理が支持されていたのですね。

 68年から69年において、東大とその周辺で安保改定をめぐって、学生運動と警察の間で激しい衝突が起き、流血の惨事にもなったようです。

軍事協力の結果、日本が戦争に巻き込まれるのでは?自衛隊が武力紛争に巻き込まれるのでは?という危惧が人々の間でまかり通っていたのでしょう。

しかし、米国の庇護の元、経済発展を達成できた日本としてはいやがおうにも緊密度が高まったのはいうまでもありません。

 今はアメリカの輸入額で一番多いのが中国ですが、当時は日本だったのです。

そうなれば、安保での負担額の増加を受け入れることも当然という空気も増徴してもおかしくはありません。

 アメリカからの武器技術供与などもおこなわれていきました。

1990年の湾岸危機に際し、世界は日本に対して参与を求めました。

その年の8月5日、当時の首相であった海部俊樹は、イラクへの経済封鎖措置を決めましたが、それだけでは満足されませんでした。

91年のPKO法案が国会で出されました。

 日本の自衛隊は「国際平和協力隊」として派兵される。 派兵される自衛隊は、輸送、補給等の後方支援に徹する。

 だから派兵される自衛隊は憲法第9条と、海外出動禁止決議に抵触しないというのが賛成議員の言い分でした。

しかし、これは通らなかったので、クウェート130億ドルを拠出しただけでした。

その危機の後、1991年3月11日にアメリカのクウェート大使館から、世界に向けて声明が出されました。

その内容は、「ありがとうアメリカ、そしてグローバルファミリーの…」と多くの国の名がずらーっと並べられていたのです。

 しかし、その国名に日本は入っていなかったのです。

 これは日本がグローバルスタンダードに適合していなかったからだ、というような論理に私は与しません。

 お金だけしか拠出しなかったからとて感謝の言葉が1つも入っていないというのは非常に礼儀を失する行為としか思えません。

感謝の声明を日本に出さなかったクウェートに批難をすべきでしょう。

しかし、ここにアメリカの意図が見え隠れするのは私だけでしょうか?

なにがなんでも日本をグローバルスタンダードに組み入れさせ、軍備化させて安保におけるアメリカの額の肩代わりをさせようという目論見が見えるのではないでしょうか?

また、「大きすぎて潰せない」として放置したままの軍産複合体の対処を怠り、それを日本にかぶせようとしているのではないか、という気もしてきます。

しかし、日本は輸出立国です。

 海外に物を売って成り立つ国ですから、その恩恵を忘れて、今後一切軍備的な同盟を結ばない、といったら世界的な非難を浴びるでしょう。

スイスのような重武装中立など不可能でしょう。

ただ、戦争を放棄した憲法第9条をそのままにすべきかどうかは、非常に晦渋を極めた問題です。

それを直ちに放棄すべきという論には私はいきません。

 先にも書いたように、軍備は一律にこうすべきというような論理ではなく、他の国々とのかかわりがあってこそ成り立っているのであるから、その内実がどのような連関になっているかを綿密に調査して論ずべきであると思います。

クウェートにイラクが進出した。

それをアメリカが批難したから日本も、というのでは論議が足りないし、論拠において不充分であると思います。

日本の憲法第9条が、考えに考え、どう考えても維持されたままではおかしい、ということで日本国民の大半が納得したのであれば、その時は変えるべきでしょう。

しかし、繰り返しますが、「世界の大勢がこうだから日本もこうせよ」とか、「日本は大国だから今の情勢に加わらなくてはいけない」という論理だけでは当然反対です。

この本を読んで思ったのは、この軍隊の状態になったからとてそのままでいい、ということではない。

その場の状態に応じて複眼的な思考法を駆使して、自分のくにがどのような軍のかかわり方をすべきかを模索していかなくてはいけない、ということだと思いました。

この本は、日本の、軍隊に対する思考の変遷、世論の変遷を世界の動きと連動させながら、今では手に入れることが出来ない情報を載せながらわかりやすく詳述されています。

これからの日本の軍備に対する姿勢を問う上で非常に参考になる良書です。

お求めのかたは以下より。

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その他おススメ著書。

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 憲法第九条 (岩波新書 黄版 196)

 


中里喜昭 『百姓の川-球磨.川辺 ダムって何だ』

2015-03-16 15:29:50 | 公共事業

 

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この本もまた国の公共事業について考えさせられる本です。

この舞台は熊本県の球磨川川辺川です。

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この地に新たにダムを建設したい建設省に対し、地域住民のほとんどは、川辺川にダムを建設するのに反対しているのです。

その反対運動の激しさから、その建設はいまだ見送りになっているようです。

私もそのままにしておいてほしいと願う1人です。

自然は私自身大好きですし、釣りも好きですし、自然の光景をみていると心がなごみますし癒されます。

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その大自然をダムは破壊してしまうのですから当然反対しなければなりません。

それに、建設省による岐阜県長良川河口堰建設において大いなる失敗例があるからです。

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長良川河口堰

 

これにより、アユやマスなどの遡上が阻害され、遡上してくる魚の量が激減し、淡水と海水の混じった汽水でなければ棲息できないシジミが河口堰建設によって淡水と海水が分離してしまい全滅してしまったのです。

このような例があるからこそ、私は反対するのです。

 

そこで思い出されるのがやはり、カレルヴァンウォルフレンの言葉です。

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カレルヴァンウォルフレン

 

 ウォルフレン氏が憂慮していたのは、国による公共工事によって不必要なところに橋や道路を作り、海や川に不必要な護岸で固め、そのことで日本の美しい自然の景観が損なわれているということです。

私も、そういう状態になることは憂慮しています。

しかし、これはなぜこんなことをしなくてはいけないかというと、中央集権体制で東京を中心とした首都圏に人口を取られ、そのために金の使い手、稼ぎ手が少なくなり、そのせいで財源を確保する名目で、不必要な橋や道路を造らなくてはいけないという面もあるのです。

これはケインズ経済学から編み出された理論で、公共事業にお金を出して工事をすれば、そこで働いた人が金を使い、そして景気がよくなるということです。

まず、その理論は今や時代遅れのものになっており、その公共事業に投資しても、その事業に携わった人間がお金を使うどころか、将来の不安におびえて、預金してしまうので、お金が市場に出回らなくなってしまっているのです。

しかし、公共事業をすることによって、その村や町にどうしても必要な橋や道路を作らなければそこに住む住民がどうしても困る、というのなら話は別ですが、実際は不必要でかつ生態系を大幅に破壊し、そのことで地域住民の生活まで破壊されるという結果がわかっているのならば、

公共事業でない違う有意義なことに投資する方法を編み出さなくてはいけないようです。

それと中央集権を改めて、そしてもっと重要な働き手である若者がその地域に留まりたいと思わせるような魅力ある住環境や労働環境を創造することも重要になってくるでしょう。

戦後70年経っていまだ地方自治が遅々として進んでいないのです。

また、先行き安心になる経済社会を創造していく努力を政府も国民もしていかなくてはならないでしょう。

また、今や会社に勤めなくてもインターネットビジネスや投資などで生活費を稼げる時代になりました。

そこで生活できるようになった人は、故郷の地方に戻ってお金を使い、需要を増やしたらどうかと提案したいのです。

そういったことも、ウォルフレン氏が常々いろんな本で書いている、「日本での市民の不在」という言葉を想起させるのです。

この本を読めば、ダム建設がいかに自然の生態系を崩すかがわかろうというものです。

ダムには魚道というものがありますが、これは環境問題の盛り上がりでようやく政府が作ったものです。

 しかし、これは作っても生態系にとっていいものではないのです。

 何故なら、魚道があっても魚はのぼりづらいのです。

ですから、遡上してくる魚のうち、70%しかのぼってこれずに終わってしまうのです。

これは研究結果で明らかです。

 ダムなどなければ100%のぼることが出来るのです!

遡上するアユの数が年々少なくなっているのは、

以下の長良川のページで明らかです。

 ↓

http://www.water.go.jp/chubu/nagara/15_sojou/index.html

それだけでなく、ダムは魚の生態系に良くないのです。

放水ゲートが閉まっていたら、そこは止水してしまうのです。

アユは、流れのあるところで生まれましたから、止水の領域に入ると、どちらが上でどちらが下かわからなくなり、右往左往してしまうのです。

また、止水の領域には、アユが生きていく上で酸素の絶対量が足りないので、遡上の途中で死んでしまうのです。

よしんばのぼれても、眼前にはまたダムが立ちふさがりまた遡上するアユの量が減ってしまうのです。

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落ちアユの時期になると、魚道のないダムの内側で、卵をお腹いっぱいに抱えた雌アユが大量に死んでいるのです。

 このような弊害をなくすためには、ダムのゲートを永遠に開け放つか、ダムそのものを撤去してしまうのがいいのです。

他、ダム建設や護岸固めによる生態系崩壊の弊についていろいろこの本に書いてあるので読んでもらいたいものです。

日本の官僚のよる公共事業の弊害はこれまでいろんなその類いの本を読んできて明らかです。

 なかでも、先のカレルヴァンウォルフレン氏の分析は明瞭で読み手を離さないのではないでしょうか?

ウォルフレン氏が曰く、「日本の官僚は前例主義で、これまでにやってきたことの踏襲だけをしている。その内容については一切鑑みられることなく、そこに問題点はないのか?それをよき方向へ導くためにはどのような違うことをすべきか、ということは一切議論されることはない。」というのです。

 私もいくつかの公共事業についての研究をしてきましたが、その言葉には切羽詰るものを感じます。

ダムは、水が淀むので水質汚濁を招く、という地域住民の反対に対し、建設省は「清水バイパスを導入する」として何が何でもダムを建設しようとするのです。

 しかし、水を清める装置だけではいけないのです。

 川は、魚が棲めること、魚にとって栄養があり、その栄養を絶えず生産すること、岩の角を丸め、大小の石に砕き、シジミを育てる美しい川砂にしなければなりません。 川辺川の激流は、太陽光線と大気を効率よく撹拌し、自浄作用を維持し、プランクトンから幾段階もの複雑極まりない食物連鎖を完成させながら流れているのです。

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その偉大なる作用をダムは奪ってしまうのです。

 ましてやその清水バイパスを導入するからとて、その作用を全部補うことが出来るという研究結果など建設省から出されていないのです。

すでにこの川にはダムがいくつか建設されていて、そのせいで水質汚濁を招いていたのです。

 やはり溜めるのではなく、流れを作っておいた方が水は澄むものです。

やはり先に挙げたケインズ経済学による、公共投資の手法が戦争直後の日本では有効であったからといって、またしてもその手法が今も有効かどうかを吟味することなく、前例主義で突貫させようとする建設省の意図が見えます。

その前例主義を突貫させるためには、手段を択ばないのです。

ダムを作る目的をコロコロ変えるのです。

初め、ダムをつくる目的は「電源を開発する」ということでした。

しかし、これはコストの安い火力発電の登場で挫折しました。

これで、ダムを作る計画からは撤退すればいいものを、今度は「高原台地の水田造成のためにダムは必要」といいたてたのです。

 治水目的を加えたのです。

その後、利水やまたしても発電目的を加えたり、そしてまたその後に流水調節を加えたのです。

 そしていまだにそのダムを作る計画をもち続けているのです。

 明確な目的などどうでもよく、何が何でもダムを作ることが大事なのです。

この著者は、政府(建設省)のいう流量調節機能など机上の空論であるし、地域住民にとって逆に有害ですらあるといっています。

 梅雨や台風の季節に、ダムに大量の水が溜まってしまい、その蓄え機能が大幅にうわまってしまい、そのためにダムの水門を開けはなってしまわねばならなくなり、そのためにダム以下の下流域には大洪水がおこり、中洲でキャンプをしていた人たちが全部流されて命を落としたという悲惨極まりないニュースを覚えていらっしゃる人はいますのでしょうか?

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こういった面でもダムは有害なのです。

 確かに、ダムを作る目的として、水害を防ぐという面はありますし、そのことで水害を防げるようになった違う公共団体の都市もあります。

しかし、こと球磨、川辺川においては、水力発電所を作るために山を乱伐したことが原因で山の保水能力が失われ、そのために球磨川では、1963年から3年連続で大洪水がおこった。

洪水による被害人を出さないためには、下流域の人民を川から近い地域から撤退させて、離れたところに移住させるだけでいいとこの著者はしています。

こういった官僚の前例主義のみならず、やはり政府の仕事に携わる人間の金儲け主義も上げることが出来るでしょうか?

先に挙げた岐阜県の長良川河口堰は無用の長物である、ということを指摘したのは、漫画『美味しんぼ』の原作者である雁屋さんです。

この人は東大出身であるということを最近知って驚きましたが(笑)

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 雁屋さんが、この漫画の主人公の山岡史郎に曰わせているのは、「建設省がいう、長良川河口堰をつくる目的として挙げている、水の確保、塩害防ぎとしているが、水は余っているからダムは必要ない。百歩譲って塩害は下流域のほんの一部しかない。それなのに河口堰を作ろうとするのは、役人の栄誉欲と金儲け主義だ!」ということですね。

 中央から公共事業を名目でお金を引っ張ってくれば自分の懐に大量にお金が入る。

 同様に自分の部下や部署も。

そのために、偉大なる自然の生態系を大幅に破壊するのでは、なんと哀しいことであろうかと目を覆いたくなります。

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そこの地域について一番分かっているのはそこに住む住民なのです。

その自然の生態系はいうに及ばず、その地域の住民がダムを建設したらどうなるかをです。

感情を肌で感じることが出来るのもやはり地域に住む人たちでしょう。

 この本には、ダムが出来たら生態系が狂い、その流域で生計をたてて生きている人たち(川下りの生業をしている人たちや釣り具屋や川魚料理屋、囮アユを養殖している人たちなど)は生きていけなくなると悲嘆の声をあげています。

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ですから、この意味でもやはり今の日本の中央集権体制を改めなくてはいけないのです。

 また地方出身の首都圏在住の人たちは、できる事なら故郷で就職した方がいいのです。

地方に大事な働き手である人がどんどん中央に集まってしまうので、働き手と金の使い手が少なくなってしまい、地方にお金を回すための名目で、不必要な公共事業をおこさなくてはならなくなるのです。

自分が生まれ育った地方の自然や生態系を大事に思うなら、「市民」として地方のために何が出来るかを考え、探し、それを実行してくれる人が多く出てくれることを私は望んでいるのです。

私も将来的に地方に転住したいと思います。

さて、建設省のダムを作りたい言い分と、ダムを作るのに反対の住民の言い分のどちらが妥当か?

 私は、川やそこの大自然の生態系を大切にしたい、という価値観やこれまでに学んできた公共事業による弊害をたくさん勉強してきたことの内容を総合して考えるに、やはりダムは作らないでほしい、という意見でいます。

 建設省のダムを作りたい言い分は提示されるも、やはり部分的で片手落ちという観が否めませんので。

いまだ計画の俎上に上がっているダム建設は住民の反対で作られてはいませんがそのまま挫折してほしい、というのが正直なところです。

この本を読んで、この国の公共事業についてどうしていくべきか? そのために市民が何をすべきか? それを考えて、行動していかなくてはいけない必要性をしみじみと感じました。

私は、先のページ(=『私の大学再建案』)で、 「なにを勉強したらいいかわからないで大学生活で右往左往している人は、いろんなジャンルの本をむさぼるように読んで、社会にある問題点を認識すべきである。」ということを書きました。

   ↓

『私の大学再建案』

http://hair-up3times.seesaa.net/article/415254199.html?1426484154

 そのことは、この球磨、川辺川のダム建設についてでもあてはまるのではないでしょうか?

ただ漫然と大学生活を送っているだけでは、社会の問題点を認識することはできません、一切!

ですから、このページを読んで、そのことを認識するための一助として、この本を私はお勧めします。

この本は以下よりどうぞ。

  ↓

百姓の川 球磨・川辺―ダムって、何だ

 

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百姓の川 球磨・川辺―ダムって、何だ

 


堀之内九一郎 『野良犬の成功法則』

2015-03-15 23:59:36 | 成功法則

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堀ノ内九一郎…この人の名を知ったのは、10数年前です。

 何しろ経歴がすごいです!  

これまで40以上の事業を、起こしてはつぶし、起こしてはつぶしを繰り返し、ついには事業で失敗してホームレスまで経験したというのだから凄いです。

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堀ノ内九一郎  

 

しかし、今は全国で200店舗以上を擁するリサイクルショップのチェーン店の社長というから、不死鳥とはこの人のことをいうのかと思います。  

どういう経緯でホームレスから現在の社長になったのかは、前作「どん底からの成功法則」に詳しいです。  

今回の、 「野良犬の成功法則」では、上に立つ人間の心や精神の在り様をえがいているのである。

「人間らしさ」の対極にあり、堀ノ内氏が提案するのが  

          「野良犬」

の生き方です。  

堀之内氏はホームレス時代、まさに野良犬のような生活であったわけで、ゴミを拾い残飯をあさっていた、といいます。

 

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 そこには、損得勘定がなく、力の限りを尽くしていかないと生きていけない状況であった。

  しかし、そんな生活のなかで、最低限度の動物としての、生きることの根本に帰ることが出来たと言っています。

  どんな分野においても、それ以外脇目も振らず、全力を尽くした人間が成功するという

  全力をかけている人間は強い。

  知恵を絞り、工夫する、手痛い経験のなかでどうしたらこの状況を変えれるかを人間は必死で考える。

  生きるためだけにやった体験は多ければ多いほど良いという。

 ホームレス時代に残飯あさりをしていたとき、堀之内氏は、人の蔑みの視線が心に突き刺さり、屈辱と恥ずかしさに気が狂いそうになったと供述しています。

  しかし、日々懸命に生きるうちに、蔑みの視線が気にならなくなったといいます。

 免疫ができたのだ。

 この経験から、生きていくうえで必要な抵抗力ができたというのです。

 試練は抵抗力をつけるためのチャンスなのだという見方はできないだろうか。

   人は何かをするにあたり、自分一人ではものを成就することは出来ない。

 必ず何がしか人の助けが必要です。

時間や労働の切り売り、時には金銭を援助してもらう必要もあるでしょう。

このとき何が必要か。

 人が何か借りることができるのは、貸すほうがその人の昔を見たからだ。

 最後までついてきてくれる人、金を貸してくれる人は、あくまで その人の過去を見て信頼できると思ったからにほかならないのです

 ここから、 いかに日々の積み重ねが重要かがわかる。

これまでロクなことをしてこなかった人は心配に及ばないという。

 これから信頼を醸成する行動に出て積み重ねていけばいいだけのことだ。

また、堀ノ内氏傲慢になることを戒めている。

才能のある人間は才能のあるゆえに、すぐ傲慢になる。

 これはいけません。

 物事が成就するには、自分ひとりの力だけでない、協力してくれた数多くの人の努力の上に成功という果実が実る。

 また成功するには、まわりから「こいつを助けてやりたい」と思われることが、必要だという。

 それは、相手の状況によって態度を変えないという端的な言葉に集約される。

 日ごろの付き合いが大事だといいます。

 日ごろから、「ちょっと酒でも」とか、「ちょっと食事でも」という誘いが大事なのです。

 それなくして、金が必要な時に、いきなり尋ねても断りたくなるのが人情でしょう。

 また日々の生活の中で、頭、手、足、身体そのすべてを限界まで出し切れ、使い切れという。

 出し切った人には必ず援護者が現れるのです。

 運というものは、天から降ってくるものではないという。

自分がこれまでやってきたことの周りの評価だと堀之内氏はいいます。

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最後に、成功の方程式を書いている。

 それは(知識-技術)×意欲=実績、成功というものです。

 立派な大学をでて知識や技術を持っているのに、何のために仕事しているのかわからない人がよくあるという。

 この人は実績は0です。

 いま知識や技術があまりなくとも、意欲があれば、なんとかなると堀之内氏は言う。

 この本を読んで、私が思ったのは、 成功というものに近道はないのだということだ。 

 今の世には、便利なものが溢れています。

バイク、車、洗濯機、テレビ、AV機器、オーディオ、パソコン、エアコン等スイッチ一つで自分の意のままにあやつることができる。

また、現代は豊かさにも溢れている。

 金を出せば物は何でも買える。

食べ物に困ることもない。

 生まれ出てきたときから、ご飯の時間になったらご飯を食べ、ものが必要になったらものを買ってもらう。

 勉強のときは、おしげもなくなく塾にいかせられる。

こういった利器を当たり前のように接して、豊かさに慣れすぎていれば、当然のことながら辛い事に対する免疫力はついていかないし、上手くいかないとすぐに投げ出してしまう人間ができてしまうのも頷けます。

 人のありがたみや周りの豊かさに対する畏敬の念をもてといわれても土台無理だ。

 生きていく意欲をもてなくなるのも無理はないです。

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今、私の周りに苦労知らずで、人のありがたみもわからず、欲しい物もない、意欲のない人間がいかに多いか。

 現代文明の弊といって良いです。

 昨今の格差社会の原因もこんなところにもあるのだ。

 意欲をもって困難に立ち向かっていける人間をつくる。

これは、これからの国民ひとりひとりに課された教育の課題であろうと思います。

 こういう人間は、堀ノ内氏が提案する成功の道をたどっていける人間をつくることは出来ない。

この本は、あらゆる道において成功したいと考えている人には一助になる本でしょう。

 成功したいと願っているのに、なかなか上手くいかない人には是非とも読んでもらいたいです。

 これが自分には足りなかったのかと思い知らされるでしょう。

それを、実社会の中で実践していくのが大事なのだ。

 勿論、成功の本はこの本だけですべてではないから、まだ読む本はたくさんあるでしょう。

 そのうちのひとつになるであろうことは間違いないです。

 

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野良犬の成功法則